令和8年10月1日 決算特別委員会 第2分科会(こども家庭局)【なんのゆうこ委員による質疑】

里親委託の推進、虐待の予防や再発防止、DV加害者への加害者支援プログラムの強化、独り親家庭支援、産後ケア施設の利便性向上、妊産婦タクシーの利用期限、子供の屋内遊び場の確保、医療的ケア児の受入れ体制強化、児童養護施設等退所者への支援など、こども・子育て世帯への多岐にわたる支援策について見解を求めました。この内容について、当会派のなんのゆうこ委員が質疑をおこないました。

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1.里親委託の推進について

なんの委員 令和7年度末の里親登録数は191世帯にとどまり、「神戸っ子すこやかプラン2029」の目標達成には一層の取組強化が必要である。実際の受入れにハードルを感じる人も多いため、家庭養護促進協会が自主事業として実施している「季節・週末里親」を推進し、養育里親のイメージを持つ機会を増やすべきだと考えるが、市の見解を伺いたい。

こども家庭局 令和7年度は新規登録15世帯に対し、高齢化や養子縁組成立等による取消しが6世帯あり、実質9世帯の増加にとどまっている。目標達成に向け、昨年度から養育里親リクルート事業を委託し、相談会の開催や個別フォロー等を行っている。季節・週末里親は貴重な家庭体験を提供するだけでなく、養育里親登録を考える契機にもなると捉えており、協会と連携して制度周知と登録世帯の増加を進めていきたい。

なんの委員 養子縁組を前提としない養育里親や季節・週末里親の制度を周知し、ハードルを下げることが重要である。現時点で季節・週末里親21世帯中14世帯が養育里親に登録した実績もあるため、より一層取り組んでほしい。続いて、登録世帯を実際の委託へつなげる取組について再質問する。委託率は令和7年度末で16.5%にとどまっており、登録だけで終わらせず実委託につなげる取組を強化すべきと考えるが、見解を伺いたい。

こども家庭局 検討会の方針に基づき、乳幼児期を重点に委託を推進している。リクルート相談会の拡大に加え、養育未経験の里親向けに公立保育所での実習を実施しているほか、未委託世帯へは専任職員と支援機関が訪問・意向確認を行って委託につなげている。委託前後のトレーニング事業や、実親への丁寧な説明による同意取得にも注力している。委託率は直近で17.7%まで伸びており、今後も子供の最善の利益を目指して取り組む。

なんの委員 市長や局長を含め、里親の声によく耳を傾けていると現場からも感謝の声を聞いている。数値目標の達成のみにとらわれず、子どもが適切な里親委託につながるよう、今後も継続的な取組をお願いしたい。

2.虐待の予防や再発防止について

なんの委員 虐待の予防や再発防止には、保護者の孤立を防ぎ、虐待が起きる前の段階でSOSに気づいて支援につなげることが不可欠だ。本市が今年度から児童家庭支援センターにおいて開始した保護者への支援プログラムについて、現時点での実施状況と今後の取り組みを伺う。

丸山こども家庭局 区役所や児童相談所でのカウンセリングに加え、今年度から児童家庭支援センターで「親子関係形成支援事業」を開始した。6月から市内2か所で実施し、9月時点で8名が参加してグループワーク等を受講している。参加者からは子どもとの関係が改善したとの声があり、効果を認識している。今後も保護者が孤立しないよう予防・再発防止に努めていく。

なんの委員 効果的な取り組みである一方、支援の必要性を自覚していなかったり、つながることに抵抗を感じたりする保護者もいる。そうした支援につながりにくい保護者に対して、どのように参加を促し支援していくのか。

こども家庭局 本プログラムは、保護者自身が「状況を変えたい」という前向きな気持ちを持ってこそ高い効果を発揮する。そのため、区役所や児童相談所が支援を通じて関係を築き、前向きになってきた保護者を中心に案内している。自ら変わる方向に向かいにくい保護者に対しては、行政機関が継続して個別に関わり、助言を行うことで虐待防止に努めていく。

なんの委員 「こべっこウェルカム定期便」やひろば事業など、保護者と直接関わる機会が増えている。虐待相談件数が高止まりする中、虐待が疑われる前段階で変化に気づくためにも、これら多様な接点をより積極的に早期支援へ生かすべきだと考えるが、見解を伺う。

こども家庭局 妊娠期・乳幼児期の面談や健診に加え、各種ひろば、児童館、定期便事業、食を通じた支援、LINE相談など、多様な接点を通じて保護者の不安を受け止め、保健師などへつなぐ体制を拡充してきた。今後もこれらの接点を有効に活用し、早期からの切れ目のない支援に取り組んでいく。

なんの委員 接点が増えたことは評価できるが、そうした場にすら出てこられない保護者も存在する。今後はそうした層を確実にすくい上げ、支援につなげる取り組みも検討してもらいたい。

3.DV加害者への加害者支援プログラムの強化について

なんの委員 児童虐待相談の増加には面前DVへの認識の広がりも影響しており、DVの連鎖を止めるには被害者支援だけでなく加害者への働きかけが欠かせない。以前求めた国の交付金や民間連携による「加害者支援プログラム」について、現状を踏まえて導入や対策を強化すべきだ。

丸山こども家庭局 国の加害者プログラムは本人の改善意思が前提で全国でも7自治体の実施にとどまり、神戸市内にも担い手となる団体がないため直ちの実施は困難である。しかし再発防止は重要であり、第5次神戸市DV対策基本計画に基づき、警察や児童相談所、DVセンターなど関係機関と課題を共有し、加害者の行動変容に向けた有効策を協議・検討していく。

なんの委員 加害という根本を止めなければ支援が追いつかないため、加害者対策もぜひ進めてほしい。再質問として、被害者が孤立や経済不安から再び加害者と関わってしまうのを防ぐため、住まいや就労支援に加え、ひとり親としての自立に向けたメンタルケアも必要ではないか。

こども家庭局 再被害の防止と自立には、安全確保・生活基盤の安定・心理的回復の3点が不可欠である。一時保護や保護命令申立の支援、住まいや就労・経済的支援に加え、DVセンターでのカウンセリングや当事者同士の交流の場、同行支援などのメンタルケアを行っており、今後も個々の状況に応じた段階的な支援に努めていく。

なんの委員 DVによる自己肯定感の喪失や心の傷の回復には時間がかかり、その中で1人で仕事や子育てを担う負担は非常に大きい。メンタル面で苦しんでいる被害者を救えるよう、引き続き寄り添った支援をお願いしたい。

4.ひとり親家庭支援について

なんの委員 ひとり親家庭では経済的・時間的制約から子どもの「体験格差」が生じやすく、健やかな成長のためにも体験機会の拡充が重要である。現在、ひとり親家庭支援センターで実施している日帰りバス旅行などの人気イベントについて、開催回数を増やすなど体験機会を広げる取組を強化すべきではないか、見解を伺いたい。

こども家庭局 これまでも支援センターでハイキングやバス旅行などを実施しており、2025年度は年6回で計166名が参加した。特に抽選となるほど人気のバス旅行の増回を含め、体験機会の拡充を検討していく。また、多忙な保護者に向けて公式LINEや児童扶養手当の現況届送付などを活用し、プッシュ型で情報を提供する。さらに、対象限定イベントに抵抗を感じる世帯にも配慮し、身近な地域で誰もが気軽に参加できる体験機会の創出もあわせて検討し、充実を図っていく。

なんの委員 多様な体験の場を設けていることに感謝する。引き続きよろしくお願いしたい。

5. 産後ケア施設の利便性向上について

なんの委員 政令市初となる産後ケア統一予約システムの導入は評価するが、一部の事業所では数か月先まで予約が埋まるなど、取りにくい状況が生じている。産後ケアは必要な時に利用できることが重要であるため、特に支援の必要性が高い人向けに優先予約枠を設けるなどの工夫はできないか。現在の利用状況や予約状況に対する市の認識も含めて伺いたい。

こども家庭局 実施施設の拡充(6→41施設)や予約システム導入、負担軽減により、利用実績は着実に伸びている(昨年度は約4割の産婦が利用)一方、事業所によって予約が取りにくい状況があることは認識している。対策として、予約システムでの空き通知機能の導入や、新規受託事業所の開拓による受入れ枠の拡大を進めている。優先予約枠の趣旨は理解するが、市内全施設で空きがないわけではない。支援の必要性が高い人に対しては、区の保健師が個別に状況を聞き取って施設調整を行うほか、訪問型産後ケアやホームヘルプサービスなど別の支援へもつなげている。今後も保健師の関わりを継続するとともに、市外事業者の活用も含めて受入れ枠の拡充に努める。

なんの委員 市全体で見れば空きはあるとのことだが、地域によってニーズの差がある。妊産婦にとっては身近な施設を利用できることが望ましいため、そうした地域の利便性も含めて検討を進めてほしい。

6. 妊産婦タクシーの利用期限について

なんの委員 以前の委員会で、産後ケアでも利用しやすいよう期限延長を求めた際、利用実態のアンケートを踏まえて検討するとの答弁があった。アンケートでは産後ケアでの利用も一定数確認できたが、これを踏まえて今後どのように対応するのか。

こども家庭局 本事業では、妊産婦の移動負担軽減のため、産後6か月にあたる交付日から14か月後まで使える500円券を10枚交付しており、昨年度の利用率は59%であった。今年3月のアンケートでは、健診等以外の用途が最多で、産後ケアでの利用も12%あった。また、感謝の声がある一方で、枚数不足や期限延長を求める意見も寄せられた。より使いやすい制度となるよう、これらの結果や声を踏まえて引き続き対応を検討していく。

なんの委員 迅速にアンケートを実施し、利用者の声を聴取したことを評価する。今後もそうしたニーズに応じた検討を進めてほしい。

7.屋内の居場所について

なんの委員 市内には「こべっこランド」などの屋内施設があるものの、地域によっては遠くて利用しにくいという声がある。また、近年の猛暑により熱中症リスクが高まる中、天候に左右されない屋内遊び場の重要性は増している。現在は未就学児向けの施設が中心であるため、小学校低学年も放課後や休日に安心して過ごせる場が求められている。既存施設の活用も含め、今後の屋内遊び場の整備にどう取り組むのか伺いたい。

こども家庭局 地域的な利用しにくさや、猛暑に伴う身近で安全な遊び場の重要性は認識している。本市には全国トップクラスである市内120か所(中学校区に1か所以上)に児童館を設置している。児童館は0歳から18歳未満が運動や学習など自由に過ごせる場であり、夏休み期間中も開館し、暑さをしのぐ場としても機能している。気候に関係なく安全に遊べるよう、今後も児童館などの既存施設について子どもへ届く周知を徹底していく。

8.夏休み期間における学校体育館の有効活用について

なんの委員 夏休み期間中に子供が安全に過ごし運動できる場所は市内にどの程度確保されているか。特に放課後児童クラブなどを利用していない子どもが身近に利用できる場所の現状と課題について、局の認識を問う。

こども家庭局 市内120か所の児童館(誰でも無料利用可能)をはじめ、小学校の図書館や空き教室、地域交流センター、さらには体育館や公民館等の一部無料開放などを行っており、安全に過ごせる場所はおおむね一定確保できていると認識している。一方で、無料開放などの周知不足や、地域による移動距離の課題もあるため、情報発信を強化しながら関係部署と連携して居場所づくりを推進していく。

なんの委員 児童館では思い切り体を動かして走るような活動は難しい。今後、学校体育館の空調整備の増強が予定されているのであれば、教育委員会と連携し、整備されるモデル校などを活用して夏休みに体育館を開放する実証的な取組を検討すべきではないか。

こども家庭局 学童保育での体育館利用には職員体制などの懸念もある一方、空調が効いた体育館への需要や好評の声もある。運営者の声を吸い上げつつ教育委員会と連携を図る。今後空調整備が進めば利用頻度も増えると見込んでおり、モデル校の取組も踏まえながら、酷暑下でも安心して過ごせる居場所づくりに努めていく

なんの委員 引き続き検討をお願いする。

9.保育体制の充実について

なんの委員 保育体制の充実に向け、地域・年齢別のニーズだけでなく、発達に特性のある子どもなどへの対応増加に伴う現場の人材不足も踏まえて検討してほしい。少子化の一方で医療的ケア児の利用者は急増しており、1施設で複数人を受け入れるなど現場の負担が重くなっている。来年度に向けて受入れ施設数を拡充するなど体制を強化すべきと考えるが、市の見解を聞きたい。

若杉こども家庭局 医療的ケア児の受入れ数は事業開始時の約10人から今年度は30人(23施設)に増加している。これに伴い公立での複数受入れを増やしたほか、民間でも促進のため複数受入れ加算を新設した。今後は、受入れが困難と推測される地域で調整を行い、垂水区と西区の各1施設で来年4月からの受入れに向けて手続きを進めている。東灘区でも拡充に努めるとともに、新規施設の確保と実績校での複数受入れの両面から体制強化を図っていく。

なんの委員 今後もさらに対象児が増加していくと考えられるため、引き続き受入れ体制の強化をお願いしたい。

10.児童養護施設等の退所後の支援について

なんの委員 児童養護施設等の退所者は生活上の悩みを抱えて孤立しやすいため、その後の自立支援が重要だ。先日開設された「PORTこうべ」を評価するが、今後市として社会的養護経験者等の生活や自立を支えるためにどう取り組んでいくのか伺う。

こども家庭局 自立に困難を抱える退所者等のため、先月「PORTこうべ」を開設した。施設退所者に限らず気軽に集える居場所を提供して孤立を防ぎ、スタッフとの信頼関係を築きながら相談に乗ることで、困りごとを解決し自立を後押ししていく。

なんの委員 様々な支援が行われているので、それが必要な人たちへしっかりと届くよう、広報に力を入れてほしい。

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