令和7年10月10日 神戸市会第2回定例会 平井真千子議員 一般質問のご報告

令和7年10月10日に開会された第2回定例市会本会議において、当会派の平井真千子議員が一般質問に立ちました。
質問は、今後の神戸市政の方向性に深く関わる以下の5点について行いました。

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1 地方創生2.0と神戸のまちづくりの方向性

国が本年6月に示した「地方創生2.0」は、人口減少を正面から受け止め、人口獲得競争から脱却し、人口減少下でも機能する地域社会・産業構造への転換をめざすものです。

平井議員からは、

  • 神戸市は従来から「持続可能な都市運営」を掲げており、国の新方針は神戸市の理念と合致していること
  • 国の方針転換を追い風として、東京一極集中や人口減少という課題にどう立ち向かうのか
    について市長の見解を質しました。

これに対し市長からは、

  • 目先の人口規模ではなく、将来にわたる持続可能性を重視してきたこと
  • 都心・既成市街地・郊外ニュータウン・里山農村の「3つの再生」を掲げ、未利用地活用や緑陰空間の創出など新たな価値づくりを進めること
  • 神戸空港国際化も追い風に、神戸が関西全体の発展にも貢献していくこと
    などの答弁がありました。

2 住宅供給の促進と市有地・公共施設跡地の活用

本市は、2030年までに「戸建て中心で5,000戸」の住宅供給方針を掲げ、市有地売却の公募を開始しています。
一方で、現時点では郊外物件が中心であり、市街地の空洞化や市有地の遊休化も課題となっています。

平井議員からは、

  • 市街地に眠っている市有地がないか洗い出し、住宅供給やエリア再生に積極活用すべきこと
  • 長田区の市営住宅跡地や西市民病院跡地など、市街地の公共施設跡地を面的にとらえ、人口密度を維持できるまちづくりを進めるべきこと
    を提案しました。

市長からは、

  • 小規模な市有地から宅地分譲を始めたところであり、今後は1,000㎡超の未利用地も対象にサウンディング調査を進めること
  • 西市民病院や市営住宅跡地などについても、住宅に加え利便施設や子育て支援機能の導入など、エリア価値・地域のにぎわい向上に資する活用を検討すること
    との答弁がありました。

3 猛暑への適応策と子どもの運動機会の確保

近年の猛暑により、夏休み期間中、子どもたちが屋外で安全に活動することが難しい状況が続いています。
今年は兵庫県内で熱中症特別警戒アラートが58回発令され、体力低下も懸念されます。

平井議員は、

  • 公園遊具への遮熱ネット設置など、真夏でも遊べる環境の整備
  • 夏休み期間中の小学校体育館の開放、市立体育館等の無料開放による、屋内での運動機会の確保
    を求めました。

市長からは、

  • 「こうべ木陰プロジェクト」やミスト・水盤など既存の取組に加え、東遊園地でのスマートシェード実証結果も踏まえつつ、公園への遮熱対策を検討すること
  • 教育委員会と連携し、小学校体育館の開放、市立体育館の活用・開放について前向きに検討していくこと
  • 部局横断で情報共有し、神戸市地球温暖化防止実行計画に掲げる“適応策”を一層加速させること
    が示されました。

4 予防重視の健康施策と口腔機能・はりきゅう・女性の健康

(1)高齢者の口腔機能維持

8020運動やオーラルフレイル対策により、高齢者の残存歯数は増加していますが、それに伴い、嚥下機能低下など新たな課題も生じています。

平井議員は、

  • こうべ市歯科センターにおける摂食・嚥下機能への対応強化
  • 訪問歯科診療・訪問口腔ケアの拡充
    を求めました。

副市長からは、

  • 歯周病検診・オーラルフレイルチェックの受診促進を図ること
  • 歯科医師会・歯科衛生士会と連携し、訪問歯科・訪問口腔ケアの取組を支援していくこと
  • 歯科センターでのニーズ把握と課題整理を進めること
    が答弁されました。

(2)はり・きゅう・マッサージ施術助成の見直し

本市では、70歳以上の方に年間3,000円分の「はり・きゅう・マッサージ施術割引券」を交付していますが、利用率は約4割にとどまっています。

平井議員からは、

  • 鍼灸は“病気になる前に整える”予防的医療としての側面が強く、高齢者福祉に限らず、前期高齢者や働く世代も対象に含めるべき
  • 事業目的を「予防・健康増進」として再整理し、対象年齢の引下げや制度の見直しを検討すべき
    と提案しました。

副市長からは、

  • まずは現行制度の利用促進のため、利用枚数制限の撤廃や周知強化、電子申請導入等を進めていること
  • 働く世代への健康支援として、健診・保健指導・健康教室などの取組も行っており、こうした施策を引き続き推進すること
    との答弁がありました。

(3)女性の健康と妊娠しやすい体づくり

晩婚化・高齢出産の進行を踏まえ、妊娠しやすい体づくりや女性特有の健康課題に対する支援の重要性が増しています。

平井議員は、

  • プレコンセプションケア(妊娠前からの健康管理)を一層推進すること
  • 鍼灸やフェムテックなど、新しいヘルスケア手法も活用し、「子どもを授かるところからの切れ目ない支援」を充実させること
    を訴えました。

副市長からは、

  • 若年層向けセミナーや大学での出前講座、働く女性向けヘルスケアイベントを実施していること
  • 女性のウェルビーイングとヘルスケアをテーマにした産業化支援や、神戸大学とのデータ分析を進めていること
  • 新たな医療モデルやテクノロジーの動向も注視しつつ、女性の健康づくり施策を一層充実させていくこと
    が示されました。

5 民間病院への支援と救急医療体制の維持

全国的に病院経営が厳しくなる中、神戸市内の民間病院も、赤字や人件費・物価高騰への対応など、大きな負担を抱えています。

平井議員は、

  • 二次救急医療の搬送件数は増加しているにもかかわらず、神戸市の補助額は約10年間据え置きで、実質的な支援は低下していること
  • 民間病院は市民病院以上に倒産リスクと隣り合わせであり、人材確保やDX投資が進まない実情があること
    を指摘し、支援強化を求めました。

副市長からは、

  • 二次救急病院協議会の病院群輪番体制は、市内救急医療の中核であり、搬送患者の7割近くを担っていること
  • 搬送件数の増加・加盟病院の減少傾向・物価と人件費の上昇も踏まえ、令和8年度予算編成の中で運営補助の在り方を検討すること
    が答弁されました。

おわりに

人口減少・猛暑・医療・健康・住宅など、本市が直面する課題は多岐にわたります。
当会派として、

  • 持続可能な都市構造への転換
  • エリア価値を高めるまちづくり
  • 予防に重点を置いた健康・医療施策
  • 子ども・女性・働く世代を支える切れ目ない支援
    に引き続き取り組んでまいります。

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