令和8年9月29日 決算特別委員会 第2分科会(建築住宅局)【大野陽平委員による質疑】

こうべぐらし応援補助金(住みかえーる)の団地活用型の成果、ファミリー世帯向けマンションの供給状況、市営住宅の若年ファミリー世帯向け活用、高経年マンション外観調査、市営住宅附帯施設の活用、管理不全空家等に対する指導・勧告の運用に関して、当会派の大野陽平委員が質疑をおこないました。

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1.こうべぐらし応援補助金の住みかえーる団地活用型の成果について

大野委員 本制度は階段室型住宅の空き住戸活用や世代循環を目的としているため、利用件数だけでなく入居者の年齢構成や子育て世帯数の変化を検証することが重要である。制度開始前と比較したUR団地の稼働率や世帯構成の変化、および若年層の居住促進やニュータウン活性化への寄与度について見解を問う。

建築住宅局 URの個別詳細データは経営情報のため市へ提供されていないが、URによれば対象団地全体で稼働率が微増し、一部で平均年齢の低下や子育て世帯の増加が見られ、近隣他市と比較しても一定の効果が出ている。また、住民基本台帳の分析でも一部団地で若年層の割合が維持されており、本制度は若返りや活性化に一定の効果をもたらしていると評価している。

大野委員 より正確な因果関係を把握するためにURへ詳細なデータ提供を求めるべきである。また、数字に表れない団地住民の交流や入居の「ストーリー」に着目することも重要である。その上で、現在の利用者アンケートで住み替えの後押し効果が十分に分析できているかを問う。回答者の負担に配慮しつつ、「補助がなくてもその地域を選んだか」など、居住地選択への直接的な影響度合いを踏み込んで把握できるよう、設問内容や調査手法を改善すべきではないか。

建築住宅局 電子申請時のアンケートでは、物件を探す前・探している時に制度を知った人の9割以上が「居住地選択に影響があった」と回答しており、一定の効果は確認できている。ただし、制度が直接的・間接的にどれほど意思決定に影響したか踏み込んで問うことも有効であるため、回答者の負担に配慮しつつ、より効果的な設問への改善を検討していく。

大野委員 仮に「住みかえーる」の補助金がなかった場合、利用実績(親子近居・同居403件、団地活用型184件)はどれくらい減っていたと感じるか、肌感覚としての見解を求める。

建築住宅局 肌感覚としても、どれほど減っていたかを数値でお答えするのは難しい。

大野委員 令和8年度から団地活用型に「持家」を対象に加え、ひとり親世帯の要件も見直した背景や分析内容について問う。また、今後利用実績や市場動向をどのような観点で検証し、制度改善に生かしていくのか。

建築住宅局 住宅価格高騰の中で階段室型分譲団地のリノベーション事例が増えていることや、国の住生活基本計画(ストック価値の最大化)を踏まえ、賃貸だけでなく持家も対象とした。また、ひとり親世帯の要件は他施策と同様に「18歳以下の子と同居する世帯」まで拡充した。今後はアンケートや統計調査を通じて居住地選択への影響を分析し、継続的に制度を見直していく。

大野委員 他都市でも同様の補助施策があるが、若年・子育て世帯を呼び込む本質は「産業・仕事」「教育(学校環境)」「住環境」の3要素である。住み替え補助金を出すことだけに頼るのではなく、教育や企業誘致など市全体で効果的な予算配分を考えるべきである。また、UR独自の子育て割や、神戸住環境整備公社の近居・子育て支援制度と併用できることで、特定の対象者へ二重三重の過度な支援となっている懸念があるため、補助対象物件や支援のあり方を慎重に見極めてほしい。

2.ファミリー世帯向けマンションの供給状況について

大野委員 兵庫区や長田区をはじめとする既成市街地は生活利便性が高い一方で、共同住宅の供給は単身者向けが多く、子育て世帯向け住宅の選択肢が十分ではない。建築費や住宅価格の高騰により新築の取得が難しくなる中、賃貸も含めた多様な選択肢の確保が重要である。市内における70㎡以上のファミリー向けマンションの供給状況・地域偏在への分析と、若年・子育て世帯の定住促進に向けた住宅確保の取組方針を問う。

建築住宅局 昨年度着工の共同住宅は50㎡以下が約7割を占め、70㎡以上(約2割)は東灘・灘・中央区に偏在し、兵庫・長田区での供給はほとんどない現状である。これまで公営・公社住宅での家賃減免等に取り組んできたが、住宅価格上昇を踏まえ、既存住宅ストックの活用を強化していく。その一環として、民間事業者の断熱リノベーション過程の公開費用を補助する「マンション空き家流通促進事業(ミセリノベ)」を開始し、良質な既存住宅の流通と選択肢の確保に努めている。

大野委員「ミセリノベ」は有意義な事業だが、昨年度の見学会開催状況や参加者の反応を踏まえ、市としてどのような成果があったと評価しているか。また、来場者が近隣住民や高齢層に偏っていたとの話もあるが、若年・子育て世帯や事業者への周知(SNSやウェブ活用など)を今後どのように進めていくのか。

建築住宅局 3物件で計280人が来場し、高断熱への関心や別の物件でのリノベ検討など好意的な反応が得られた。また、3物件中1件が売却、1件が賃貸、残る1件もモデルハウス等として活用されており、十分な事業効果があったと評価している。来場層の偏りは認識しており、不動産関係団体への広報や「広報紙KOBE」での特集連携などを実施してきた。今後は来場者アンケートの分析に加え、若年・子育て層向けのウェブ広報ノウハウを事業者に共有することで、事業効果のさらなる向上を図る。

大野委員 売却および賃貸となった物件には、どのような世帯(若年層、高齢層など)が入居・購入したのか。

建築住宅局 賃貸物件は未確認だが、分譲で購入された世帯は子ども1人の若年夫婦世帯であった。

大野委員 将来的には市の補助金がなくとも、民間事業者が自発的に既存マンションの性能向上リノベーションを行い、市場が自律的に拡大していくことが重要である。神戸市の取組がそのきっかけとなるよう期待する。

3.市営住宅の若年ファミリー世帯向け活用について

大野委員 市営住宅の空き住戸を民間が改修して若年ファミリー向け賃貸とする事業を評価している。ただ、公募が2回連続(令和7年9月・令和8年4月)で不調に終わってしまった。令和8年4月公募の不調要因の分析と、それを踏まえて9月18日に開始した再々公募でどのような見直しを行ったのか。

建築住宅局 4月公募で参加表明のあった事業者へのヒアリングの結果、間取りや広さがファミリー層のニーズに合致していない点、改修費用の負担が大きい点、入居者要件の厳しさなどが課題であると判明した。そのため、9月の再々公募では、比較的傷みが少なく広めの住戸を追加選定するとともに、入居要件を「未就学児同居」から「18歳以下の子と同居」へと緩和して募集を行っている。

大野委員 事業者の採算性と公募条件のバランスを取るのはなかなか難しいが、再々公募の結果には期待したい。その上で、ファミリー向け賃貸住宅が不足する地域への展開を見据え、対象住戸やエリアの拡充についての見解と、市営住宅本来の役割とのバランスをどう取るのか。

建築住宅局 市営住宅では単身高齢化等により広めの住戸の需要が低下し、長期空き住戸となっている実態があるため、これらを若年ファミリー向けに活用することは有効である。現在は東部エリアに限定しているが、有効性や事業者の参入ニーズがあれば他エリア(兵庫区や長田区など)へ展開する価値もあると考え、再々公募の状況を注視しつつ、本来目的とのバランスを取りながら検討を進める。

大野委員 市有財産の中で圧倒的な延べ床面積を占める市営住宅は貴重な財産であるため、好立地住宅の廃止・再編や駐車場の空き区画活用なども含め、今後もしっかりと有効活用に取り組むよう求める。

4. 高経年マンション外観調査について

大野委員 マンション管理状況の届出制度がスタートしたが、本当に課題を抱えているマンションほど、行政と接点を持つのが難しいのではないか。市ではこれまで3年間、築42年以上のマンション約1,200棟の外観調査を行ってきたが、この調査からどのような課題や傾向が見えてきたか。また、その成果を今後の施策にどう生かしていくのか。

建築住宅局 外観調査の結果、築年数が経つほど、また管理会社が入っていない自主管理と見られるマンションほど、ひび割れなどの管理不全の兆候が多く見られる傾向がわかった。今後は届出制度も活用し、高経年の自主管理マンションを中心に状況把握を進める。また、課題を抱える物件は管理組合自体が機能していない恐れもあるため、これまでの『相談を待つ(プル型)』姿勢から、『すまいるネット』と連携して行政から直接区分所有者に働きかける『プッシュ型』の支援体制へとシフトし、管理不全の未然防止を図っていく。

大野委員 マンションは私有財産であり、本来は所有者自身で管理するのが基本だが、管理組合が動いていなかったり、所有者同士の連絡すら取れなかったりする深刻なケースもある。軽微なものから深刻なものまで課題の段階は様々だと思うが、市としてはそれぞれの状況に応じて、具体的にどのような支援メニューにつなげていくお考えか。

建築住宅局 追加調査では、実際に所有者の特定すら困難な深刻なケースも確認しており、私どもも強い危機感を持っている。そこで今後は、課題の深刻度に応じた3段階の支援体制をとる予定だ。まず、比較的軽微な段階では、相談窓口やセミナーなどを通じて自主的な改善を促す。次に、長期修繕計画がないなど合意形成が難しい段階では、管理組合からの申請を受けてマンション管理士などの専門家を現地へ派遣する。そして、管理組合が全く機能していないような深刻な段階に対しては、相談を待つのではなく、専門家が直接出向いて組織の立ち上げや合意形成を一歩踏み込んでサポートする『プッシュ型』の支援を行っていく。

大野委員 ちなみに、調査した約1,200棟のうち、その『最も深刻』に当てはまるマンションは現時点で何棟くらいあったか。

建築住宅局 この3年間の調査の中で、特に深刻で手厚い支援が必要だと判断している物件は、現在5棟ほど確認している。

大野委員 私有財産である以上、行政がどこまで介入できるかという難しさは理解している。しかし、問題が軽いうちから早め早めに対応しておくことこそが、将来のまちづくりや周辺環境を守り、結果として市のコストを抑えることにもつながる。ぜひ今後とも、しっかりとした取り組みをお願いする。

5.市営住宅附帯施設の活用について

大野委員 市営住宅の附帯施設は貴重な財産だが、これまでは入居対象者が限定されていたことから、多くが長年使われない状態であった。条例改正を経て昨年度に対象を広げ、初めて店舗の公募を行って新たな活用へとつなげた点は高く評価している。そこで伺うが、市として今回の公募をどう評価しているか。また、内覧会などを通じて活用ニーズや地域の需要について、どのような成果や知見が得られたか。

建築住宅局 昨年度は試行的に8物件を公募し、6物件に29者の申し込みがあった。長年空き店舗だった施設が、市内在住・在勤などの幅広い層に利用されるようになり、大きな一歩だったと捉えている。得られた知見としては、人通りの多い場所は人気だが奥まった場所は応募が少なかったことや、倉庫利用の要望が多かった点だ。また、当時の基準で作られた施設のため、現代の新規店舗としては『少し狭い』という声も多く寄せられた。

大野委員 全480施設のうち、まだ162施設も空いていると聞いている。倉庫需要の声などもあったが、依然として多くの空きがある中、市として今後はどのような点が課題だと認識しているのか。また、地域のにぎわいや活性化につなげるため、どのように活用を進めていく考えか。

建築住宅局 今回の募集では、当選者の多くが個人で開店準備や自己負担分の把握に不慣れだったことや、長年使っていなかったために配管などの不具合が見つかったことなどが課題として分かった。附帯施設は物件ごとに立地や設備の状況が異なり、個別の調査や対応が必要なため、一度に大量の公募を行うのは難しいのが現状だ。しかし、募集要項の改善などを図りつつ、今年度も10戸程度の公募を予定している。一つひとつ課題に対応してノウハウを蓄積しながら、空き施設の解消を進めていく考えだ。

6.管理不全空家等に対する指導・勧告の運用に関して

大野委員 神戸市は勧告自体ではなく自主改善を目的として指導を強化してきたが、それにより所有者の反応や行動にどのような変化が生じているのか。具体的には、勧告による固定資産税の住宅用地特例解除を伝えることが、改善に向けた意識や行動の変化にどの程度つながっているのか。

建築住宅局 今年度予定している勧告対象約100件のうち37件に勧告を実施した。勧告手続に進んだ案件の約4割で所有者から反応があり、解体・修繕や支援制度の活用相談など自主改善に向けた動きが見られる。チラシ等による住宅用地特例解除の周知も行動変容につながっていると認識しており、その結果、対象100件のうち勧告前に改善した案件が18件あった。

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