令和2年
 第1回定例市会 2月議会
令和2年度神戸市当初予算案
 [代表質疑]要旨
令和2年2月議会が、2月18日から3月27日までの38日間の日程で開かれ、令和2年度神戸市当初予算案が審議されました。 自由民主党神戸市会議員団を代表して、坊 やすなが 議員(北区選出)、平野達司 議員(兵庫区選出)及び、上畠寛弘 議員(東灘区)は2月25日の本会議において、市長および副市長に質疑を行ないました。

令和2年度神戸市当初予算案

      [ 予 算 額 ]
一般会計   8,387億0,900万円
特別会計   6,708億1,900万円
企業会計   3,496億6,700万円
予算総額 1兆8,591億9,500万円
      [ 対前年対比 ]
 270億6,900万円 [ 3.3%]
 △ 93億7,200万円[△1.4%]
△ 95億9,500万円[△3.0%]
 592億円7,700万円 [ 3.3%]

[代表質疑]要旨 坊 やすなが 議員(北区選出)

1.新型コロナウイルスの対応について

 世界的な問題として連日報道され,我が国においても感染者が拡大し続けている新型コロナウイルスは,感染ルートも拡大し,市民は日常生活で不安を抱える状況にある。幸い本市では現在,新型コロナウイルスの感染者は確認されていない状況であるが,行政として最悪の事態を想定し,関係機関と連携した万全の対策を講じるべきと考える。新型コロナウイルスに対する市民の不安を軽減する取り組みや,感染者が発生した場合の対応について,どのように考えているのか,見解を伺いたい。

2.教育委員会のガバナンス強化について

 昨年9月に東須磨小で発覚した教員同士のハラスメント事案は,児童生徒のいじめを指導する立場にある教員自らがいじめを行う言語道断の事案であり,連日マスコミに取り上げられるなど世間を大きく騒がせ,本市の教育への信頼を損ねることとなった。失われた信頼を回復するのは容易ではなく,課題は山積していると考えるが,関係する教職員の処分をはじめ,再発防止や組織風土改革など,どのような対処,スケジュールを考えているのか,見解を伺いたい。

3.神戸市中央卸売市場業務条例について

 卸売市場法の改正を受け,議会に提案されている条例改正案では,これまで原則的に禁止されていた第三者販売や直荷引きの規制が大幅に緩和され,実績があった場合には月に一度,市長へ報告する内容となっている。市場関係者の一部からは無秩序な取引が進むのではないかという不安の声も聞こえるが,これらの声に応え,高い公共性を有する中央卸売市場として,生鮮食料品等の適正な取引と円滑な流通をどのように実現していくのか,見解を伺いたい。

4.可能性を秘めた神戸力の最大化について

 人口減少社会においても活力ある神戸を創造するには,神戸が秘めている可能性を市職員や議会が改めて見出し,活用していくことが重要であり,そうした取り組みをうまくプロモーションできる都市こそが,自主財源を確実に確保しつつ,自らの特徴を活かして輝き,選ばれる都市になると考える。今年度から「つなぐ課」が設置されたが,つなぐ前に必要なのは「つなぐべきもの」の発見,つまり,価値があるのに埋もれている資産や人材等の発見であり,秘めたる神戸の可能性を見出す専門部隊として,つなぐ課の更なる活用や新たな部署の設置を検討してはどうか,見解を伺いたい

5.都心エリアの再整備について

 本市が市役所2号館等の建替計画を含む三宮再整備を進める一方,県においても本庁舎建替を含む元町駅周辺の再整備が検討されているが,市の再整備が県に先行して検討されたこともあり,双方の計画は,十分な連携が図られないまま進められている。魅力と活力ある都心の再整備には,三宮から元町に至るエリアを一体的に捉えたまちづくりが必要であり,これらエリアの再整備が同時期に検討される絶好の機会を活かすためにも,県市が連携し,一体的な再整備計画を新たに策定した上で,事業を推進すべきと考えるがどうか。
(議員再質疑)
 来年度予算案では,駅周辺のリノベーションとして,駅周辺の魅力や拠点性の向上が図られているが,まちづくりにおいて何より重要なことは,民間建築物の建替促進など,民間投資を呼び込み,空間全体を高質化する仕掛けづくりであり,例えば土地利用制限の緩和など,今の時代に則した民間投資促進策を進めることで,市による公共空間整備との相乗効果を生み出せないか,見解を伺いたい。

6.ウォーターフロント地区再開発の早期事業化と新たな事業手法の導入について

 都心やハーバーランドから新港突堤西地区・中突堤周辺地区への大きな人の流れを生み出していくには,新港第2突堤や中突堤中央ビル等のウォーターフロント地区再開発の早期事業化が重要と考えるが,今後のスケジュールをどのように考えているのか。また,賑わい施設の整備にあたっては,民間事業者のアイデアやノウハウ等を最大限活かしながら,施設の整備後も市の施策の方向性を十分踏まえた施設運営が求められる。官民が共同で団体を設立し事業執行している横浜のみなとみらい21地区のように,市のまちづくりの方針を踏まえつつ,民間投資の誘発から事業化に至るまでをマネジメントする新たな組織,外郭団体のようなものが必要と考えるどうか。

7.外郭団体の活用について

 本市はこれまで,人口増加や社会経済情勢,市民ニーズの変化に対応するため,外郭団体を設立・活用し,柔軟に公共サービスを提供してきた。外郭団体は本市の重要な財産であり,今後も積極的な活用を図るべきと考えるが,神戸が今後更に成長し,新しいステージへと発展していくためにも,まずは外郭団体の廃止を含めた見直しとともに,活用できる団体や事業のリノベーションの徹底が必要と考える。その上で,今後の新たな政策展開を見据え,例えば都市の再整備やエリアマネジメントを専門に担う団体を新設するなど,ゼロベースで外郭団体の活用や新設・廃止を検討すべきと考えるがどうか。
(議員再質疑)
 新たな外郭団体を設立する場合には,この度の外郭団体の不適切事案の反省を活かし,天下り先と誤解を招く第三セクターではなく,本市がこれまで培ってきた外郭団体運営の経験や行政としての信用・信頼と,民間企業の先見性,人材,資金力,事業に対するスピード感などを融合した,これからの時代を先導する官民連携した新しい形態の組織とすべき考えるがどうか。

[代表質疑]要旨  平野達司 議員(兵庫区選出)

1.スマートシティの取り組み推進

 今年度から,最先端技術等を活用し課題解決につなげるスマートシティの実現に向け,「Be Smart KOBE」プロジェクトを立ち上げ,事業者が新技術の実証実験に取り組むフィールドの提供などの支援事業に取り組んでいるが,神戸の将来を支える重要な施策であると期待している。今後の更なるプロジェクトの発展のため,どのようなロードマップを描いているのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑1)
 来年度予算案では官民のデータ連携基盤構築に向けた予算が計上され,ビッグデータの活用に向けた準備が着々と進んでいることは評価している。今後本市がビッグデータを扱うにあたっては,データの価値を十分認識し,営利目的での市外へのデータ持ち出しを防ぎながら,本市の成長・発展に寄与するために民間事業者がデータを広く活用できるような仕組みを検討すべきと考えるがどうか。
(議員再質疑1)
 来年度予算案では官民のデータ連携基盤構築に向けた予算が計上され,ビッグデータの活用に向けた準備が着々と進んでいることは評価している。今後本市がビッグデータを扱うにあたっては,データの価値を十分認識し,営利目的での市外へのデータ持ち出しを防ぎながら,本市の成長・発展に寄与するために民間事業者がデータを広く活用できるような仕組みを検討すべきと考えるがどうか。
(議員再質疑2)
 オランダは国土の約25%が海水面以下の土地であることから,治水・防災分野に力を入れており,アムステルダム市では,それらの分野に環境データ等のビッグデータを活用していると聞く。本市がビッグデータを活用していくにあたっても,「神戸らしい分野」に力を入れ,特色を打ち出していくべきではないか。例えば,本市が収集したビッグデータを医療産業都市で活用し,予防医学分野の研究に活かせないか,見解を伺いたい。
(議員再質疑3)
 スタートアップ企業の持つ新たな視点やアイデアは,ビッグデータの収集や活用方法の検討にあたっても有用であり,本市が推進する起業家支援施策との相乗効果も見込めることから,ビッグデータの分野でもスタートアップ企業を積極的に活用すべきと考えるがどうか。
(議員再質疑4)
 高度なビッグデータ処理性能を有するスーパーコンピュータ「富岳」は,ポートアイランドでの令和3年度頃の供用開始を目指し,開発・整備が進められている。本市における今後のビッグデータ活用は,「富岳」との連携も含めた施策展開を検討すべきと考えるがどうか。

2.青少年科学館への最先端技術導入

 昭和59年に開館したバンドー青少年科学館は,施設更新を都度行っているが,施設の老朽化も目立ち,古き良き時代の歴史館のような雰囲気となっており,本来の目的である科学技術に関する知識の普及啓発のための施設に感じられない。自動運転や水素エネルギーなど最先端技術を市民が気軽に体感できる施設に抜本的にリニューアルすべきではないか。リニューアルの検討にあたっては,教育施設を所管する教育委員会だけはなく,「Be Smart KOBE」プロジェクトを推進する市長部局と連携し,あり方を検討すべきと考えるが,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
リニューアルの検討にあたり,企業ブースの導入を検討しているとのことだが,科学館へ最先端の技術を持った企業の出展を促すには,例えば,ブース出展を「Be Smart KOBE」プロジェクトの応募要件の一つとするなど,何らかの出展促進策が必要と考えるがどうか。

3.教育へのICT導入による授業の多様化

 国が打ち出した「GIGAスクール構想」では,義務教育段階の児童生徒に一人一台の端末配布等の方針が示された。本市においても「ICT学習環境整備計画」を策定し,電子黒板や無線LANの整備を進めている所であるが,神戸の未来を担うICT人材を育て,より一層効果的な教育を提供するためにも更なる学校現場でのICT学習環境整備について,取り組むべきと考えるが,国の方針も踏まえどのような対応を検討しているのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 遠隔授業の技術を取り入れれば,高いスキルをもった教員が複数のクラスを同時に受け持ち,質の高い授業を多くの児童生徒に提供できるようになる。教員の多忙化対策の観点からも,遠隔授業の技術を本市の教育現場にモデル的に取り入れてはどうか,見解を伺いたい。

4.神戸独自の商店街活性化と世代連携

 商店街などは,立地や歴史,業態により求められる課題が異なり,これまでも地域商業活性化支援として,商品開発モデル支援やキャッシュレス決済導入支援など様々なメニューを揃え多面的な支援を行っている。商店街のさらなる活性化に向け,現状をどのように分析し,今後どのような支援を行っていくのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑1)
 先月,神戸港に停泊した大型客船の外国人クルー向けに,東山商店街で店主との交流や飲食,地域の名産品の購入などの観光ツアーを実施したところ,好評で反響も高く満足度が高い企画となった。異国情緒ある港町神戸ならではの温かみのある取り組みであり,商店街への経済効果も期待できることから,本市の商店街活性化施策の一つとして取り入れ積極的に展開してはどうか,見解を伺いたい。
(議員再質疑2)
 客船の外国人クルーを案内した際の受け入れ側の課題は,英語やキャッシュレス対応が不得手な店舗が多い点であった。特に英語対応については,通訳を雇えば商店街の費用負担の増加にもつながるため,例えば,地元中学校・高校・大学における英会話の授業や,生徒会活動・部活動・ゼミ活動との連携により,地元に親しまれる商店街となるような取り組みができないか。また,商店街のPRチラシの作成についても,地元中学校・高校の美術部や美術系大学と連携してはどうか,併せて見解を伺いたい。
(議員再質疑3)
 今年度から新たに「アフターMICEプログラム」の一環として,「神戸のローカル商店街つまみ食いツアー」を設けているが,未だ利用実績が無いと聞く。このツアーは神戸ならではの体験として,外国の方に非常に喜んでいただけるもの期待できるため,PRを強化するとともに,水道筋商店街に限定されているツアー先を,他の商店街にも拡大してはどうか,見解を伺いたい。

[代表質疑]要旨  上畠寛弘 議員(東灘区選出)

1.神戸市における人事労務戦略

(1)民間活力導入等による業務効率化
 神戸市行財政改革2020が目指す成果の一つに,「業務効率の向上による重点施策への人員・財源の再配分(選択と集中)」を掲げているが,計画の最終年度となる来年度には満足のいく取り組みとなっているのか。また,次期計画の策定にあたっては,これまでの考え方やしがらみから脱却し,ゼロベースで業務効率化や資源再配分等に取り組む必要があると考える。特に労務職の業務は,民間に比較対象がある業務も多いため,前例・慣習にとらわれず,民間活力導入等による見直しを更に加速させるべきではないか,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 特に,ごみ収集・処理業務については,市はこれまで,被災時に民間企業が動けなくなった場合に備え,収集車両の約半分は直営体制を確保すると説明してきたが,民間企業が全く機能しなくなることを前提として,日頃から高コストの体制を維持することは正しいと思えない。その考え方を改め,革新的な職員体制の縮減や抜本的な効率化を進める必要があると考えるがどうか。
(2)労務職の処遇見直し
 我が会派がこれまで再三に渡り指摘してきた労務職の処遇見直しについて,昨年9月の決算特別委員会局別審査では,「確実に少なくとも政令市中位程度の給与水準とする必要があり,適用される給料表の見直しもこの場に至ってはせざるを得ない」旨の答弁があったが,見直しはいつ実現するのか,財政効果も併せて見解を伺いたい。
(3)組織風土改革の取り組み
 昨年5月に策定した「神戸市役所改革方針」における組織風土改革の取り組みの一つとして,職員の目指すべき姿や行動指針を明文化し,職員一人ひとりが主体的に,適切かつ迅速な判断,行動ができるよう昨年12月に「神戸市クレド」を策定されたが,職員が日頃からクレドの趣旨を意識し,職務に取り組むためにどのような取り組みを行っ ていくのか,策定されたことによる効果と併せて,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 職員一人一人が市政の方向性や政策を理解した上で,業務に従事するためには,インナーコミュニケーションが重要であると考える。職員が高いモチベーションをもって市政運営に取り組むためにも,人事戦略などの内部的な政策も含め,インナーコミュニケーションを積極的に推進すべきと考えるが見解を伺いたい。
(4)人事・給与制度改革
 「神戸市役所改革方針」では,頑張っている職員が真に報われるような人事・給与制度改革に取り組むとされているが,改革の狙いや意義はどこにあると考えているのか。また,改革を推進するにあたっては,人事評価制度の改善が重要と考えるが,現在どのような取り組みを行っているのか,伺いたい。
(議員再質疑1)
 職員がモチベーションを高く持ち,日々の業務に取り組めるようにするには,人事評価制度の改善に加え,評価結果の給与への反映方法が重要と考える。課長級以上については既に評価結果を踏まえた勤勉手当への一層の反映を実施されているところであるが,係長級以下についても同様の取り組みが必要ではないか。現在の検討状況と今後の方向性について,見解を伺いたい。
(議員再質疑2)
 新たな政策を積極果敢に挑戦する組織風土を醸成するためには,前例踏襲型の人物ではなく,新しい事業を積極的に挑戦する人物が評価される仕組みが必要であると考える。人事評価制度において,結果を問わず,チャレンジする姿勢そのものを評価する項目を新たに設けることが必要であると考えるがどうか。
(5)主任の役割・あり方の検討
 市役所改革の実施施策に掲げられている「主任の役割・あり方の検討」のように,長年培った高度な知識・経験を有する職員が能力を一層発揮することで,組織力を底上げすることは非常に重要と考えるが,主任の役割・あり方の検討状況と今後の方向性について,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 主任の役割・あり方の検討の中で職務職責の見直しを図るのであれば,職員の昇任意欲醸成やモチベーションの向上のため,より一層職務職責が反映された給与体系が重要となる。そうした給与体系への見直しの検討は,市役所改革方針にも掲げられているが,現在の検討状況と今後の方向性について,見解を伺いたい。
(6)優秀な人材の確保に向けた取り組み
 人材獲得競争が激化する中,優秀な人材の確保は,今後の安定的な市政運営を行う上で,最重要事項と考える。人事委員会任せではなく,市長部局自ら積極的に求める人材の確保を行う取り組みが必要と考える。令和2年度組織改正案では,行財政局と人事委員会事務局で構成する採用育成チームを組成し,採用活動から入庁後の育成までを一元的に担うとともに,行財政局に採用育成担当部長,人材確保担当係長を新設する予定と聞くが,今後どのような取り組みを進めるのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 これまで組織改正にあたっては,意思決定システムを改善し,縦割りの慣習を是正しよりフラットな組織となるよう取り組みを進められているが,保健福祉局が福祉局と健康局に再編し,より専門性を発揮できる組織として設置されるように,人事部門もより専門性を発揮できる組織となるよう,行財政局を総務局と財務局に分割してはどうか。

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