就職氷河期世代への就労支援と社会参加支援の拡充、食をテーマにしたイベントの市内連携と周遊性向上、ドローンによる農薬散布における周辺環境への配慮と適正利用の徹底、およびムクドリ被害の軽減に向けた効果的な対策について、当会派の山下てんせい委員が質疑をおこないました。

1.就職氷河期世代の支援について
山下委員 就職氷河期世代はすでに50代を迎えつつあり、神戸市でも約12万人を抱える大きなボリュームゾーンだ。人手不足が深刻化する中、人材としての活躍後押しだけでなく、社会参加や生活安定を支える視点が欠かせない。しかし、これまでの国の支援はコロナ禍の影響などもあって十分な成果が出ておらず、本市の支援拡充も、定年後も働き続ける必要がある人の多さを考えれば課題の規模に見合っているとは言い難い。人手不足で雇用環境が改善している今、本市はこの世代の現状をどう認識し、今後どういった支援策を展開していくのか見解を聞きたい。
経済観光局 国の集中支援により正規雇用への移行が進み、対象者自体は減っているものの、個別の支援が必要な方や老後の生活に不安を抱える方は依然として一定数いると認識している。本市でも今年度から対象を拡大して相談やマッチングを進めており、相談件数は増えつつあるが、今後も継続的な支援が必要だ。また、就労支援にとどまらず社会参加に向けた段階的な支援も不可欠であるため、福祉施策とも連携しながら生活面を含めたライフ相談にも力を入れている。今後も一人ひとりの状況や希望に応じ、マッチングやリスキリングなどの支援を引き続き展開していく考えだ。
山下委員 就職氷河期世代への支援は、福祉につないで就労を後押しするだけで済ませていい問題ではない。本人のこれまでの歩みや思いを汲み取り、キャリアの再考や自分を磨くような「ウェルビーイング」の視点に立った支援が必要だ。とりわけ神戸市は、阪神・淡路大震災の影響で出ばなをくじかれた、極めて過酷な世代を抱えている。震災から30年が経った今、その歴史をレガシーの「アナザーストーリー」として受け止め、彼らの現状を深く理解した上で、市としてどう向き合っていくのか明確な姿勢を示すべきだ。
2.食をテーマにしたイベントの推進について
山下委員 東遊園地で開催された神戸グルメディスカバリーは約4万人が訪れる大盛況で、食のイベントが持つ発信力や交流の意義を改めて実感した。しかし、このにぎわいを東遊園地だけで完結させず、市内各地域へ波及させることが重要だ。現在も各区でマルシェなどが開かれているが、個別の開催にとどまっており、連携面にはまだ改善の余地がある。各区のイベント情報を一元的に発信し、デジタルスタンプラリーなどの周遊企画と組み合わせることで、市内全体の回遊性を高めて食の魅力を届ける仕組みをつくるべきではないか。
経済観光局 食や農水産物のイベントは、地産地消の推進や地域活性化など多面的な効果があると考えている。今年度も東遊園地で『KOBEグルメコレクション』を開催するほか、各区で開かれているマルシェなどの情報も、公式サイト『おでかけKOBE』や広報紙、SNSを活用して一元的な発信に努めているところだ。一方で、イベント間の連携や市内回遊の促進は相乗効果が期待できる重要な提案だと捉えている。今後もイベントへの支援を継続するとともに、回遊性を高める具体策について関係者や主催者と前向きに検討を進めていきたい。
3.ドローンによる農薬散布について
山下委員 農業の省力化に向けてドローンによる農薬散布は重要だが、周辺への飛散や生態系への影響には十分配慮しなければならない。実際、北区では散布に合わせて巣箱を閉めた養蜂家のミツバチが、猛暑も重なって全滅する事態が起きてしまった。環境保全と両立させるためにも、散布の必要性を精査させる指導を含め、市は県などと連携して適正利用や飛散防止の周知徹底にどう取り組むつもりなのか聞かせてほしい。
経済観光局 スマート農業の重要性は認識しているが、ドローン散布による飛散や生態系への配慮が必要だという点には同感である。現在、県への事前届出制度により養蜂家への情報提供などが行われており、市としても農会長会や広報の回覧を通じて近隣への事前周知や届出の徹底を呼びかけているところだ。必要のない散布を控えるといった適正利用については、県が実施する安全対策研修会などで国の指針を学んでもらう必要があると考えており、市としても県と連携してそうした場への参加を促し、啓発に努めていきたい。
4.ムクドリによる被害の対策について
山下委員 西神中央駅周辺では、以前から大量のムクドリによる騒音やふん害が深刻で、住民や駅利用者から苦情や不安の声が絶えない。ムクドリはねぐらを転々とするため対策が難しいが、一時的な追い払いに終わらず、継続的で効果的な対策を講じるべきだ。特に住宅地に隣接する場所へ飛来し、住環境が脅かされることを強く懸念している。現在は駅やプレンティ周辺、区役所前などにたまっている状況だが、市としての現状認識とこれまでの対策の効果、そして今後の被害軽減に向けた取り組みについての見解を聞きたい。
経済観光局 相談件数は昨年度が約30件、今年度8月までで約20件寄せられており、騒音やふん害のほか巣の撤去相談など内容は多岐にわたる。ハトやカラスに比べると相談数自体は多くないが、集団時の騒音はすさまじく、住環境へ大きな影響を与えていると認識している。
対応についてはねぐらの場所ごとに異なり、電線なら関西電力に防鳥ワイヤ設置を依頼し、市の街路樹なら建設事務所と連携、それ以外は各所有者へ相談してもらう形をとっている。ただ、一時的に追い払っても慣れて戻ったり近隣へ移動したりするだけで、全国的にも抜本的な解決策がないのが実情だ。すぐに有効な手を打つのは難しいが、現状の対策を続けつつ、他都市や研究機関の事例も参考にしながら、より効果的な対策を模索していきたい。


