令和6年
 第2回定例市会 9月議会

[一般質問]要旨
 令和6年第2回定例市会9月議会最終日の10月24日に、しらくに高太郎 議員(垂水区選出)及び、植中 雅子 議員(北区選出)は、市長及び副市長に一般質問を行いました。

[一般質問]要旨 しらくに 高太郎 議員(垂水区選出)

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1.「住むなら神戸」と言われるための取り組みについて

(1)快適な住まいの実現
 神戸は、海・山に囲まれた自然豊かな環境に加え、市が展開する「高校生の通学定期の無償化」などの子育て支援や、防犯カメラの設置などによる安全・安心な暮らしの提供、さらには「都心三宮再整備・駅周辺のリノベーション」といった都心・郊外をバランスよく活性化させていくまちづくりなどによって、非常に良好な住環境が構築されている。様々な施策により、良好な住環境の確保に積極的に取り組んでいることは評価しているが、今後、人口減少という避けられない課題に直面していくことを踏まえれば、「住むなら神戸」と言われるような視点で施策を展開していくことも重要である。そこで、「子育て世帯」に選ばれるための住環境をさらに向上させていくため、親子の近居同居を契機とした子育てしやすい住環境の確保を目的に実施している「親・子世帯の近居・同居住み替え補助」の年齢要件を、昨今の晩婚化や、初産の高齢化を考慮し、緩和してはどうか。さらには、今後は高齢者が増加していくなかで、地域包括ケアシステムを構築していくことが求められることから、例えば、近居・同居世帯に対して継続した支援金を支給するなど、定着につながるさらなる取り組みを行い、高齢者の見守りや、孤独防止など高齢社会の進展に伴い生じる問題の解決にもつなげていくべきと考えるが、見解を伺いたい。
(2)垂水区役所の利便性向上
 現在、本市では、区役所において、総合窓口や、おやこふらっとひろばを設置するなど、利便性の向上をはかっている。とりわけ、垂水区役所では、1階ロビーにストリートピアノや木製ベンチが設置され、子どもたちのピアノ体験教室やロビーコンサートが開催されるなど、区民の憩いの場としても活用されている。一方、垂水区役所の2階は、各種健診の会場となっているが、乳幼児健診の際にはエレベーターホールに待機してもらう必要があるなど、スペースが十分確保されていない。また、庁舎が平成3年の竣工と最も古いため、UDトイレの整備の点においても課題がある。そこで、今後、移転が予定されている1階の垂水図書館のスペースを活用し、これらの課題解決をはかり、より利用しやすい区役所とすべきと考えるが、見解を伺いたい。

2.グリーンアリーナ等のスポーツ施設の利用促進について

(今年の5月に開催された世界パラ陸上競技選手権大会は、参加選手や、国内外から応援に来られた方など、多くの人が神戸に訪れ、スポーツ振興を推進するとともに、大きなにぎわいをもたらした。)市は、グリーンアリーナや、ユニバー記念競技場など、全国大会の会場としても活用できる施設を保有しており、スポーツ振興だけでなく、にぎわい創出の観点からも積極的に活用していくべきである。一方、グリーンアリーナの利用を検討したが、予約の都合で他都市での開催になった全国大会もあると聞く。(グリーンアリーナや、ユニバー記念競技場、中央体育館、ノエビアスタジアム、ほっともっとフィールド神戸などの)施設の予約を調整している神戸市立主要スポーツ施設利用促進委員会の運用では、次年度の予約が確定するのは前年度の1月となっている。多くの観客の来場が見込まれる大規模な全国大会は、1年以上前には開催日が決定しているのが一般的であり、これでは大会日程を組むことが出来ず、神戸市は選択肢から外れてしまう。(他都市のアリーナ等でも2~3年前から予約を開始している事例を鑑みると、)スポーツ振興・にぎわい創出の機会を損失することのないよう、予約を決定する期日を早めるなど、現状の取扱いを見直し、柔軟に対応していくべきと考えるが、見解を伺いたい。

3.マリンピア神戸をはじめとした観光資源の活用について

 マリンピア神戸は、ファッションやライフスタイル、グルメなど多彩なショップを展開する商業施設であり、駅からのアクセスも良く、神戸の活性化には欠かせない魅力的な施設である。来月にはリニューアルオープンを予定しており、報道では、明石海峡大橋の景観を望むこともできるテラスや、BBQエリア、ビーチスポーツが楽しめるエリアなどが設けられるとされ、垂水エリアをはじめとした神戸の活性化に非常に期待している。先日の総括質疑において、我が会派から神戸空港国際化を契機とした効果的な施策展開について質疑したところであるが、マリンピア神戸をはじめ、同じくリニューアルオープンを予定している須磨海づり公園や、明石海峡大橋など、周辺の魅力的な観光資源も含め、如何に活用していくのかが重要である。海に隣接していることを活かし、海上観光の要素を付与するなど、様々な工夫が必要と考えるが、今後の観光誘客に向けた取り組みについて、見解を伺いたい。

[一般質問]要旨 植中 雅子 議員(北区選出)

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1.人口減少時代における就業人口の確保について

 現在、わが国では人口減少時代に直面し、また、東京一極集中が加速度的に進んでいる。さらに、8月には10年ぶりとなる地域手当の支給率の見直しが行われ、本市においては、減額されることが決まるなど、市内の就業人口のさらなる低下が懸念される。全国的に人口が減少することが避けられないなか、持続可能な大都市経営を実現させていくためには、市内の就業人口の維持・減少抑制をはかり、市内経済を活性化させることで、市税収入を確保していくことが重要である。そのためには、雇用を生み出す市内中小企業の基盤を強化するとともに、市内学生等が働きたいと思える魅力的な企業を誘致し、さらには女性の就業環境の向上をはかるなど、多角的な取り組みが必要と考えるが、見解を伺いたい。
(要望1)
 特に女性の社会進出については、「年収の壁」によって、人材確保が困難となっている事例もあると聞く。幼稚園においては、子育て支援や保育補助など人手がかかる事業が増え、パート人材の確保が重要となっているが、年間保育日数を200日として1日4時間働くと、130万円の壁を越えてしまう。業界的にも人材不足が課題となっており、人数を集めることも困難である。国ではこれらの課題に対応するための助成金を支給するなど、対策に取り組んでいるところでいるところであるが、女性がより働きやすい環境・働く意欲が湧く環境の整備に、市としても積極的に取り組んでいただきたいと要望させていただく。
(議員再質問1)
 就業人口を増加させていくという観点において、多くの職業人を産業界や地域社会に輩出している専修学校各種学校の役割も非常に重要であると考える。しかし、市内の中学校・高等学校との連携が十分でないとの課題があると聞いており、専修学校各種学校長、神戸市立中学校長、高等学校長を構成員とする連絡協議会を設置するなど、市としても連携強化に取り組んでいただきたいがどうか。
(議員再質問2)
 本市独自の人口推計によれば、全人口に対する高齢者の人口は、2024年4月時点での約150万人に対し、約42万人であるが、2070年には約88万人に対し、約37万人と老年人口割合は41.9%となり、人口の大部分を占める高齢者の活躍が不可欠と考える。高齢者は若年層に対して、労働力が劣るという先入観を改め、知識・経験豊富なベテランであるという認識をもって、最大限活用していく必要があるのではないか。生産年齢人口は減少していくなかで、対照的に増加する高齢者の就労を促進していくことで、企業には、「労働力の確保」、「高齢者の人脈・経験の活用」、働き手には、「収入の増」、「いきがい・健康増進」、「社会とのつながり」などのメリットがあり、地域社会の活性化にも繫がる。高齢者の継続雇用にむけた取り組みや、経験豊富な高齢者を、その能力を求める企業がスカウトできる高齢者人材バンクのようなマッチングシステムの構築、さらには使用者の意識改革を進めるなど、より強力に高齢者の就労促進に取り組むべきと考えるが、見解を伺いたい。
(要望2)
 人口が減少していくなかで、人手不足を補う高齢者の活躍は、今後の神戸市に不可欠となる。一方で、高齢者が健康でいきいきと働くことができる環境を整備していくことも必要である。経済産業省では、「従業員の健康状態を良好に保って企業の持続的な成長を進める」ために「健康経営」という方針を打ち出し、それを支える関連サービスに「鍼灸マッサージ」を含めた「筋骨格系症状対策」が示されている。政府はこの指針に基づき、各企業が自主的に環境を整えることを求めているが、市としても、現在70歳以上の方を対象としている「はり・きゅう・マッサージ施術割引券」の対象年齢を引き下げ、市のために活躍する高齢者の健康増進に努めていただきたい。
 また、鍼灸・マッサージはプロスポーツチームにおいても活用されるなど、スポーツの世界ではすでにスタンダードな治療となっている。以前は神戸マラソンにおいても、ランナーケアコーナーにて、鍼灸師や柔道整復師等によるボランティア治療が実施され、筋疲労の軽減や、筋持久力の向上に効果があったと多くの方から好評を得ていたが、現在は鍼灸・マッサージのためのコーナーは設置されていない。東京マラソン」や、「大阪マラソン」などでも鍼灸・マッサージによる治療が行われており、ぜひ神戸マラソンにおいても復活していただきたいと要望する。

2.産後ケア事業について

 本市では、産後の生活のアドバイスや、育児相談、乳房のケアや授乳方法の指導などの支援サービスを提供する産後ケア事業を、他都市に先駆けて取り組んできた。しかし、現在の本市における産後ケア事業者への委託単価は、他都市と比較しても低く、昨今の物価高騰の影響により経営が厳しいと聞く。また、利用者が直前にキャンセルが発生した場合のキャンセル料も十分ではなく、経営を圧迫している状況である。今後、人口が減少し人材確保が難しくなっていくなかで、産後ケア事業の質を担保しつつ、持続可能な取り組みとするためには、委託費・キャンセル料の見直しが必要ではないか。来年度からは、都道府県負担が導入され、市負担が半分に減額されることが決まっており、その余剰を活用していくべきと考えるが、見解を伺いたい。
(議員再質問)
 現在、産後ケアの利用時間は9時から17時の8時間となっているが、委託料や、キャンセル料の見直しにあわせて、「助産師の働き方改革」として、利用時間の短縮も検討していくべきではないか。利用時間は5時間程度あれば、授乳方法の確認や、休息、食事提供等も問題なく提供できると考えるが、見解を伺いたい。

3.認知症・フレイル予防について

 本市では、「認知症神戸モデル」として、認知症の方やそのご家族が安心・安全に暮らしていけるよう、認知症の早期受診支援や、事故救済制度を組み合わせて実施する、全国初の制度を展開している。国の「認知症施策推進大綱」においては、「周囲や地域の理解と協力の下、住み慣れた地域の中で尊厳が守られ、自分らしく暮らし続けることができる社会を目指す」とされており、市民の協力のもと成り立つ「認知症神戸モデル」はまさに、この考え方を踏まえた制度である。この先進的な取り組みは様々なメディアで取り上げられ、我が会派をはじめ、多くの評価を得ている。「認知症神戸モデル」の個人市民税均等割の上乗せにかかる特例は令和6年度末で期限を迎えるが、引き続き、認知症の人にやさしいまちづくりを推進するため、延長すべきと考えるが、見解を伺いたい。
(議員再質問)
「認知症神戸モデル」を継続していくことも重要であるが、これまで認知症に対する取り組みを先進的に実施してきた神戸市として、フレイル予防も含め、高齢者や認知症の方を地域で支えるもう一歩踏み込んだ取り組みを検討していくべきである。例えば、他都市では、ボランティア団体によって、空き家を改装し高齢者の交流拠点を開設した事例や、「認知症高齢者等SOSネットワーク事業」の中で、衣類や所持品などにQRコードが貼付されたラベル・シールを張り付け、行方不明になった際に、事前に登録している家族等へ連絡が届く仕組みの構築、また、認知症に関する研修を受けたボランティアによる見守り体制の提供を実施している都市もある。このような他都市事例を参考のうえ、住民や商業者等の協力も得ながら、空き家や、空き店舗を活用した認知症対策や、フレイル予防のための高齢者の居場所づくりや、見守り強化に、地域全体で取り組んでいくべきと考えるが、見解を伺いたい。
(要望)
 要介護高齢者に対する歯科医療の介入の重要性がしめされているが、認知症においても、認知症が進行する前に可能な歯科治療を確実に行っておくことが必要である。先ほども申し上げたとおり、認知症神戸モデルでは、早期受診を支援しているが、軽度認知障害の段階で歯科治療を実施しておくことの必要性をパンフレット等で周知するなど、市としても積極的に啓発いただくことを要望する。

4.放置竹林対策について

  神戸市の竹林は、50年前は150ヘクタールだったが、今では1,000ヘクタールにまで拡大している。竹林の放置は、農地への悪影響だけでなく、竹は、木と違い根を浅くはるという特徴があり、土砂災害などの災害を引き起こす危険性もある。このように、マイナス面が目立つ竹であるが、資源としても高いポテンシャルをもっており、これまでの議会等でも述べてきたとおり、「竹害」を「竹財」に変えていくことで、真珠の加工のように、「竹の活用」が神戸のブランドとなれば、放置竹林対策だけでなく、循環型農業の推進にもつながる。「淡河バンブープロジェクト」のような竹の資源化に取り組む団体や、専門家・大学との連携、「神戸SDGs基金」の活用はもちろんであるが、黒田副市長の専門的な知見に基づき、新たな取り組みにチャレンジすることを大いに期待している。例えば、神戸の竹が芸術品や家具、教材など多用途で活用され、神戸のブランドとなるよう、課題である伐採後の運搬手法も含めて、神戸の竹を有効活用するビジネスモデルを構築していくべきと考えるが、見解を伺いたい。
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