令和7年
 第1回定例市会 2月議会
令和7年度神戸市当初予算案
予算特別委員会[総括質疑]要旨

[総括質疑] 要旨   平井 真千子 議員(長田区選出)

 3月13日に開催されました令和7年度 神戸市当初予算案 予算特別委員会 総括質疑において、 平井 真千子 議員(長田区選出)は、「神戸空港の国際化を踏まえた観光施策について」など、市長及び関係当局に質疑を行ないました。
[ 録画映像を見る ]

映像スタート

1.新都市整備事業会計の総括について

 令和7年度予算では新都市整備事業会計に関して様々な議論が行われた。宅地造成事業は、地価下落等の社会情勢の変化により、全国的に厳しい経営状況となるなか、本市の新都市整備事業会計は、住宅及び産業用地の供給を通じて、神戸の都市基盤と経済基盤の礎を構築し、現在の街の発展に大きく貢献してきた。また、新都市整備事業で造成された空港島では、神戸空港が4月から国際化され、新たな国際都市として発展する可能性を手にすることができた。さらには、会計閉鎖によって、多くの資金と土地が一般会計に引き継がれ、将来世代の負担軽減につながる公債費の繰上償還も行われる。これらを踏まえると、神戸が取り組んできた新都市整備事業は、評価に値すべき成功事例と考えるが、新都市整備事業の閉鎖にあたっての総括・評価について、市長の見解を伺いたい。

2.神戸空港の国際化を踏まえた観光施策について

 局別審査では、MICEの推進や須磨シーワールドをはじめとした観光拠点の魅力向上等について質疑し、今後、着実な実施を期待する一方で、インバウンド誘客については大阪や京都と比べ、大きく後れをとっていることについて懸念している。国際化した神戸空港が単なる通過点で終わることなく、インバウンド観光客が神戸で滞在し、地元経済の活性化に寄与させていくためにも、通年かつ集客力のあるコンテンツの造成が必要である。例えば、神戸港ウィークエンド花火の毎週末開催や、1000万ドルの夜景を活用した魅力あるナイトタイムエコノミーの取り組み、さらには、淡路島を含む瀬戸内方面などへの新たな海上交通の充実によるウォーターフロントエリアの魅力向上等に取り組むべきと考えるが、見解を伺いたい。

3.部活動の地域移行について

 先の代表質疑では、教員がコベカツに参画する際の留意事項である、勤務校での活動禁止や活動時間の制約の柔軟な対応に関して質疑を行い、「留意事項はあくまで原則であり、兼職兼業の手続や運用面においても柔軟に取り組んでいく」旨の答弁がなされた。勤務校での活動禁止や活動時間の制約は「本来業務との混同を避けること」が目的とされているが、本来は移行後に問題が顕在化した時点で検討すべきである。また、フレックスを活用したうえで、業務外の時間をどう過ごすかは、教員個人が決めるものであり、制約を課すべきではない。代表質疑での答弁を踏まえると、勤務校での活動禁止や活動時間の制約に関しては、見直しが図られるものと理解しているが、改めて、教員がコベカツに参画する際の具体的な運用について、見解を伺いたい。
(議員再質疑1)
 これまで部活動の大会組織運営は、主に教員が支えてきたが、部活動の地域移行が進めば教員の関わりが少なくなり、大会運営が困難になるのではと危惧している。教育委員会は「教員の関わりが少なくなれば、大会開催や運営に大きな影響があるため、持続的に運営するための方策を検討する」とのことであるが、検討結果がどのような内容であっても、これまで通り、子どもたちが目標をもって活動を続けられるよう配慮すべきである。そのためには、コベカツ移行後も教員が柔軟に大会運営に関わるべきであり、特に、先行実施期間は、教員が積極的に関わり、確実に大会運営を継続すべきと考えるが、見解を伺いたい。
(議員再質疑2)
 部活動の地域移行は、教員、子ども、保護者にとって、これまで経験が無い大きな大改革であり、より丁寧な対応が求められるが、日頃、保護者と接する教員がコベカツの目的や趣旨、取り組みの方向性等を正確に理解できておらず、また、PTA離れなど教員と保護者の関係が希薄化していることにより、保護者の正しい理解が十分に進んでいないと感じている。部活動の地域移行は、保護者や教員と一体になって進めていくことが重要であるため、今後、どのように教員・保護者に対して理解を深め、賛同を得ながら進めていくのか、見解を伺いたい。

4.学校式典における国歌斉唱と国旗掲揚について

 先の局別審査では、我が会派の上畠議員より、神戸市立小学校における、「君が代」の学習状況や、式典における斉唱状況に関して質疑を行った。当局からは、全ての学年において学習し、式典における斉唱は全校で適切に実施されている旨の答弁があったが、全教員や生徒がその意義を理解し、実施できているのかについては疑問が残る。国歌斉唱や国旗掲揚は、学習指導要領においても重要性について明記されており、日本の歴史や伝統を改めて認識し、式典等の行事の厳粛さや重要性を強調するための重要な取り組みであると考える。今後、グローバル化がますます進展する中、日本人としてのアイデンティティや、他国文化を尊重する価値観を育むためにも、国歌斉唱や国旗掲揚を行うとともに、児童に対して国歌や国旗の意義について学習指導を行うべきと考えるが、見解を伺いたい。

5.幼稚園等における特別支援教育について

 先の局別審査おいて「公立幼稚園は障害児を受け入れているが、私立幼稚園は受け入れを拒否している事例がある」という質疑に対して、当局からは「関係団体によると、96園で1000人の障害のある子供を受け入れの努力をされており、市としても、応諾義務について周知徹底を図っている」との答弁があった。すこやか保育の拡充については非常に評価しているが、十分な障害児の受け入れを可能とする体制となるような支援が必要であり、私立幼稚園および学校法人が設立した認定こども園における、1号認定の子どもの特別支援教育についても、兵庫県に働きかけるなど、保護者の安心感につながるよう取り組むべきと考えるがどうか。

6.森林関係施策の推進と大規模火災などへの対策について

 神戸が有する、都心に近接した海と山といった豊かな自然環境は大きな財産であるが、生活様式の変化や担い手不足、自然環境の管理不全等から、森林・里山の荒廃が進んでいる。神戸の森林・里山を将来にわたって守り育てていくためには、SDGsの観点から、資源循環の視点を持って適切に管理を続けていくことが重要であると認識している。里山等の保全や資源循環の取り組みには、森林の所有者だけでなく、加工・流通・販売を行う業者、さらには民間企業や大学など、多様なプレイヤーの巻き込みが重要である。しかし一方で、プレイヤーの巻き込みこそが最も大きな課題であると考えている。今後、神戸の貴重な財産である森林・里山の保全・活用を着実に進めていくにあたり、多様なプレイヤーをどのように巻き込み、森林関連施策を進めていくのか、見解を伺いたい。

7.防災庁の拠点誘致について

 国が、令和8年度中に、事前防災から復興までの一連の災害対策を総合的に講じる、防災庁の拠点設置の可能性を示し、これまで本市としては、神戸周辺への設置を国に要望してきた。神戸は阪神・淡路大震災を経験し、復興を成し遂げた自治体であり、災害対策や復興における知見やノウハウも有している。しかし、将来発生することが予想される南海トラフ地震等の大規模災害に備えるためには、更なる官民連携のよる防災体制の強靭化が必要であり、震災から30年という大きな節目を迎えた本市としては、迅速な災害対応につながることが期待される防災庁の拠点誘致について、これまで以上に国に働きかけていくべきではないかと考えるが、見解を伺いたい。

8.市の契約における著作権の取り扱いについて

 先の経済観光局の局別審査では、都市型創造産業におけるアイデアや技術などの成果物は、今後の事業拡大や継続の生命線であり、クリエイターや事業者が安心して知的創造ができる環境づくりのために、著作権の保護が重要であることを指摘したが、この課題は都市型創造産業に限らず、全市の契約に通じるものである。本市共通の契約約款において、著作権の譲渡を求めない対応が可能となっているが、実際の契約においては、著作権の取り扱いを十分に検討することなく、著作権を市に帰属させたり、印刷物の原稿データも市に納品しているケースが多いと聞く。デザイン制作等は相当の労力を要するため、発注者側の意識を改める必要があるのではないか。クリエイティブ人材の育成や競争性の確保のためにも、各局に対して、事業者の著作権の取り扱いに関する認識を改めていくよう、周知すべきと考えるが、見解を伺いたい。

9.私道における下水インフラの改修助成について

 先の代表質疑や局別審査では、我が会派の山下議員から、埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえ、市民の安全・安心を守るために、下水道管の維持管理に関して質疑を行った。今般の事故は、全国的に下水道管の老朽化が進むなか、人手不足や人口減少等に伴う料金収入の減少により、インフラの維持管理や補修が進まないことが課題と認識している。一方で、家庭からの生活排水を公共下水道に流すための排水管や汚水桝などの排水設備は住民所有であり、その維持・更新も所有者の負担となるが、公共下水のインフラと同様、設備設置から相当の年月がたち、また今後、住宅の老朽化が進む中、排水設備の老朽化について不安の声が高まっている。かねてから、私有地の排水設備の改善や更新について、市として支援の必要性を指摘してきたが、当局は「他都市事例を踏まえて支援策を検討する」との答弁に留まっていた。公衆衛生を守る下水道システムを健全に機能させ続けるために、さらに一歩踏みこんだ支援が必要と考えるが、見解を伺いたい。

市会情報一覧に戻る