神戸市水道事業を支える技術体制の維持と、水道サービス公社における将来を見据えた人材確保・技術継承、ならびに民間企業へのノウハウ移転の進捗について質疑しました。この内容について、当会派の山下てんせい委員が質疑をおこないました。

1. 水道事業を支える技術ノウハウの確保と継承について
【意見】山下委員 人材確保が喫緊の課題であることは明らかであり、神戸市水道事業を支える技術体制の維持は非常に大切な課題です。昨年度、局長から「水道局と水道サービス公社が車の両輪となって役割分担を進めていく」との答弁がありました。一方で、全国的に技術職員や委託先の不足から水道インフラの維持管理に苦慮する自治体が増えており、本市および公社も例外ではないと考えています。
【質疑】山下委員 今後5年、10年ほど先を見据えて、本市や他都市の施設の維持管理、工事監理業務を継続的に受けることができる技術ノウハウを確保・継承できる見込みは立っているのか。ベテラン職員のノウハウ継承の進捗など、課題への対応について見解を求めました。
【答弁】杉山常務理事 技術職員の担い手不足は公社にとっても重要な課題です。これまで管理業務を中心としていたところから、配水管更新に伴う設計・積算・工事監督などの技術的業務へシフトしており、これに対応するため令和3年度から新規採用を始めました。派遣やOB職員による実践的なOJT、研修参加、資格取得を通じて人材育成に取り組んでいます。昨年度からは水道局との人材交流も開始し、実務を通じた技術力向上を図っています。中核を担う中間層の確保・育成に向け、育成ロードマップやキャリアパスの見える化を進めており、着実に継承は進んでいると考えています。
【意見】山下委員 公社の維持を考える上で仕事量や売上を考慮する必要はありますが、エッセンシャルワーカーの育成は日本のみならず世界中で求められています。かつて水インフラ事業で「日本の飲める水を世界に売っていく」という話があった際、世界では日本ほどの過剰な技術は必要ないとされたこともありましたが、白物家電の歴史と同様、基本となる日本の緻密な技術にフォーカスし、その技術継承をもって世界の水インフラの維持・更新を担える人材が日本から羽ばたけば、それ自体が水インフラビジネスになるという青写真を持っています。
【再質疑】山下委員 昨年度、指定給水装置工事事業者や管工事協同組合を含めた全ての事業者が一体となって担い手を育成することが重要だと指摘しました。水道局から委託を受けている下水道施設内の巡回点検管理業務などは、将来的には民間企業が担える分野であり、現在公社が民間へノウハウ移転を行っていると聞いています。このノウハウ移転に当たってどのように取り組んでいるのか、現状と見込みについて質問しました。
【答弁】杉山常務理事 将来の水道事業維持には業界全体での担い手確保が重要です。水道施設の巡回点検管理業務のうち、民間が担える業務については、公社整備のマニュアル活用、業務開始時の研修や同行指導、定期的な会議を通じて安全管理やノウハウの継承を進めています。漏水調査では民間からの派遣を受け入れ、共同で実施しながら技術移転を進めており、概ね順調です。市民生活に直結する重要業務のため、安全性や水質確保を最優先に、事業者の習熟度を確認しながら対象エリアを水道局と調整の上、段階的に拡大していきたいと考えています。
【要望】山下委員 民間会社からの派遣受け入れは、いわばサッカーのレンタル制度のようなものであり、公社として人材をお借りしてリソースを活用しながら、仕事をこなすとともに人材育成もしてもらうことで、公社の人材不足を一旦埋められる一つの策であると考えています。
また、層が薄いと言われた中間層に対しては、エッセンシャルワーカーとしての生き方をしっかりとリクルートしていくことが大切です。管工事組合等に聞くと、きつい仕事ではあるものの十分にご飯が食べられる収入が得られ、世界的にAIが台頭する中にあっても「AIに奪われない仕事」としてブルーカラーが見直されています。こうした点も踏まえて、民間会社の旺盛な採用活動を喚起していただきたいと指摘しました。
水道は市民生活を支える最も重要なライフラインであり、施設や管路の維持には資金だけでなく人材が不可欠です。水道局、水道サービス公社、さらには関連事業者が一体となって次世代の担い手を育成し、将来にわたって神戸の水道を守る体制作りに取り組むよう要望しました。
加えて、震災を経験したという背景からも、神戸の水道技術は非常に高い水準にあると評価していますが、だからこそ「神戸の品質」に対しては当然高いものを求めたいと指摘しました。マニュアルに縛られないアップデートが大切であり、いつ起こるかわからない近年の自然災害も考慮して、強靭化(BCP)を加味した技術の向上をこれからも図るよう強く要望しました。


