オーガニック(有機)農産物のブランド力向上に向けた学校給食等の出口戦略の強化、ワインづくりの担い手確保に向けたターゲットを絞った積極的な人材獲得、および米国向け食品輸出プロジェクトを契機とした海外展開の入り口・出口の分かりやすい仕組み構築と高雄市との都市間連携について、当会派の浅井美佳委員が質疑をおこないました。

1.有機農産物のブランド力向上について
浅井委員 有機農業の持続的な推進には、生産面の支援だけでなく、学校給食やファーマーズマーケット等と連携した安定的な販路確保や消費拡大といった『出口戦略』が極めて重要だと考えている。ブランド力向上に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。
経済観光局 本市では2024年度に『オーガニックビレッジ宣言』を公表し、2023年度に立ち上げた協議会のもと、生産・流通・消費を一体で推進しているところだ。マルシェ等でも有機農産物は好評を得ている一方、生産の安定や販路の確保、消費者の理解醸成が課題だと認識している。これまで、技術講習や給食向けニンジンの作付支援、商談会での販路開拓、消費者向けイベントなどを進めてきた結果、取り組み前の2022年と2025年の比較で、面積(23haから38haへ)も従事人数(22名から33名へ)も約1.5倍に増加した。今後は『BE KOBE農産物』ロゴと『有機JAS』ラベルを併記して付加価値を高めつつ、2030年までに市内農地の約1.5%(約80ha)への拡大を目指していく方針だ。
浅井委員 市が生産基盤の構築に注力している点は大いに評価する。令和8年度には、新たに学校給食等への活用に対する有機農業推進事業として50万円を計上いただいているが、オーガニックビレッジ宣言を掲げる自治体として少々物足りないのではないか。給食会側も『手に入るなら使いたい』という思いはあるものの、調達量や価格面がネックになっているのが実情だ。だからこそ、出口部分にもしっかりとした予算を確保して後押ししてほしい。
経済観光局 指摘のあった学校給食での活用については、昨年度に有機ニンジンを約3,000kg利用した実績があり、今年度はさらなる拡大に向けて新規作付(10aあたり5万円)を支援する50万円の予算を組んだ。給食への安定供給には量と価格の壁があるが、まずは可能性のあるニンジンから事業を広げている段階だ。今後は教育委員会や給食会とも連携し、有機農産物だと分かりやすい形で子どもや保護者に提供・普及できるよう、提供時期なども調整しながら進めていきたい。
浅井委員 泉佐野市では企業版ふるさと納税を活用して約3,000万円を確保し、毎日の小中学校の給食に有機食材を取り入れている事例もある。政令市とは規模感が異なるとしても、財源確保の一つのアイデアとしてぜひ念頭に置いて検討してほしい。
2.ワインづくりの担い手確保について
浅井委員 ワインづくりの移住先といえば長野や山梨が有名だが、神戸市も都市と農地を兼ね備えており、挑戦しやすい環境があるはずだ。ただ、市内のワイナリーからは醸造用ブドウの確保が課題だと聞いている。U・Iターンで新たな人材を呼び込めれば、産業振興だけでなく担い手確保や移住定住にもつながる。ワイン特区の発展に向け、移住施策と連携させて戦略的に取り組むべきだと考えるが、市の見解はどうか。
経済観光局 本市は特区認定により小規模醸造に参入しやすい一方、生産者や樹木の高齢化でブドウの収量低下が課題となっている。そこで市では、就農研修や育成経費の支援、醸造施設整備への支援体制を整えるとともに、移住・定住施策もパッケージで進めているところだ。指摘のとおり、人材の呼び込みは担い手確保や移住定住に効果的であるため、環境が整っている強みを積極的に発信し、呼び込みを進めていきたい。
浅井委員 情報を届けるべき発信先のターゲットなどの絞り込みは、すでに済んでいるのか。
経済観光局 現状はまだPR不足だと認識している。そのため、移住・就農相談会での情報発信や、現地でのワイナリー・ブドウ園の見学、ワインマルシェへの出展などを通じて神戸の魅力を知ってもらうなど、効果的なPR方法を検討して進めていきたいと考えている。
浅井委員 私が聞きたかったのは、どれくらいの母数を見据えているかという点だ。現地を訪れてくれた人に案内するだけでは不十分であり、PRとはその前に能動的に行うものだ。例えば東京事務所と連携し、都内のワインスクール受講生へ直接アプローチするなど、ただ人を待つのではなく『神戸が必要とする人材』を獲得しに行く姿勢へ振り切るべきである。単に農業者を募るのではなく、明確なターゲット設定をもってワイン特区の発展を支えてもらいたい。
3.米国向け食品輸出プロジェクトについて
浅井委員 人口減少で国内市場が縮小する中、神戸経済の成長には市内企業が海外で外貨を稼ぐ力を高めることが不可欠だ。今年度進められている米国向け食品輸出プロジェクトには大いに期待している。ただ、参加する一部の企業だけの支援で終わらせず、そこで得られた知見や課題をしっかり検証し、市内企業全体への支援へ広げていくことが重要だ。海外ビジネスセンターという『入り口』に対し、例えば毎年アメリカで現地のバイヤーを集めた神戸フェアを開くなど、行政が出会いの場をつくる継続的な『出口』を用意してほしい。企業が挑戦のイメージを具体的に描ける分かりやすい仕組みを構築すべきだと考えるが、見解を聞きたい。
経済観光局 指摘のとおり、海外から稼ぐ力を高めることは重要である。海外ビジネスセンターでは企業の段階に応じた支援を行っており、相談件数も増えて認知度は高まってきている。米国向け食品輸出プロジェクトでは現在3社が参加し、テストマーケティングの準備を進めているところだが、他企業向けにも米国のトレンドを発信するセミナーなどを開催して好評を得ている。台湾やベトナムでの商談会など多面的な支援を進めている他、食品以外の産業分野での海外展開の支援も進めている。今年度はすでに127件の商談支援で13件の成約に至った。今後はセンターの認知度向上を図るとともに、今回の米国プロジェクトの結果もしっかり検証し、変化するニーズに沿った支援を行いたい。来年度はシアトルとの姉妹都市提携70周年でもあるため、現地のネットワークも活用し、市内企業が世界へ挑戦しやすい環境を整えていく考えだ。
浅井委員 第一歩を踏み出してもらい感謝している。誰にでも挑戦の道筋が分かりやすい土壌をつくってほしい。部長自らが神戸青年会議所の前で説明するなど、新たな広報を進めているのも承知しており、ぜひ引き続き分かりやすい入り口と出口の構築に力を貸してもらいたい。その上で要望だが、もし欧米豪を重要市場と位置づけるのであれば、東南アジアと比べてまだ優先順位が見えにくい印象だ。優先順位を見直し、そこから逆算して予算を重点的に配分してほしい。
4.その他要望
浅井委員 神戸市と高雄市の間では、局長級の高雄訪問や副市長同士の会談など交流が重ねられてきた。人口やビジネス規模が大きい高雄市との直行便の話題も踏まえ、経済・文化の両面で実効性のある都市間連携の検討を求める。



