令和7年10月10日に開かれた神戸市会第2回定例会において、当会派の村上立真議員が登壇し、神戸の将来を左右する「海と空」の基盤整備について幅広く質問を行いました。

1.ウォーターフロントの将来像 ― 京橋エリアの埋立てによる回遊性向上へ
村上議員は、京橋エリアが長年ウォーターフロントの回遊性の課題となってきた点を指摘し、今回の京橋船だまりの埋立て事業について、
- にぎわい創出
- 阪神高速の老朽化対策
- 負担金活用による市の財政負担軽減
という“三方よし”の公民連携であると評価しました。
さらに、高浜岸壁から新港エリアまで連続した動線をつくることで、LRT・BRT等の新しいモビリティ導入にも道が開けると提案しました。
▼ 市側の答弁(要約)
- 京橋埋立ては、阪神高速の大規模更新と連動して初めて実現した重要事業。
- 2040年を見据えた「神戸ウォーターフロントグランドデザイン」に基づき、
- 京橋:回遊とにぎわいのエントランス形成
- 中突堤:観光・緑地の再整備
- 新港突堤西:マリーナ整備・ミクストユース化
を進める。
- 市民や観光客に情報発信し、エリア全体の価値向上につなげていく。
2.港湾機能の強化と雇用創出 ― 六甲アイランド「複合ターミナル」形成へ
ポートアイランド高規格コンテナターミナルの整備・移転に伴い、六甲アイランドに新たに生まれる物流用地を、
「流通加工機能付き上屋」の整備によって、港湾労働の雇用創出につなげるべきと提案しました。
特に、加工・組立・梱包など高度な物流が可能になるには、保税制度の規制緩和が不可欠であるとし、国との協議の進捗を問いただしました。
▼ 市側の答弁(要約)
- 六甲RC-4・5は、コンテナと在来貨物を扱う複合ターミナルとして整備を進める。
- 港で加工し完成品として輸出するなど、“高付加価値貨物”の創出を目指す。
- 保税制度の緩和は重要であり、国に対して粘り強く協議を継続。
- 既に一部の制度運用見直しが進んでおり、今後も官民一体で取り組む。
村上議員からは、将来のフェニックス地区開発を見据え、今回のターミナルが**「世界に誇れる港づくり」の中間ステップ**となるよう求めています。
3.神戸空港の国内線活性化 ― インバウンド+アウトバウンドの両方を強化
神戸空港は12都市と結ばれ、国内線利用は好調ですが、新幹線との競合や原価上昇など国内線全体が厳しい状況にあります。
村上議員は、
- インバウンド(訪日客)の国内線乗り継ぎ促進
- 地方空港 → 神戸空港 → 海外 の「内際トランジット」強化
- 地方発のアウトバウンド需要拡大
- 小口貨物(例:トキエアによる農産品輸送)による路線収益の安定化
など、神戸空港の持つ潜在力を最大限に引き出すべきと提案しました。
▼ 市側の答弁(要約)
- 国内線は就航都市との相互交流・観光振興に寄与しており、引き続き各都市と連携して利用拡大を進める。
- 神戸空港の国際化により、地方空港とのネットワークはさらに価値を増す。
- インバウンドだけでなくアウトバウンドも重要で、双方の需要拡大に取り組む。
- トキエアの小口貨物の取組は地域間連携を深めるものであり、航空会社・物流事業者と連携して検討を進める。
4.内航フェリーの活性化 ― トラック不足時代の“海の大動脈”を守る
神戸港では九州・四国を結ぶフェリーが旅客・貨物の両面で大きな役割を果たしています。
一方、船員不足や燃料費高騰など厳しい経営環境にあるため、村上議員は航路維持のための支援策強化と国への働きかけを求めました。
▼ 市側の答弁(要約)
- モーダルシフトに資する重要な交通基盤として、これまで
- 集貨インセンティブ
- 新規貨物の海上転換支援
- 就航都市との観光PR
を実施し、効果が出ている。
- 船員不足による減便には迅速に対応し、新航路を確保した。
- 燃料費高騰については、税の還付措置延長を国へ強く要望中。
- 今後もフェリー会社と連携し、航路維持と利用促進に取り組む。
■ 会派としての考え
ウォーターフロントの再整備、港湾機能の進化、神戸空港の活性化、内航フェリーの維持強化は、いずれも 神戸の都市力を底上げする「海と空の総合戦略」 です。
当会派は、
- 神戸の雇用創出
- 物流・観光の強化
- 市民の利便性向上
につながる政策を引き続き提案し、着実な推進を求めてまいります。


