令和6年
 第1回定例市会 2月議会
令和6年度神戸市当初予算案
予算特別委員会[総括質疑]要旨

[総括質疑] 要旨   岡田 ゆうじ 議員(垂水区選出)

 3月11日に開催されました令和6年度 神戸市当初予算案 予算特別委員会 総括質疑において、 岡田ゆうじ 議員(垂水区選出)は、「高校生の通学定期無償化について」など、市長及び関係当局に質疑を行ないました。
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1.高校生の通学定期無償化について

 令和6年度予算案で提案されている「高校生の通学定期無償化」については、これまで代表質疑や局別審査で多種多様な議論が行われてきたが、目的が「子育て世帯の経済的負担の軽減」か「市内の多様な高校教育環境の維持」か、不明瞭になっていると感じる。 市長は、予算の記者発表や先の代表質疑でも、個性ある建学の精神を持つ私立高校も含めた「多様な教育環境」を神戸の重要な財産として守ること、を主たる提案理由としているようにも思われる。 先の本会議では、本市の措置を経た上で、高校教育支援のあり方について、「兵庫県や周辺自治体の教育関係者で、議論を積極的に展開して欲しい」との発言があった。そうであれば、「高校生の通学定期無償化」は教育政策として、こども家庭局ではなく教育委員会等他局が所管することも考えられたはずである。 市長が本措置に込められた思いを改めて伺いたい。
(議員再質疑)
 法人二税等地方財源の偏在により、東京や大阪の様に突出して財政力豊かな自治体が、本来全国均一であるべき教育に関する支援を先行して拡充させ、自治体間での無益な人口奪い合い合戦を激化させるに至ったのは、21世紀初頭から行われてきた分権一括法や機関委任事務の廃止、三位一体改革や義務教育費等国庫負担金の一部一般財源化など、国が進めてきた地方分権改革が大きく影響しているのではないか。 本来「東京一極集中」「大阪一極集中」を緩和することが目的であった地方分権改革と「地方独自の教育競争」が、むしろ一極集中を激化させ、神戸等隣接自治体の教育環境と居住人口の維持確保を脅かしている現状について、見解を伺いたい。

2.AIの活用等に関する条例について

 2023年11月24日の市長記者会見では、「AIによる市会答弁作成禁止」が大原則とされており、各紙にそのことが大々的に報道された。しかし審議会等での議論やパブコメを経て、条例案の規定では市会答弁にAIを使用することが前提となっており、「答弁者が責任を持って使用する」という内容になってしまっている。 これは当初の市長の考え方、すなわち市長記者会見でもおっしゃった、「議会に対して誠実な態度で臨むという基本姿勢を取るとするならば、それはおのずからAIではなくて、自ら職員が、あるいは私も含めた執行機関が、自分の頭で考えた考え方をしっかり説明すべき」という哲学と正反対の内容ではないか。
(議員再質疑1)
 オランダやヨルダンの例にみられるAI判断の「バイアス」対策をどう考えるか。リスクアセスメントの一環として、「公平性確保」のためのバイアス対応を定めているが、そもそもそれが技術的に可能か。具体的にどのような対策を考えているのか。
(議員再質疑2)
 AIの利活用に対するリスクアセスメントとは具体的にどのようなものを想定しているか。
(議員再質疑3)
 一方で、AIの生産性向上や革新創造のポテンシャルを無視できない。既に他自治体でもAIの利活用は相当進んでおり、神戸は最早先進組ではない。しかし、本市の強みはマイクロソフト社のAIコ・イノベーションラボが開設され、進化するテクノロジーを先駆的かつ適宜取り入れられるという地理的な優位性にあり、創造的技術に富んだ先進的なまち・都市としての魅力を発信する絶好の好機でもある。 「神戸にしかできないAIの先進的な利活用」モデルを内外に発信していくことが、神戸市民の利益や神戸経済の向上のみならず、持続可能でレジリエントな魅力あるまちづくりにも貢献すると考えるが、見解を伺いたい。

3.教育改革の更なる推進について

 長田教育長が就任してから、垂水区中学生自死事案、須磨区小学校教諭間暴行事案など、全国規模で報道された不祥事が相次ぎ、就任早々教育長は改革の着手に追われた。 これまで組織風土改革や、長く神戸の教育行政を歪め、須磨区の事案の元凶ともなった「神戸方式」の廃止、その他教育委員会と保護者が直接つながる目安箱や統括官制度の創設など、神戸市教育行政の合理性と透明性の向上に寄与する様々な歴史的、抜本的な改革が実行された6年間であった。 一方で、教員の多忙化対策や人材不足など、全国的な傾向として顕在化してきた教育行政の課題については、本市においてもますます深刻化してきているとも感じる。  改めてこれまでの「長田改革」を振り返り、この6年間でどういう目標が達成され、どのような問題が未だ途半ばと感じているか。所感を伺いたい。
(議員再質疑1)
 フッ化物洗口事業について。教員の負担を増やさない、かつ子供たちの虫歯予防に効果のある持続可能な実施方法の全市展開について、歯科医師会等関係機関と十分協議の上、実現に向け着手いただきたい。 局別審査では外部人材の確保、予算の確保が課題との指摘であったが、財政当局の見解を伺いたい。
(議員再質疑2)
 現在教育委員に教職員経験者が一人もいない。やはり小中学校の教育の現場を経験した教職員経験者を一人は入れるべきではないか。

4.道路ネットワークの整備拡充について

 本年元旦の能登半島地震の発災に際し、基幹道路の崩壊・損耗等により生活必需品や緊急物資等の輸送が滞り、被災地の被害が拡大したとの報道がなされた。 基幹道路は緊急時には命を救う緊急輸送道路となり、まさに命の道となる。社会資本インフラとしての道路ネットワークの整備拡充の重要性は言を俟たない。 須磨多聞線は、須磨区南部と垂水区北部・西区を結ぶ都市の骨格となる主要幹線道路ネットワークを形成する、神戸市西部の住民の生活向上にとって極めて重要な路線である。 西須磨工区においては一部歩道の整備、高架を支える橋脚及び橋台の工事が進められているところであり、住民の方々への説明として、ミニニュース広報や個別説明会など、様々な形で丁寧に努めてきていただいたと評価している。 局別審査では、須磨多聞線整備後に、月見山地区の西国街道を走行する大型特殊車両が増加することへの住民懸念に応えるため、地域の声に寄り添って警察との協議を進め、大型特殊車両の通行を規制するよう要望させていただいた。これは須磨多聞線を整備する上での必要条件でもあるため、是非とも実現していただきたい。 一方で、多井畑工区については昨今全く進捗を聞かなくなった。改めて整備事業の現況と、市の総力を挙げ、神戸にとって最重要道路である須磨多聞線の整備を一刻も早く完了させる当局の決意を伺いたい。

5.市バス運賃改定について

 「空気を運んでいる路線(便)」が多く残るなど、路線・ダイヤの適正化が未だ不完全な状態であるにもかかわらず、市バス運賃の値上げに踏み切ったのは、市民の理解が得られないのではないか。
(議員再質疑1)
 今後令和14年度までに、広告料収入は自動車事業で△19億円、高速鉄道事業で△27億円減少すると見通されている。一方で、局別審査でも明らかになった通り、例えば現在の広告サイネージ稼働率は15%どまりであり、代理店・委託事業者とも最低条件・目標数値の設定をしていないなど、改善の余地は様々な箇所にある。 収益向上のため、できることを全てし尽くすべきではないか。
(議員再質疑2)
 政令市で市バス事業を維持しているのは最早7市しかない。 兵庫県が定めた「ひょうご公共交通10カ年計画」では、将来の「公共交通の役割分担」として、市中心から人口密集地域までは路線バスで走らせるが、それ以降は支線として、例えばコミュニティバスや乗合タクシー、オンデマンド型の交通に切り替えていくことを推奨しており、豊岡市などが実践している。 神戸市においても、「市直営で残す路線」「政策路線として他局に移管する路線」と「民間に任せる路線」等に区分し、抜本的な改革を行うことで、持続可能な市営バス事業を確立するべきではないか。

6.水道料金改定について

 老朽化施設の更新需要拡大に加え、物価高騰の影響を受け、今後の水道事業経営はかなり厳しい状況にある。その中で、神戸市上下水道審議会では1年間かけて、水道事業の今後の経営のあり方について検討を行い、平成24年以来12年ぶりの企業債発行と、平成9年度以来27年ぶりの料金改定という答申を出された。 人口減少に伴って平成12年度をピークに給水収益の減少が続いており、その減少傾向は今後も続く見込みであるため、これまで水道局が尽くしてきた経営改善努力を踏まえても、やむを得ない結論であると重く受け止めている。  審議会答申では「施設更新等の投資に係る費用やその財源となる企業債や料金について、2~4年ごとに定期的な検証及び見直しが必要」とされた。サステナブルな事業運営の実現や、企業債の金利負担の動向によっては、経営状況を逐次見直すため、中期的な検証はやむを得ないことだと思うが、それならばダウンサイジングについても検証すべきである。  現在、配水管網は市内一円に隈無くはりめぐらされている。これはある意味バブル期の拡張の名残であり、これからの人口減少社会を考えた時に、市全域隈なく維持する必要があるのか考える必要がある。見解を伺いたい。

7.ウォーターフロント再整備計画について

 現在港湾局では、プロジェクションマッピングや海洋博物館のライトアップ、またメヤメヤといった夜型のイベントについて多く企画を展開していただいている。しかし、夜間のナイトタイムエコノミーに観光客を惹きつけるには、昼間の魅力向上、滞在時間の延伸が重要である。  GLIONアリーナをはじめとするウォーターフロント空間の誘客と滞在の成否は、クリエイティブな昼間の魅力向上、例えばLEDやディスプレイ等を活用するなどによって、いかに近未来的・非日常的な体験空間を演出できるかにかかっている。 具体的には、神戸ゆかりの大学生やKIITOをはじめとするクリエイターと連携して、観光客が「留まりたい」「泊まりたい」と思っていただける魅力あるコンテンツの創出を、市として押し進めていくべきと考えるが、見解を伺いたい。

8.豊かな海づくりについて

 令和4年4月1日に施行された瀬戸内海環境保全特別措置法の改正では、関係府県知事が栄養塩類管理計画を策定することで、栄養塩類増加措置の実施者に選定された工場・事業場については、環境省の水質汚濁防止法に基づく総量規制基準の適用除外とされることとなった。  神戸市内で栄養塩類増加措置実施者に選定されているのは、垂水処理場のみである。  一方で、垂水処理場が面する大阪湾西部海域、大阪湾(ハ)の観測では、全窒素濃度について、県条例が定める最低下限基準を下回っており、2013年度以降、ほぼ全ての年度において県条例の基準値違反の状態が続いているが、垂水処理場では一昨年の法改正・県計画策定以降も、栄養塩管理運転の方法は変わっていない。 また、今月末までに大阪湾流域別下水道整備総合計画(流総)の基本方針が定まるが、その中では、栄養塩類増加措置の実施者に選定された事業場に対する総量規制基準の適用除外については、下水道法に基づき水質環境基準を達成するために定められる流総においても、当然その趣旨が達成されるよう解釈されるべきとの旨が記載される予定と伺っている。  法改正の趣旨、並びに現在近畿地整を中心に国において調整が進んでいる豊かな瀬戸内海に向けた取り組みの達成のため、垂水処理場における高度処理を停止するなど、抜本的な栄養塩類増加措置に取り組んでいくべきと考えるが、見解を伺いたい。
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