
令和7年9月8日 神戸市会第2回定例会にて当会派を代表して上畠寛弘議員が、市政の重要課題について質疑を行いました。
人口減少への対応、森林施策、時間外勤務縮減、廃棄物行政、防犯カメラの高度化、港湾管理、WTO調達、人材確保など、神戸の将来に直結する幅広いテーマを取り上げ、市としての明確な姿勢と今後の方針を質しました。
1.人口減少時代における市の姿勢と情報発信の徹底について
上畠議員からは、
- 神戸市の人口減少の受け止め方
- 取り組むべき基本方針
- 市民への誤解を生まない情報発信の重要性
を指摘し、市としての明確なメッセージ発信を求めました。
■ 市長答弁
久元市長は人口減少への基本姿勢として、
- 減少幅の抑制(自然減・社会減の両面から)
- 人口減少時代にふさわしい新たな発想による施策展開
の2点を明確に示しました。
子育て支援や若年層の結婚支援、都市の魅力向上策に加え、空き家・空き地のスポンジ化対策など、従来とは異なる視点が必要であることを強調。
また、市の考え方が十分に伝わっていない点を踏まえ、Webサイトの記載内容の点検・改善など情報発信の強化に取り組むと答弁しました。
2.森の未来都市神戸と森林施策の推進について
神戸市の森林(市域の約4割)は防災・環境だけでなく地域経済とも深く関わる重要資源です。
市税投入を拡大するならば、市民・企業の理解と共感につながる「目指すべき森の姿」を明確に示す必要があると質しました。
■ 副市長(黒田)答弁
森林施策の専門家でもある黒田副市長からは、
- 神戸の森の多くは“人が手を入れてきた里山”であり、適切な管理が不可欠
- 森林資源を地域経済に循環させる仕組みづくりが最重要
- 製材・木工・キャンプ場など多様な産業と連携し、地域メリットを創出
- 広葉樹材不足という市場課題にも神戸の資源で応える可能性
など、極めて専門的な観点から今後の方向性が示されました。
今年度中に六甲山森林整備戦略の改定を行い、3〜5年後の具体的数値目標を設定。
市民向け広報や教育的取組も強化し、**“切って使って再生させる循環型の森づくり”**を推進すると明言しました。
3.時間外勤務の削減と働き方改革の推進
人件費・職員の健康・人材確保など多方面から重要となる時間外勤務削減。
上畠議員からは、AI活用や管理職マネジメント強化など「次の一段階」の取り組みを求めました。
■ 副市長(今西)答弁
- 平成28年度 → 令和6年度で月 2.7時間の削減を達成
- 分析ツール導入で各局の勤務状況を“見える化”
- フレックスタイム制の柔軟運用
- AI活用(議事録作成、FAQ、Excel自動化、OCRによる市民意見集約 等)をさらに拡大
- 業務改革パッケージで多忙部署を重点支援
今後も、管理職のリーダーシップ強化とAI活用の拡大により削減を進めると答弁しました。
4.廃棄物行政(プラスチック分別・焼却施設)について
容器包装プラの中間処理費は年間約3億円。
国の制度変更により、焼却施設整備の補助金(例:600t施設で約100億円)が「製品プラ分別実施」を条件に追加され、神戸市にとって重要な政策判断が求められています。
■ 市長答弁
- プラ新法により容器包装プラ+製品プラの一括再商品化が可能となり、中間処理費圧縮の可能性
- 補助金制度の影響は大きく、財政面からも慎重かつ迅速に判断する
- まずは事業者向けサウンディングを実施し、具体的制度設計に着手
“市民負担に配慮しつつ、トータルコスト最小化を目指す”との考えが示されました。
5.港湾法に基づく港湾管理の徹底について
港湾管理者(神戸市長)には、法令遵守・平等原則・比例原則に基づく判断が求められます。
既存の先例を踏まえた一貫した許可運用を整えるべきと質疑しました。
■ 市長答弁
港湾法に基づき、国の方針を踏まえながら適法・適切な管理を徹底すると明確に答弁しました。
6.防犯カメラの高度化(AIカメラ導入)について
事件後の捜査だけでなく、事件発生“前”の予防に資するAIカメラの導入について質しました。
■ 市長答弁
- 都心部で市設置カメラ100台を増設(補正予算決定済)
- AIカメラは悲鳴検知・速度検知など他都市でも活用
- 技術進化を見極めつつ、導入可否を慎重に検討
市民の体感治安向上を念頭に、技術動向を踏まえた段階的検討を進める姿勢が示されました。
7.WTO調達(学習端末)と中国製品問題について
粗悪品回避や人権問題を踏まえ、GPA未加盟国(中国)製品を排除できるかどうか、WTOルールの解釈明確化を求めました。
■ 副市長(今西)答弁
- 中国はGPA非加盟国であり、外務省へ解釈確認中
- WTO案件は自治体の地元発注を阻害するなど課題も多く、国による制度見直しを期待
■ 教育長答弁(学習端末の更新状況)
新しい端末について、
高い信頼性・堅牢性・安全性を担保できる仕様書に改めた結果、Apple社 iPad を採用したと報告。
8.人材確保のための処遇改善について
優秀な人材を惹きつけ・引き止めるためには、給与・福利厚生の充実が不可欠であることを指摘。
■ 副市長(今西)答弁
- 給与は“民間準拠”による勧告制度に基づき決定
- 福利厚生は柔軟性が高く、他都市・民間を参考に拡充を検討
- 20代若手職員を含む現場の声を踏まえ、処遇改善を進める
まとめ
本日の代表質疑では、人口減少・森林施策・働き方改革・廃棄物行政・防犯・港湾管理・国際調達・人材確保など、神戸市の未来を左右する大きな論点に踏み込んだ議論が交わされました。
特に、
- 森の未来都市 神戸の推進
- AI活用による行政改革
- 市民負担と財政を見据えたプラ行政の再構築
- 人材確保に向けた待遇改善
などは今後の市政運営の重要テーマとなります。
当会派としても、引き続き市政の課題に真摯に向き合い、神戸の未来に責任ある提案を続けてまいります。

