終活支援の現状と課題、ひきこもり支援における社会参加へのアプローチ、および障害福祉サービスにおける総量規制について。この内容について、当会派のなんのゆうこ委員が質疑をおこないました。

1. 終活支援について
【意見】なんの委員 元気なうちからも、もしもに備えて相談ができる窓口として、こうべ終活相談窓口が昨年10月に開設され、将来に向けた不安や相続、遺言などについて専門的な相談ができるようになったと聞いている。元気なうちに今後のことを考え、準備しておくことはとても重要であると考える。
【質疑】なんの委員 開設から約1年が経とうとしているが、これまでどのような相談があり、どのように対応してきたのか、現在の状況について質疑した。
【答弁】中郷福祉局高齢福祉課長 昨年10月よりこうべ終活相談窓口を開設している。これから終活を始めようという方に向けて、必要最低限の項目に絞ったA3両面4ページ構成の「エンディングシート」を作成・配布している。窓口では相談員がこのシートを用いて本人の思いや不安を聞き取り、必要な事項を整理して情報提供や公的サービス等の案内を行っている。終活が進んでいる方には弁護士や司法書士による専門相談も実施している。窓口はこうべ市民福祉交流センター4階に設置し、来所のほかオンラインや電話での一般相談にも対応している。昨年度は433件(うち専門相談72件)、今年度は8月末時点で292件(うち専門相談63件)の相談に対応した。内容は相続・遺言が最も多く、終活の始め方、葬儀・お墓に関すること、亡くなった後の手続、住まいに関することなど多岐にわたっている。
【意見】なんの委員 相続や遺言などの相談が多く、具体的な不安やお困り事ができてから相談される方が多いのではないかと思う。神戸市では高齢者世帯の約4割が単身世帯であり、今は元気でも急に倒れたりした際に何も準備できていない方が多い。終活情報登録制度は年齢要件がなく65歳未満の方でも利用でき、身寄りのない中高年の方にとっても備えられる制度である。
【再質疑】なんの委員 エンディングシートなどを活用して終活関連情報を登録していただくことで、もしものときに備えて安心して生活できるよう目指すべきと考えるが、今後こうした方々にも制度を知っていただくための取組や方向性について見解を求めた。
【答弁】小寺福祉局副局長 こうべ終活相談窓口の開設と合わせ、終活の関連情報(エンディングノートの保管場所、遺言書の保管場所、緊急連絡先等)を生前に市に登録していただく終活情報登録制度を実施している。これまでに登録された方は終活に対する意識が高く既に取り組まれている方が多いと聞いている。神戸市の高齢者世帯のうち約39.2%(約10万1,000世帯)が単独世帯であり、今後ますます割合が高くなるため終活の活動は重要である。相談窓口も活用しより多くの方に取り組んでいただきたい。今後の取組として、公共施設でのチラシ配架や出前トークでの広報、老人クラブへの積極的な働きかけを引き続き進める。さらに、地域福祉ネットワーカーやあんしんすこやかセンター職員、民生委員などの協力も仰ぎながら、広く知っていただけるよう個別の勧奨にも取り組んでいく。
【要望】なんの委員 身寄りのない中高年の方が緊急搬送され、意識がもうろうとする中で連絡先が伝えられず困ったという事例があった。まだ制度を知らない方がいらっしゃるので、広く分かっていただけるように今後も周知徹底していただきたいと要望した。
2. ひきこもり支援について
【意見】なんの委員 ひきこもりについては全国的な社会課題となっており、本市では令和2年から神戸ひきこもり支援室を開設し、様々な取組を行ってきた。ひきこもりの状況や課題は1人1人違っており、支援につながるまでに時間を要する場合もあると思う。
【質疑】なんの委員 これまでに対応してきた相談内容の傾向や様々な取組実績を踏まえ、現在ひきこもり支援においてどのようなことが課題となっているのか見解を求めた。
【答弁】八乙女福祉局長 支援室の開設から2025年度末までの相談件数は1万5,820件、相談実人数は1,598人である。初回相談は家族等からが約7割を占め、本人の年代は20代・30代で5割、ひきこもり期間10年以上が3割、就労経験のある方が6割、他機関の相談歴のある方が7割となっている。支援の課題は3点ある。1つ目は本人や家族に届く広報であり、誤解や偏見から相談につながりにくい。2つ目は長期化防止と長期化した世帯への支援であり、いわゆる8050世帯では家族関係が固定化し、親の介護や経済困窮など複合的な課題を抱えている。3つ目は段階的に本人の希望に基づく社会参加であり、対人関係の恐怖心などを抱えた方が少なくない。対応策として、SNS広告や回復事例を紹介した漫画入りチラシの配布など広報に取り組んでいる。また、支援室がプラットフォームとなり関係課と連携して多角的な相談支援を行い、本人の希望やペースを尊重しながら段階的に支援を進めている。本人の主体的な意思決定を尊重し、粘り強く支援を継続していくことが重要であると考えている。
【意見】なんの委員 家族からの相談が7割を占め、家族との関係や心理的要素も関わっているため、SNS等での広報等、引き続きお願いしたい。内閣府の推計ではひきこもりの方が全国で約146万人、神戸市では約1万人を超えており、社会的な課題となっている。買物などで外出できているため自身がひきこもりと認識していないケースもある。
【再質疑】なんの委員 8050問題は親が80代、子が50代になってから始まるのではなく、その10〜20年前から問題が発生しており、親が亡くなったことで顕在化してくるのではないかと考える。長期間社会参加から離れている方に対して、問題が顕在化する前に支援につながる必要があると考えるが、見解を求めた。
【答弁】松原福祉局部長 厚生労働省の新たな指針により、ひきこもり支援の対象者は社会的に孤立し孤独を感じている状態等にある本人及び家族とされ、ひきこもり期間は問わず定義に縛られずに相談いただけるようになっている。8050世帯で早期に相談につながるよう、SNS活用やチラシ配布のほか、対象者へ相談を促すために「8050問題を考える親なき後に備えてできること」という研修を毎年実施している。また、ケアマネジャーや医療機関が家族からの相談の中で対象者を把握する可能性があるため、関係機関への研修実施や連携強化を図っている。さらに、地域ケア会議等にも積極的に出向き、取組を継続していく。
【意見】なんの委員 親の年金や給料で生活しており実際には困っていない方もいるが、親が亡くなったときに収入が途絶えて問題になるため、そういった方々を拾い上げていただきたい。
【再質疑】なんの委員 相談支援事業のうち、居場所づくりとして実施している農作業体験はユニークな取組であると感じている。自分に合った居場所やできることを見つけ、少しずつ自信をつけていくことが次の一歩につながるのではないか。今後も様々な形の社会参加の選択肢を増やすことが重要だと考えるが、見解を求めた。
【答弁】松原福祉局部長 個別面談が定着した方には農作業体験型居場所や当事者居場所への参加を勧めている。農作業体験はしあわせの村の農園で週2回実施しており、生活リズムの改善や体力の向上につながり、その後就労した方もいる。当事者居場所では会社経営者との意見交換や会社見学を実施し、図書館やイベントでのボランティア、民間企業などでの仕事体験もさせていただけるようになった。この経験が仕事のイメージづくりや同僚との交流の経験となり、自信につながっている。ボランティアや仕事体験の協力意向は支援室や区社協で情報共有し、本人が社会参加の選択肢を探していただけるように取り組んでいく。
【要望】なんの委員 ひきこもりの方の最終手段は就職だけではなく、社会に出る第一歩がとても勇気が要るものである。農作業以外にも会社見学やボランティアなど、自信をつけて社会に出ていけるよう今後も広げていっていただきたいと要望した。
3. 障害福祉サービスにおける総量規制について
【意見】なんの委員 近年、障害福祉サービスに営利法人などによる新規参入が増える一方で、サービスの質をどのように確保するかが課題となっている。障害福祉サービス事業所が神戸、阪神、東播地域に集中していることや、大阪市では供給量が上回っていることから、新たな事業所の開設を行わない「総量規制」を実施しているとの報道があった。
【質疑】なんの委員 必要なサービスを確保しつつ質の確保を行っていく観点から、神戸市においても同様の総量規制の検討をしているのか見解を求めた。
【答弁】八乙女福祉局長 総量規制は障害者総合支援法に規定された制度であり、サービスの量が見込み量に達している場合等に事業者等の指定をしないことができる仕組みである。また、個別ニーズへの対応を例外とする運用も可能である。本市では現時点で総量規制を実施していないが、一部のサービスにおいて事業者数の増加によりサービスの質の維持向上が課題となっている。現在、次期神戸市障がい者プランの作成に取り組んでおり、総量規制実施の基準の一つとなる福祉サービスの見込み量の算定を進めている。また、例外対応についての意見をいただくため、10月に神戸市障害者施策推進協議会の分科会を開催する予定である。今後、見込み量の算定を進めるとともに、サービスの提供量とのバランスや他都市の動向も注視し、地域の実情を踏まえて総量規制の実施について検討していく。
【要望】なんの委員 本当に困っていらっしゃる方もたくさんいる中で、事業所ができるということは本当にいいことで、選択肢が広がっていくということもいいことであるが、中には少しサービスがよくないというところもあるようなので、今後の動向を踏まえて考えていただきたいと要望しました。 また、時間が余ったため、終活支援についても意見を述べました。国で改正社会福祉法が成立し、身寄りのない単身の高齢者の支援強化が進められると聞いている。2050年には独り暮らしの65歳以上の方が1,084万人に上るとも言われており、今後も増えていく一方で、現在でもサポート側の人材不足の問題があるため、市民自身が早い段階から備えていただくように行政としても取り組んでいく必要があると指摘しました。委員自身も終活についてホームページをいろいろ調べたが、「終活関連情報登録」と「エンディングサポート窓口」の2つがあり、どちらが当てはまるのか調べるのに苦労した経験を挙げ、そういった面も含めて引き続き65歳未満の方や単身の方に届くようにやっていただきたいと求めました。 さらに、ひきこもり支援についても、本当に複雑な問題が絡み合っているため、こういった方々をこれからもどんどんサポートしていただけるようにしてほしいと述べ、質疑を締めくくりました。



