2026年3月19日に開催されました教育こども委員会での質疑について、当会派議員の活動を報告いたします。
平井 真千子 委員
学校給食の無償化検討における「質の維持」の重要性と、私立幼稚園における特別支援教育の実態周知について。この内容について、当会派の平井 真千子委員が質疑をおこないました。

1. 物価高騰下における学校給食の質の確保
【質疑】平井委員
中学校給食の無償化については、保護者負担が低くなることは望ましいが、国が財源を100%保障すべき問題である。現時点では全体的なバランスの中での議論が必要だ。特に食材価格が非常に高騰している中で、小学校給食の無償化予算(国からの交付金等)がついてはいるが、インフレ率に手当が追いつかず、結果として「給食の質」が下がってしまうのではないかと危惧している。無償化ありきで質が低下しては本末転倒である。現在の価格高騰対策と、質の維持に対する当局の考えを伺いたい。
【答弁】山出副局長
小学校給食の無償化については、月額5,200円の単価に対して交付金が充てられるが、来年度の神戸市の提供単価は6,200円で計算しており、差額は臨時交付金等で対応する。中学校給食については、現在市が6割を補助しており、残りの4割を無償化するには年額約9億円の恒久的な財政負担が生じる。物価高騰も含め、市長部局と慎重に議論していく。
【意見】平井委員
先日、食肉事業者等の協力で神戸ビーフによる「牛肉丼」が提供された際、我が家の子どもからも「格別に美味しかった」という感想を聞いた。子どもたちは食材の違いに敏感であり、質の高い食材は喜びにつながる。本来はこうした機会を増やすべきだ。
【要望】平井委員
物価高騰対策を万全にし、給食の質が絶対に下がらないよう、また可能であればより向上するよう重点的に取り組んでいただきたい。
2. 私立幼稚園における特別支援教育の役割周知
【質疑】平井委員
公立幼稚園の存続を求める議論の中で、「公立幼稚園でしか特別支援は担えない」というような主張がなされることがあるが、現実は異なっている。私立幼稚園も園児数が減少する中で、一人ひとりを手厚く見る余裕が生まれており、自ら発達支援教室を併設するなどの努力をしている。公立でしかできないという認識は誤りではないか。こうした私立の取り組みを保護者に正しく伝えていくべきだ。
【答弁】竹森局長
私立幼稚園(認定こども園含む)でも、現在市内96園で約1,000名の特別な配慮を要する園児を受け入れており、その数は年々増加している。私立でもしっかりと対応可能であることを、子ども家庭局と連携して保護者へ適切にお知らせしていきたい。
【意見】平井委員
公立に偏った説明にならないよう、私立幼稚園が果たしている役割と実績を正当に評価し、保護者が適切に選択できるよう周知を徹底していただきたい。
山下 てんせい 委員
教職員の深刻な休憩時間不足の改善、私立幼稚園の認定こども園移行における定員制限の緩和、および幼稚園型学童保育の推進について。この内容について、当会派の山下 てんせい委員が質疑をおこないました。

1. 教職員の休憩時間の実態把握と環境改善
【質疑】山下委員
教職員の働き方改革において、休憩時間の確保は喫緊の課題である。実際には「4時から4時45分が休憩」と設定されていても、放課後の業務や部活動で全く休めていないのが実態ではないか。昼休みも給食指導や児童対応で拘束されており、これでは心身ともに疲弊し、授業のパフォーマンスも低下する。教育長自身の経験に照らしても、本来あるべき休憩の姿とはどのようなものか。また、現状を正確に調査し、改善する考えはあるか。
【答弁】福本教育長
自身の経験でも年休すら取れない時代があったが、それを今の先生に押し付けてはいけない。昼休みに先生が完全に業務を離れてリラックスできる時間を確保するためには、給食指導のあり方や外部人材の活用など、これまでの「学校の当たり前」を抜本的に変える必要がある。2.0プランの中で、実態を把握し、大胆な改善に取り組みたい。
【要望】山下委員
他都市の動向を待つのではなく、神戸独自の尖った施策として、先生が穏やかに子どもと向き合える環境を本気で構築していただきたい。
2. 認定こども園移行時の「2号定員15人枠」の再考
【質疑】山下委員
私立幼稚園が認定こども園に移行する際、供給過剰区域では2号定員が「15人以下」に制限されている。しかし、現場からは「15人では運営が成り立たない、せめて30人に」との悲鳴が上がっている。教育機関としてのノウハウを持つ私立幼稚園が、保育ニーズに応えようとするのを制限しすぎるのは、待機児童対策や子育て支援の観点からもマイナスではないか。
【答弁】若杉副局長
「神戸っ子すこやかプラン2029」に基づき、全体の需給バランスを考えて設定している基準だが、関係団体から経営の安定化を求める切実な要望があることは承知している。今後、保育ニーズの推移を注視しながら、関係者と協議し、柔軟な対応を検討したい。
【要望】山下委員
私立幼稚園が地域の教育・保育を支えてくれている現状を重く受け止め、形式的な数字に縛られず、園の存続と質の確保に向けた支援を行ってほしい。
3. 幼稚園型放課後児童健全育成事業(学童保育)の条件緩和
【質疑】山下委員
卒園児を預かる「幼稚園型学童」は保護者にとって非常に安心感が強い。しかし、トイレや備品が幼児用であることや、対象学年の制限などにより、行政の支援枠組みに入りにくいという課題がある。既存の設備を活かしながら、どのように基準を整理すれば支援の対象となるのか。
【答弁】中山局長
面積基準や支援員の配置基準など、法令上のハードルはある。しかし、幼稚園と小学校の接続の観点からも、幼稚園での学童保育は非常に有効である。他都市の事例も研究し、どのような形で役割を果たしていただけるか、関係者と前向きに協議を進めたい。
4. 給食事業者(食肉業者)との連携強化
【要望】山下委員
食肉業者等の協力があっての美味しい給食である。搬入時間の制限緩和や、事業継続のための食材提案(経産牛の活用等)など、現場の業者の声に真摯に耳を傾け、Win-Winの関係で給食運営を支える体制を整えていただきたい。
委員会全体概要
2026年3月19日に開催された教育こども委員会の全体概要を、会派外の議論や当局の説明、請願者による陳述も含めて詳細に要約します。
本委員会は、学校現場の深刻な労働環境の改善、少子化に伴う保育・教育施設の再編、給食費の無償化といった、神戸の子育て・教育環境の根幹に関わる議論が長時間にわたり交わされました。
1. 請願・陳情者による口頭陳述:現場の悲鳴と切実な要望
質疑に先立ち、2名の市民代表による口頭陳述が行われました。
- 請願第182号(教育環境の改善)について:
小学校教諭の陳述人は、教職員の未配置問題が「現場の教職員がそもそも職場に存在しない」という極限状態にあると指摘。教員の60%が非正規(会計年度任用職員)である実態や、児童生徒の登校から下校まで「1分も休憩が取れない」労基法違反の常態化を訴えました。 - 陳情第187号(保育予算の拡充)について:
保育関係団体の陳述人は、77年ぶりに改善されたはずの国基準に対し、神戸市の市営保育所での対応が遅れていると批判。1歳児の配置基準「5対1」の早期実現や、保育士の低賃金による離職・人材不足の解消を強く求めました。
2. 学校教育に関する主な論点:働き方改革と35人学級
当局(教育委員会)の説明に対し、各委員から多角的な質疑がなされました。
- 教職員の欠員と未配置問題:
令和7年3月1日時点で、小学校31名、中学校12名、特別支援学校4名の計47名の欠員が生じていることが明らかになりました。当局は「年度当初は欠員ゼロでスタートできる見込み」としながらも、年度途中の産休・病休への対応が課題であると回答しました。 - 35人学級の推進:
国の方針に合わせ、令和8年度から中学1年生での35人以下学級を順次実施する計画が示されました。委員からは「20人学級などのさらなる少人数化」を求める声が上がりましたが、当局は「集団の中での学び合いや切磋琢磨も重要であり、ICT活用やチーム担任制などで個別の手厚い指導を補完する」との姿勢を示しました。 - 働き方改革推進プラン2.0:
「先生になってよかったと思える毎日を」をスローガンに、事務作業の削減、プール清掃やエアコン清掃の外部委託、校内連絡ツールのデジタル化(「TSUMUGI」への更新)などが提示されました。
3. 保育・幼児教育に関する主な論点:施設の再編と利用ニーズ
少子化に伴う市立施設のあり方について議論が集中しました。
- 市立幼稚園・認定こども園の定員問題:
少子化による定員割れが進む中、当局は市立幼稚園の再編を進め、一定の集団規模(20人程度)を維持することで教育の質を担保する方針を説明。一方で、私立幼稚園が認定こども園へ移行する際の定員設定(1号認定枠)の柔軟な運用について、経営安定化の観点から要望が出されました。 - 兄弟姉妹の別園問題:
同じ園に入れない「兄弟別園」状態が依然として保護者の負担になっている点について、当局は「利用調整指針の改正により別園利用率は低下傾向にある(現在約3.4%)」と回答。さらなる解消に向けた調整を継続するとしています。
4. 給食・教育福祉・安全に関する議論
- 学校給食の無償化と質:
令和8年度からの小学校給食費無償化に向けた準備が進んでいます。物価高騰が続く中、当局は「提供単価を適切に設定し、子どもの食の質を落とさない」と明言しました。 - いじめ事案と組織の透明性:
過去の重大な事案(垂水区での事案等)を引き合いに、調査報告書の認識や初期対応の不備について厳しい指摘がありました。当局は「隠蔽と捉えられかねない不適切な対応があったことは事実。真摯に反省し、組織風土の改革を進める」と答弁しました。 - 放課後の子どもの居場所(児童館・学童):
児童館の過密化や、職員の休憩スペース不足といった現場の課題が指摘されました。当局は学校施設(空き教室や図書室等)の活用を広げ、安全で快適な居場所づくりを強化する方針を示しました。
5. 採択の結果
一連の質疑の後、各会派による意見表明と採決が行われました。
- 請願第182号(教育条件改善):
「趣旨には理解を示すが、市はすでに国への要望や独自の改善策を講じている」とする自民・維新・公明などの反対多数により、**不採択(打ち切り)**となりました。 - 陳情第187号(保育予算拡充):
一部の項目(給食無償化の推進等)を支持する会派もありましたが、全体としては**不採択(打ち切り)**となりました。
【全体を振り返って】
今回の委員会では、数字上の「待機児童ゼロ」や「勤務時間削減」だけでなく、その中身である「教育・保育の質」や「教職員・保育士の心のゆとり」がいかに危機的状況にあるかが浮き彫りとなりました。当局は「国への要望」と「市独自の効率化」を強調しましたが、現場と保護者が実感できるレベルの改善が急務であるという共通認識が確認された会議でした。


