令和5年
 第1回定例市会 2月議会
令和5年度神戸市当初予算案
[代表質疑]要旨
 令和5年2月議会が、2月13日から3月23日までの39日間の日程で開かれ、令和5年度神戸市当初予算案が審議されました。 自由民主党神戸市会議員団を代表して、安達和彦 議員(須磨区選出)、河南ただかず 議員(中央区選出)及び、五島大亮 議員(北区)は2月17日の本会議において、市長および副市長に質疑を行ないました。

令和5年度神戸市当初予算案

[ 予 算 額 ]  
一般会計    8,794億円
特別会計    6,803億円
企業会計    3,284億円
予算総額  1兆8,881億円
[対前年対比] 
△ 75億円 [0.8%減]
198億円 [3.0%増]
△ 46億円 [1.4%減]
  77億円 [0.4%増]

[代表質疑]要旨 安達 和彦 議員(須磨区選出)

1.予算編成の基本的な考え方について

 令和5年度予算では、コロナ禍における原油価格・物価高騰対策と、感染拡大防止・医療提供体制の安定的確保に引き続き取り組むとともに、堅実な成長戦略により都市の成長を促す好循環を創出することで、持続可能な大都市経営を行うとされている。とりわけ神戸空港の国際化の効果を神戸の成長に最大限活用し、神戸をさらなる高みへと押し上げるべく、各分野にわたって様々に積極的な施策が盛り込まれた予算は評価している。久元市長にとって、就任10年目の節目の予算となるが、市長が思い描く神戸の未来に向けて、どのように予算編成を行ったのか、市長の決意と想いを伺いたい。

2.ポスト・コロナを見据えた経済戦略について

 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者支援については、これまで国・県・市の役割分担のもと、状況を見極めながら数々の経済対策を実施してきたところである。2類相当から5類への引下げが予定されるなか、長引く物価高騰により大きな影響を受けている企業・事業者に対して、着実な支援を行いながら、ポスト・コロナ時代を見据え、戦略的に施策を転換するステージにきたと考える。これまでの知見も踏まえ、今後どのような経済施策を戦略的に講じていくのか、2月補正と一体となった支援の考え方と今後の方針について見解を伺いたい。

3.神戸空港の国際化について

(1)全庁一丸となった取り組み
 神戸空港の国際化は、ポスト・コロナに向けた神戸経済の強力な起爆剤となる。先の9月議会では、発着枠拡大や国際化を見据えて、まちづくり戦略の構築、インバウンド対策やアクセス強化などにスピード感を持って取り組む必要がある旨を指摘し、全市一丸となって積極的に取り組むこと、予算・体制づくりなど、しっかりと対応していただくことを要望したが、令和5年度の予算・体制はどのような考え方のもとに強化されたのか。空港の施設整備のみならず、観光やビジネス機会・新産業の創出など、幅広く議論・検討し、全市一丸となった戦略的な取り組みを進めるべきだと考えているが、具体的にどのような取り組みを検討し、推進していくのか。あわせて、見解を伺いたい。
(2)空港の機能強化
 先の9月議会では、神戸空港が新たなステージに入ることから、かつての空港建設時の公表財政計画のような制約を持った限定的な考え方ではなく、一般財源も含めて様々な財源を積極的に活用しながら必要な施策、必要なインフラ施設整備を進めるべき旨を指摘した。整備に必要な財源については、指摘も踏まえ引き続き議論・検討するとのことであったが、このたびの予算編成では、どのような考え方で様々な財源を活用したのか。とりわけ、この度計上されている、サブターミナル整備については、「神戸空港サブターミナル整備基本計画」が公表されているが、神戸の空の玄関口にふさわしいものにすべく、どのような点に注力をして整備を行っていこうとしているのか、あわせて見解を伺いたい。

4.地域協働局の新設について

  地域を取り巻く環境が変化し、地域課題が複雑・多様化するなか、地域に相対する専任局を設置する姿勢は評価・期待している。一方で、かつては市民参画推進局、令和2年度からは企画調整局に移管のうえ、全庁的な取り組みとして、多様な主体の参画を得ながら地域協働に係る取り組みを深化させるという名目で組織が改正されてきたと認識している。このたび、改めて局を新設するにあたり、これまでの組織の変遷から具体的に何を学び、どのような成果を上げてきたのか。その上で、それらを踏まえ今後どのように取り組みを発展させていこうと考えているのか、あわせて見解を伺いたい。

5.須磨海岸エリアの活性化について

 再整備が進む須磨海岸エリアでは、本年9月に海浜公園の一部の供用が開始され、令和6年春には新たな水族館や宿泊施設が開業となる。また、須磨海づり公園についても老朽施設の撤去・復旧が進み、令和6年度にはリニューアルオープンが予定され、新たな賑わいが創出されることを多いに期待している。再整備の効果を最大限発揮させるためには、再整備を行う民間事業者と連携しつつ、面的な発想により、エリア全体としてのPRや本市としての回遊性向上策を実施していくべきと考えるがどうか。今後の方向性について、見解を伺いたい。

[代表質疑]要旨  河南ただかず 議員(中央区選出)

1.防犯カメラの設置・更新について

 このたび、約500台の直営防犯カメラの増設や、地域が設置する防犯カメラへの更新補助の拡充が発表されたことは評価している。安全・安心に対する近年の意識の高まりを踏まえれば、地域から、設置や更新の要望が増加することも予想され、適切かつ柔軟に応えていく必要がある。そのためには、増設する直営防犯カメラの設置基準や、地域で偏りがあるカメラの設置状況・治安状況を踏まえた対応方針を、早急に明示していくべきと考えるがどうか。また、約2,000台ある既設の直営防犯カメラについても、技術が日進月歩で進化する中、例えば画素数が荒いことで、証拠能力が十分でないものもあるのではないかと考える。既に設置した防犯カメラについても、性能が陳腐化したものを放置するのではなく、計画的に機能のアップデートを実施していくべきではないか、あわせて、見解を伺いたい。

2.鉄道駅舎のバリアフリー化について

 2024年に神戸で開催される世界パラ陸上競技選手権大会を契機に、高齢者や障害者が出かけやすいまちづくりをより一層推進していくことを期待している。我が会派では公共施設および公共交通機関のバリアフリー化の推進を重点的に要望しているところであるが、従前より要望しているJR元町駅、JR垂水駅のバリアフリー化については、以前として、整備が進んでいない状況にある。鉄道事業者が実施主体であることは承知しているが、少しでも早い整備の実現に向け、国・県・市の財政支援をより一層拡充しながら、本市としてもこれまで以上にJRに強く働きかける必要があると考えるが、見解を伺いたい。

3.地域商業の活性化について

 ポスト・コロナに向けた新たなステージに入る中、このたびの2月補正予算では、商店街・小売市場が自ら実施する商品券の発行等事業に対する補助が発表されており、各地域の実情や特性に応じた独自の取り組みによる活性化に繋がることを期待している。一方で、商品券の発行形式は、事業を実施する各商店街等に委ねられており、これまでの「Ko-Pay」のような電子商品券ではなく、紙による商品券の発行も可能だと聞く。本市として、今般の時代の流れからも、よりキャッシュレスなどの電子化が促進されるよう、可能な限り、電子商品券の発行を商店街等に働きかけていくべきではないか。

4.大規模マンションの防災・コミュニティ施策について

 災害が発生した際に、安全な場所への避難や、避難場所での生活で、周りの人の手助けなどの支援を必要とする「災害時要援護者」については、事前にリストを作成し、民生委員、消防団、防災福祉コミュニティ等、実際に救護・支援活動に従事する団体に、情報を共有・協力しながら、安否確認や避難支援を行っていると聞く。一方で、大規模マンションが数多く立地する都心のマンション居住者については、セキュリティ面の充実により、地域との関わりが希薄化しており、居住者の実態がわからず、支援したくてもできないという状況にあると聞く。神戸市が主体的に情報を掴み提供するなど、都心ならではの取り組み・支援を考えるべきと考えるが、見解を伺いたい。

5.Living Nature Kobeの展開について

 本市では、花と緑による高品質な空間整備の取り組みとして、都心・三宮や主要駅の再整備にあわせた「自然の景」の創出による都市ブランドの向上に資する「Living Nature Kobe」に取り組んでいる。これまで市が実施してきた既存の飾花・緑化事業を再編しながら、市民、事業者と共に神戸ならではの花と緑の価値創出を推進し、花の名所としての魅力をさらに向上させることには期待している。現在、都心・三宮において、実証実験が行われているが、その結果を踏まえ、今後、どのようにブランディングを行い、高質な空間整備を展開していこうとしているのか、見解を伺いたい。

6.ジャズの街神戸の推進に向けて

 今年、神戸のジャズは、日本で初めてプロのバンドによる演奏が行われてから、100周年という大きな節目を迎える。市内の様々な場所で記念イベントが行われるなど、各種の取り組みを通して、より身近にジャズに触れながら神戸の街全体でこの節目が盛り上がることを、強く期待しているところである。一方、ジャズは馴染みがない方にとっては、どうしても堅いイメージがあるのではないかと考える。一過性の周年事業とならないよう、固定的なイメージを払しょくし、新たな顧客や次世代の演奏家を開拓するなど、神戸のジャズが新たなステージへ羽ばたく契機となる工夫を行っていくべきと考えるがどうか。

7.アドバンス・ケア・プランニングの普及・啓発について

 自分らしい生き方を人生の最終段階まで続けることができるよう、希望する医療・ケアについて、本人が家族や医療・介護従事者等、身近な人と早い段階から繰り返し話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の普及を推進することは大変重要である。健康局において、市民向けパンフレットの配布や講演会の開催にかかる予算が計上されているが、本人以外の家族等も含め、より幅広い世代に普及・啓発できるよう、さらなる方策を検討すべきと考えるが、見解を伺いたい。

8.学校給食における食材調達について

 市立小・中学校等における学校給食における食材費高騰に対し、値上げにより受益者の負担を強いることがないよう、市として高騰対策を行うことは、高く評価している。市内発注の強化を促進するうえでは、学校給食における食材調達についても、検討を行うべきだと考える。現状、食材調達は事業者の登録制度となっており、食材については対応が可能な登録事業者間の入札で決定されている。令和3年度取扱い金額での市内事業者の割合は、支店等が神戸市内にある事業者を含め、約9割になると聞くが、今後も市内事業者が受注しやすくなるよう、例えば、入札において価格だけによることなく、市内事業者への加点も考慮するといった、市内事業者を優先する取り組みを行うべきではないか。

[代表質疑]要旨  五島 大亮 議員(北区選出)

1.市内発注の強化について

 市内経済の循環を促し、神戸経済をさらに発展させるためには、スタートアップ支援だけではなく、既存の市内事業者の育成なども重要となってくると考えており、市内事業者の受注促進については、予算編成に先立ち、わが会派から重点的に要望したところである。例えば、委託契約における市内事業者への優先発注ついては、令和3年に基本的な事項を定める規定を改定し、行財政局より各局に対して通知を発出するなど、かねてより様々な工夫をしていることは評価しているが、今後も、例えば労働集約型である都市型創造産業の育成などのために、市内事業者が受注しやすくなるよう、さらなる取り組みが必要と考える。令和5年度は具体的にどのような取り組みを進めるのか、見解を伺いたい。
(議員再質疑)
市役所内部だけではなく、外郭団体においても市内発注の強化を同様に進めていくべきと考えるがどうか。

2.周辺自治体との広域連携の推進について

 全国的に人口減少が進み、更新時期が到来したインフラが増加し、さらなる行政コストの増大が想定される中、持続可能な大都市経営を行っていく上では、広域連携により行政サービスを提供していくことが重要となってくる。また、「特別自治市」を実現していくためには、周辺都市の理解が不可欠であり、本市が大都市としてのリーダーシップを発揮し、メリットを提示していくことが重要となる。昨年12月には、三田市と消防指令事務の共同運用していくことが発表されたが、限られた資源で行政サービスを維持・向上し、大都市として求められる機能・役割を果たしていくためには、他の分野についても柔軟かつ積極的に周辺都市との広域連携を進めていくべきと考えるがどうか。
(議員再質疑)
 ごみ処理に関する広域連携については、西宮市と芦屋市が広域化の議論を重ねたものの、費用負担の課題について合意ができず、令和3年2月に広域化を断念している。本市のごみ処理については、東・港島・西の3カ所のクリーンセンターで焼却処理を行っているが、処理容量は余裕があると聞く。例えば、この余力を活用し、更新時期を迎え、焼却施設の建設を検討している芦屋市のごみ処理を受け入れられれば、本市の処分料としての歳入が増えるだけでなく、芦屋市にとっても、施設建設のランニングコスト削減になり、双方にメリットがある。地域経済の核となっている大都市として、県内の廃棄物処理計画を所管する兵庫県や、芦屋市を含む周辺都市に対してより積極的に働きかけるべきと考えるがどうか。

3.こども医療費の無償化について

 県下では、こども医療費の無償化を行っている自治体が多い一方、本市では低額な一部負担を求めることで、こべっこあそびひろばなどのこどもの遊び場拠点や、学童保育の充実をはじめとした保育環境整備の充実など、ソフト・ハードのバランスの取れた子育て支援を実施していることは、会派として評価をしているところである。一方で、一部負担について、十分に理解いただけていない方もいることから、400円の負担が、目に見えるハード整備につながっているメリットを、専門家の見解や統計データに基づく無償化のデメリットとあわせて、丁寧に説明をし、十分に訴求していくべきと考えるが、見解を伺いたい。
(議員再質疑)
子育てしやすいまち神戸をアピールし、神戸に住むメリットを目に見える形にしていくためには、例えば、無料で利用できるこべっこあそびひろばや、18歳未満の子どもが同乗する車両について、駐車場の無料化を行っているしあわせの村など、こどものための施設の利用料金について、市外の子育て世帯から徴収することで差別化を図るべきだと考えるが、見解を伺いたい。

4.増税によらない市収入の増加について

 社会保障関係経費が増加し、このままでは厳しい財政運営が予想される中、増税によることなく、市収入を増加させるため、神戸空港の国際化を見据えた都心・三宮の再整備や駅前リノベーションにより、市外から新たな人や企業を呼び込み、都市の成長を促す好循環の創出が求められる。あわせて、全国的に名高い企業が市内に本社を置いている大都市ならではのメリットも最大限に活用すべきである。本市では企業版ふるさと納税について、魅力的なメニューの充実に力を入れているが、控除額には上限がある。次年度は、新たに「企業連携調整官」が設置されるが、企業からの寄付金収入拡大に向け、企画調整局が全庁的な旗振り役を担うことを期待している。調整官を中心に企業版ふるさと納税のみならず、例えば、各局が個別に取り組んでいる広報紙KOBE、バス・地下鉄の車内広告、ウェブサイトのバナー広告などをパッケージ化して、大企業から広告費や協賛金を獲得するなど、戦略的な取り組みを進めるべきと考えるがどうか。

5.西鈴蘭台駅の再整備について

 西鈴蘭台駅においては、本市が神戸電鉄とともに、駅舎や商業施設に加えて、市の駅前ロータリーや駐輪場・駐車場等の公共施設を含めた再整備や賑わいづくりについての検討を行っている。また、駅南側街区では、(私も参加させていただいているが、)地権者による再整備に向けた勉強会が行われており、地権者合意の進捗に合わせて、駅だけではない一体的な整備が期待されている。西鈴蘭台駅は長田箕谷線と近接し、駅利用者だけでなく、幹線道路を通じて車による集客も取り込める拠点でもあるため、パーク・アンド・ライド型の駐車場や子育て関連施設など、単なる機能の再配置にとどまらない新たな機能を付与したうえで、拠点にふさわしい駅前再整備を神戸電鉄とともに推進すべきと考えるがどうか。
(議員再質疑)
 神戸電鉄粟生線については、令和4年の1月から存続の基本となる経営を議論することを目的とした神戸電鉄粟生線存続検討会議が開催され、兵庫県や沿線都市により抜本的な経営改善について議論がなされていると聞く。抜本的な経営改善に向けては、粟生線の運営のコストの削減が目下の最重要課題であり、これまでにない大胆な方針転換が必要になってくる。例えば、西鈴蘭台以西の路線を廃線し、BRTに切り替え、西鈴蘭台駅を鉄道とBRTが接続するターミナルとして整備することも考えられるのではないか、見解を伺いたい。

6.港湾物流の渋滞対策について

 国際コンテナ戦略港湾の推進に向けては、神戸港への集貨や高規格コンテナターミナル等の整備など、神戸港のさらなる利用拡大を促進する予算が計上され、評価をしている。一方で、従前から指摘している海上コンテナドライバーの待機時間については、待機レーンや待機所の整備を実施しているものの抜本的な解決には繋がっておらず、依然として長時間に及ぶと聞く。また、働き方改革関連法により、2024年4月1日から適用されるトラックドライバーの時間外労働の上限規制に伴い、さらに拍車がかかることが懸念される。CONPAS導入については評価をしているが、対策として十分でないという声も聞く。神戸港が国際的な物流港として生き残るためには、ヤード渋滞の改善が喫緊の課題であり、CONPASにとどまらない対策に本格的に取り組むべきと考えるがどうか。見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 阪神港海上コンテナ協会によると、コンテナ貨物取扱量の増加や、大阪湾岸道路西神部事業により、令和4年は六甲アイランドやポートアイランドにおいて、シャーシプールが500台弱不足していると聞く。シャーシプールの確保について、取り組んでいることは承知しているが、例えば、都市局が所管する物流用地以外の土地を、湾岸道路が完成するまでの暫定利用として、シャーシプールに活用するなど、各局の連携のもと、業界の要望に沿った、より柔軟な対応を行うことはできないか。見解を伺いたい。

7.岸壁および堤防での海釣りについて

 岸壁や堤防などの港湾施設における釣りについては、原則、禁止されているが、レジャーやライフスタイルとしての需要の高まりにより、防波堤等で釣りができるようにしてほしいとの声を多く聞く。一部の渡船事業者やマナーの悪い釣り客により、ルールが守られていない状況は承知しているが、国土交通省が策定した「防波堤等の多目的使用に関するガイドライン第2版」では、本来の目的外の多目的使用として、安全対策の徹底を前提に、防波堤等の釣り利用を一部認めている。六甲アイランドにおける実証実験の本格実施や、須磨海づり公園の再整備については期待しているが、その他の場所においても、国のガイドラインを踏まえ、渡船事業者、釣り団体などと協力し、利害関係者が集う協議会の設置を検討してはどうか、見解を伺いたい。

市会情報一覧に戻る