令和8年10月8日 決算特別委員会 総括質疑【平野達司理事による質疑】

令和7年度決算特別委員会の総括質疑において、労務職人材の確保や神戸空港の特定利用空港指定、米軍艦艇の入港対応、葬儀の消費者トラブル防止、発注物に係る著作権の取扱い、妊産婦タクシー券の期限延長、小学校でのフッ化物洗口、コベカツの運営・支援体制、さらには県道灘三田線における大型車両事故の抜本的対策など、市民生活の安心・安全と持続可能な行政運営に関わる多岐にわたる重要課題について議論が交わされました。この内容について、当会派の平野達司理事が質疑をおこないました。

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1.持続可能な行政サービスを担う人材の確保

平野理事 自治体の人材確保が厳しさを増す中、本市の今年度採用倍率は行政職の9.7倍に対し、労務職は4.3倍と低調である。ごみ収集などの現場業務はAI等での代替が難しく、市民生活の最前線を支える重要なものだ。労務職は50代が多く今後まとまった退職が見込まれるが、安定した行政サービスを維持するため、どのような方策で人材確保を進めるのか見解を伺いたい。

久元市長 公の役割が強い業務を担う労務職員は2020年度に採用を再開したが、倍率は低下傾向にある。市民生活を支える最前線であり、今後の退職状況を踏まえても担い手の確保は不可欠だ。これまでもファン付き作業服の貸与や夏季作業手当の新設、SNS等での広報強化に取り組んできた。今後は「政令市中位程度」という従来の目標にとらわれず、人材確保に資する給与制度の検討も進め、戦略的に人材確保に取り組んでいく。

平野理事 現場で労務職員と接する中でも、彼らの存在なくして市民生活や行政サービスは維持できないと実感している。将来にわたり必要な人材がしっかりと確保されることを期待する。

2.神戸空港の特定利用空港への指定

平野理事 本制度は平時から国との連携や利用調整の枠組みを整え、災害等の不測の事態に迅速かつ安定して対応できる体制を築くことに意義がある。市民の生命を守るには平時からの備えが重要であり、神戸市として受け入れの方向で検討を進めるべきだ。

久元市長 国からは、平時からの連携によって緊急時にも円滑な利用調整が可能となり、特性習熟を通じて部隊や物資の迅速・安全な輸送につながることで地元の安全にも資する、との説明を受けている。阪神・淡路大震災を経験した本市としても、災害時などの対応において枠組みに参加する意義はあると認識している。これらを踏まえ、指定の可否を引き続き検討していく。

平野理事 市民の生命と安全を守るため、平時から国や自衛隊、海上保安庁との連携をしっかり進め、市民の安心・安全を最優先に責任ある判断をしてほしい。

3.米軍艦艇の神戸港への入港

平野理事 令和7年(2025年)の米軍艦艇入港では、非核証明書の提出を求めずに非核を確認した上で、港湾法に基づき入港を認めた実績がある。これを一過性の対応とせず、今後も国の安全保障政策と整合性を図りながら、関係法令に基づき適切かつ円滑に手続を進めるべきと考えるが、市の見解はどうか。

副市長 2025年3月の米海軍掃海艦の入港に際しては、外務省への照会や米国総領事との会談を通じて核非搭載を確認し、許可を出した。今後も1975年の神戸市会決議を尊重しつつ、港湾管理者として国の方針を踏まえ、港湾法に基づき適法かつ適切に事務を執行していく方針だ。

平野理事 今後も国の安全保障政策と整合性を図り、必要な確認を行った上で、円滑かつ適切に対応してほしい。

4.葬儀を巡る消費者トラブルの防止

平野理事 葬儀形態の多様化や仲介業者の参入が進む中、低価格な広告で集客し不十分な説明で高額な追加費用を請求する消費者トラブルが増加している。市への相談件数は氷山の一角であり、全国的にも深刻化しているため、相談事例を踏まえた注意喚起や契約時の留意点について、一層の広報周知を図るべきではないか。

副市長 全国・神戸市ともに相談の大半は高額請求に関するものであり、遺族の冷静な判断が難しい状況や説明不足が背景にある。市ではすでにホームページや啓発誌「KOBEくらしのレポート」で相談事例や注意点を掲載した。今後もトラブル傾向を把握し、FAQの掲載などを工夫して注意喚起や啓発に取り組んでいく。

平野理事 短期間で判断を迫られる遺族が冷静に比較検討するのは難しいため、注意喚起だけでなく具体的な判断の手立てが必要だ。市民が被害を受けないよう、神戸市規格葬儀取扱指定店組合と連携して料金を客観的に確認できるチェックリストを作成するなど、安心して葬儀を選択できる環境を整備すべきではないか。

副市長 神戸市規格葬儀は基本料金を明示した3種類の祭壇を用意し、費用を想定しやすい仕組みをとっている。トラブル防止に向けた注意喚起は重要であるため、チェックリストの作成を含め、組合と意見交換を行いながらどのような防止策が可能か検討していく。

平野理事 遺体搬送後に後戻りできなくなる状況や、火葬場の混雑に伴う追加費用などのトラブルも多い。チェックリストは発生時だけでなく終活や人生会議の段階から活用できるよう広く周知し、専門業者と仲介業者の違いや規格葬儀の情報も盛り込むべきだ。市外で葬儀を担う市民にも役立つ実効性のある取組として進めてほしい。

5.印刷物・映像に関する著作権の取扱い

平野理事 神戸市では印刷物発注における元データの無償譲渡が常態化していたが、著作権は原則受注者に帰属するとの方針が全庁通知された点は評価する。通知の実効性を高めるため、事業者の意見も聴取しながら是正状況を継続検証することが重要である。今後、契約実態の把握にどのように取り組むのか見解を伺いたい。

副市長 これまでもマニュアル整備や市長メッセージの発信、専門家研修を通じて職員の意識向上に努めてきた。直近の通知では、事業者の創意工夫に委ねる場合などは著作権が原則事業者に帰属することを整理・周知したところである。まずは職員研修等で周知徹底を図り、一定期間後に実態調査を実施する。調査結果や他都市の動向、事業者との意見交換を踏まえ、必要な対応を検討していく。

平野理事 印刷物の発注は全庁で膨大な数に上るため、著作権の存在を徹底するとともに、市への帰属という安易な例外が頻発していないか検証を求めたい。また、データ譲渡費用の見積もりや競争入札への反映の難しさといった課題もあるため、国の動きや他都市の動向を注視し、今後も適切な発注の在り方を継続して検討してほしい。

6.妊産婦タクシー券の利用期限延長

平野理事 妊産婦タクシー券は移動負担の軽減に寄与しているが、現行の「母子手帳交付から14か月後の月末まで」という期限では、生活が落ち着いた後に産後ケアを利用する際に活用しきれない場合がある。アンケートでも産後ケアでの利用需要が明らかであることから、必要な時期に支援を受けられるよう、利用期限の延長を具体的に検討すべきだが見解を伺いたい。

副市長 利用実態の分析では、産後直後は利用が減るものの産後5〜6か月頃に再び増加する傾向が見られ、産後ケアの利用期間(産後1年)に合わせた期限延長を求める声も届いている。妊産婦の負担軽減のため、利用期限を産後ケア事業に合わせた「産後1年」とすることも含め、より使いやすい制度となるよう今後検討していく。

平野理事 利用率は約6割にとどまっているため、真に必要な人が利用できる制度へと改善を進めてほしい。あわせて、期限延長を行う際は新旧制度の端境期で不利益を被る人が出ないよう配慮が必要だ。金券であるため現物交換が求められる場合でも、郵送やWEB申請、あるいは区役所での親族による代理手続きを認めるなど、柔軟な経過措置を講じるよう検討を求めたい。

7.小学校におけるフッ化物利用の拡大

平野理事 フッ化物利用は虫歯予防の効果が科学的にも示されているが、神戸市では区ごとの虫歯数に格差がある。今年度から対象学年や重点校を拡大したものの、洗口液の配布率は昨年度の75.8%から46%へと大きく低下している。申込方法が変更されたことも一因だが、児童や保護者にその意義や効果が十分に伝わっていないことが考えられる。制度を用意するだけでなく、フッ化物洗口を生活習慣を見直す健康教育の機会と捉え、教育委員会として学校現場から保護者への積極的かつ継続的な周知・利用促進を働きかけるべきだ。

教育長 学校では年2回の歯科検診や受診勧奨、健康週間の指導などを継続しており、12歳児の虫歯指数は全国平均を下回る水準まで改善している。一方で、教育委員会としてもフッ化物利用の有効性は認識しており、教職員への理解促進や、保護者への案内配信・チラシ配布、洗口液の配布などに取り組んでいる。今後も実施主体である健康局と連携し、児童や保護者、教職員への意義の周知を進めるとともに、学校現場の実情を踏まえながら洗口液の配布や集団洗口に取り組んでいく。

平野理事 保護者の健康意識が高まっている割に配布率が低下している現状には疑問が残る。アプリやプリントでの案内は行われているものの、個人面談の際に担任から直接一言案内がないなど、現場でのフォロー不足が低下につながっていると考える。歯科保健教育は学校教育の範疇であるため、現場での案内や声かけの協力を徹底し、子どもの健康維持に向けて積極的に対応を推進してもらいたい。

8.子供たちの文化・スポーツ活動に対する支援の充実

平野理事 部活動からコベカツへの移行により、子どもを中心に「保護者・学校・クラブ」の三者関係となる。子どもが安心して活動するためには情報共有が不可欠だが、保護者とクラブ、学校とクラブの間で円滑に連絡・相談ができる体制の現状と今後の対応について見解を求める。

教育長 学校とは管理職との顔合わせや月間活動計画の提出などを通じて日常的な連携関係を構築している。保護者とは対面での意思疎通を促しているが、現状はメールや電話のみにとどまる例もある。移行期は中学校や教育委員会のサポートが不可欠であり、早期に「コベカツサポート」内で相互連絡ツールを構築するなど、連携支援に努める。

平野理事 LINEやメーリングリストなどでは保護者側の対応力に差が出る懸念がある。移行期の今だからこそ指導者と保護者の連絡体制が重要であり、専用ツールの早期構築を要望する。


平野理事 これまで教員・学校・競技団体が担ってきた新人戦や総体などの大会運営ノウハウ(トーナメント編成や上位大会への接続など)を、コベカツ移行後に地域クラブへどのように引き継ぐのか伺う。

副市長 令和8年度新人戦から文化スポーツ局を主催に加え、事務局を市スポーツ協会に移行した。教員が担ってきた事前準備や審判業務は、競技団体や指導者へ引き継ぎを開始している。大会を担う人材への謝礼支給や審判資格取得の補助を行うほか、コベカツを立ち上げた教員の協力も得ており、足元の大会運営は順調に滑り出している。

平野理事 教員の働き方改革を進め、現場の混乱を防ぐためにも、教職員が長年蓄積してきた細かな大会運営ノウハウを早期に競技団体や指導者へ確実に伝授・引き継ぐべきだ。


平野理事 中学校部活動の全国大会旅費補助はコベカツに引き継がれるが、小学生の地域クラブには支援がない。明石市などの事例を参考に、小学生の地域スポーツ・文化クラブが県大会や全国大会へ出場する際の旅費等も市として支援すべきではないか。

文化スポーツ局長 他都市では定額の激励金支給や交通費・宿泊費の補助など制度は多様である。神戸市においては、小学生地域クラブの上位大会出場数や家庭の費用負担の実態を十分に把握できていない。まずは活動実態と負担状況の把握を進め、他都市事例も参考にしながら丁寧な制度設計を検討していく。

平野理事 小学生は保護者の同伴が必要で遠征費用が高騰しやすいため、経済的理由で挑戦を断念する事態は避けるべきだ。公費による補助だけでなく、保護者がクラウドファンディングを活用しやすい仕組みを行政が整えるなど、子どもたちが挑戦できる後押しを検討してほしい。

9.県道灘三田線における大型車両事故への抜本的な対策

平野理事 県道灘三田線で重大事故が相次いでおり、急勾配によるフェード現象が疑われている。看板設置など従来の対策の延長にとどまらず、避難路の整備や道路構造の見直しといった抜本的な対策が必要だ。県警やトラック協会、レッカー事業者らと連携し、トラック運転手の目線に立った対策を検討すべきだ。

久元市長 2件続けて起きた事故は非常に問題だと受け止めている。灘三田線は急勾配の長い下り坂でフェード現象が起きやすい。注意喚起看板や高強度ガードレールの増設を進めるとともに、六甲山トンネル北側での検査スペース整備や啓発、過積載チェックを強化する。緊急退避所など物理的な回避策は有効だが、地形や土地利用の面から容易ではない。運転手目線を取り入れ、実現可能な抜本策を模索していく。

平野理事 視覚的な対策だけでは限界がある。レッカー事業者や運転手から聞き取ったところ、事故を未然に防ぐため、臭いが出始める新六甲大橋下交差点付近への退避スペース整備や、六甲ケーブル駅先の狭いゼブラゾーンを拡張した非常駐車帯の確保を求める声があった。オートマ車の増加に伴う空気圧低下で止まれなくなるケースもあるため、地形を知らない運転手がブレーキを冷やせる場所を確保できるよう、関係者と協議して進めてほしい。

久元市長 指摘のあった候補場所のイメージはつく。課題はそれが実現可能かどうかであるため、運転手目線で関係者の意見を聞き、県警と事故原因を共有しながら、新たな退避場所の整備が可能かしっかり検討したい。

平野理事 短期的な対策を早急に進めつつ、中長期的な対策は地域と連携して進めてほしい。灘三田線には小中学校の通学路が並走しており、地域住民や児童生徒の不安も大きい。抜本的な対策の検討には、近隣の学校や地域住民の声も反映してほしい。

副市長 通学路の安全対策として、スリップ防止などのため高機能舗装を実施中である。また、小学校からの要望を受けて通学路沿いのガードレール高強度化の増設も進める。今後、抜本的な対策を検討する際も、行政だけでなく近隣の学校や地域住民の声をしっかり反映していく。

平野理事 トンネル手前でのUターン環境整備など、これまでの対応に感謝する。引き続き地形に詳しくない運転手の立場を意識した安全対策を求めたい。あわせて、事故ワースト交差点である西区糀台6丁目の合流部についても、余白が少なく追突事故が起きているため、運転手目線での事故防止対策を講じてほしい。

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