大都市行財政制度に関する特別委員会が開催され、今回は 参考人からの意見聴取に加え、大都市制度を巡る最新動向について当局から報告を受けました。

参考人(大阪大学大学院 法学研究科 教授 北村 航 様)からの意見聴取
冒頭、参考人として大阪大学大学院 法学研究科 教授(法政実務連携センター長)の 北村 航 様より、「指定都市の役割とこれからのあり方―神戸市の位置づけと方向性」をテーマに、約1時間にわたり詳細なご説明をいただきました。
北村教授からは、まず日本の地方自治制度(市町村・都道府県の二層制)を概観した上で、政令指定都市制度の特徴、歴史的経緯(特別市構想から指定都市制度への変遷)や、都市の権能の“入れ子構造”など、制度の全体像が示されました。
その上で、統計分析(主成分分析等)により、政令指定都市20市の中での神戸市の位置づけ、さらに兵庫県内41市町との比較、神戸市9区の特性比較といった、データに基づく客観的な論点が提示されました。
特に神戸市に関しては、都市の中枢性や持続可能性、また市内9区の特性の違いを可視化し、「施策の配分や重点化は、地域特性に応じた戦略が重要」との示唆がありました。さらに、市民意識(地域好感度)と施設配置の関係に関する分析結果を踏まえ、「高齢化が進む中で必要となる施策を、市民意識の理解と共に進める重要性」についても言及がありました。
当会派からは「植中 雅子議員」が発言
今回の委員会では、当会派から、植中 雅子議員が発言し、北村教授の分析・提言を踏まえながら、神戸市の今後の都市経営や制度議論の進め方について質疑・意見が交わされました。
(※議事録上、北村教授のデータ分析の評価、区ごとの特性や行政体制のあり方、制度改革論の現実性などに議論が及んでおり、委員会としても今後の深掘りが求められる内容でした。)

当局からの報告:指定都市市長会・広域連携の動向
休憩後、企画調整局より、次の報告がありました。
① 指定都市市長会の活動状況
指定都市市長会は、指定都市20市で構成され、大都市行財政の円滑な推進等を目的に活動しています。
また、神戸市長が指定都市市長会の会長に就任しており、本年11月に再任されたことが報告されました。
加えて、「多様な大都市制度実現プロジェクト」において、人口減少時代を見据えた制度の早期実現に向けた提言が進められていること、国会議員による「指定都市を応援する国会議員の会」との連携・要請活動など、制度実現に向けた動きが共有されました。
② 広域連携の取り組み(関西広域連合・他都市連携)
関西広域連合による広域行政の取り組み(7分野の事務・政策調整)、分権型社会の実現に向けた権限移譲要望、防災庁創設や関西拠点設置の要望等が説明されました。
また、大規模イベントへの対応として、万博や国際大会等を契機とした取り組み、経済団体と連携した「関西広域リージョン連携宣言」についても報告がありました。
神戸市としても、周辺自治体に限らず、複数の市町との連携を進めていることが示されました。
委員会質疑:イベント効果の「検証」とエビデンスの重要性

当局報告に対する質疑では、万博や国際大会などの大規模イベントが、神戸への誘客・経済効果にどの程度つながっているのかという点が取り上げられました。
当局からは、現時点で定量的な数字の整理が十分でない旨の説明があった一方で、今後は可能な限りデータに基づく効果測定を行い、次の施策展開に生かす必要があるとの認識も示されました。
おわりに
今回の委員会は、制度論にとどまらず、データ分析を踏まえた神戸市の都市経営の課題、さらに広域連携やイベント効果の検証といった実務面にも議論が及び、非常に示唆に富む内容でした。
当会派としても、参考人の提言や委員会での議論を踏まえながら、神戸市が人口減少時代においても持続的に発展できるよう、制度・財政・広域連携・行政体制のあり方を引き続き議論し、政策提言につなげてまいります。
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