介護保険施設整備のあり方、再犯防止に向けた就労支援、および民生委員活動の効率化について。この内容について、当会派の松本しゅうじ委員が質疑をおこないました。

1. 介護保険施設整備について
【意見】松本委員 本市の高齢者数は2040年頃まで増え続ける見込みである中、現在の住まいではなく、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や介護施設をついの住みかとして希望されている方が大変多くいらっしゃる一方で、市内の各施設には空床もある状況と聞いている。昨今の建築費、解体費の高騰は今後も当面は高止まりが続くだろうという見通しである。
【質疑】松本委員 需給と供給のバランスをどのように見据え、今後どのように介護施設の整備を進めようと考えているのか質疑した。
【答弁】八乙女福祉局長 本市の高齢者人口は2040年頃をピークに迎える見込みであり、85歳以上人口がピークを迎える2035年頃には、要介護・要支援者の認定者数が約11万4,000人と最多となる見込みである。これらを踏まえ、介護保険事業計画において施設種別ごとの整備目標数を定めており、現在、2027年度から2029年度を計画期間とする第10期計画の策定に向けた検討を行っている。次期計画の検討に当たり、直近1年間の入居状況等の調査を行ったところ、特別養護老人ホームでは入院による空床を含め月平均で約7.0%(入院による空床を除いても約3.5%)の空きが生じていた。ケアハウスでは月平均約4.6%、有料老人ホームでは月平均約19.4%の空きが生じており、全体では月平均2,235床の空きがあることが確認された。また、特別養護老人ホームの入所申込者数は2015年3月の5,939人をピークに減少を続けており、2026年3月の時点では2,635人とピーク時の5割以上にあたる約3,300人が減少している。今後、高齢者人口は2040年頃にピークを迎えた後に減少に転じる見込みであるため、新たに整備した施設は数十年にわたって利用されることを踏まえ、中長期的な視点に立って将来どの程度の施設整備が必要になるかを見極めることが重要と考えている。本年10月に公表予定の介護保険施設整備事業者の募集については、昨年度に引き続き大規模特別養護老人ホームの新規募集を停止するとともに、小規模特別養護老人ホームに限定するなど例年より募集数を減らす予定としている。次年度からの第10期計画においても、施設整備需要は限定的であると考えており、既存施設の有効活用、長寿化を図りながら、将来の介護事業に応じた適切な定員の確保に取り組んでいく。
【意見】松本委員 需給と供給については、大規模から小規模に少しずつ切り替えていくという話であった。人材についても少子高齢化で人生100年という中で、例えば兵庫、須磨、長田などは高齢化率が非常に高い。しかしながら、市東部の整備に対しての補助上限額を引き上げるとのことだが、土地代が高くて資材が高い中で、わざわざそこに集中しながらバランスを取る必要はなく、地域でのそれぞれの高齢化率によってのバランスも加えていくべきであると指摘した。
【再質疑】松本委員 介護人材について、どこの業界でも課題になっているが、特に雇用条件のいい大都市に人材が集中してしまうと、現状のサービス水準を維持することが大変難しくなってくる。政令市同士の比較で福祉関係の予算規模には差はないが、人材の取り合いのようなことになる。例年必要な予算は確保できていると聞いているため、より一層雇用条件の改善に向けた取組を進めるべきである。全国一律の報酬基準だけでは他都市との差別化が図れず、人材不足の解決にはならないと考えるが、見解を求めた。
【答弁】小寺福祉局副局長 介護分野における人材確保・定着は重要な課題であり、従事者の処遇改善に取り組むことが重要と認識している。雇用条件のいい大都市への人材集中が進むと、地域における介護保険サービスの提供体制に影響を及ぼすことが懸念される。本市では、これまでも介護報酬の見直しによる処遇改善、人材育成・定着に向けた取組の強化、自治体へのさらなる財政支援について国に対して要望してきた。国は2025年度に医療・介護等支援パッケージによる賃上げ・職場環境改善への支援を実施し、2026年度は処遇改善加算の拡充を図っている。さらに、2027年度の報酬改定に向けてもさらなる処遇改善等の議論を進めると聞いている。本市では、事業所への処遇改善加算の新規取得や上位の加算区分への移行を促進するため、専門家による個別相談を行う処遇改善加算取得促進事業を実施している。また、「コウベdeカイゴ」を推進し、福祉分野の仕事の魅力発信や、新たに職員を採用した法人に対する住宅手当支給額の一部補助、キャリアアップ支援金の支給などを行っている。市独自で給与水準向上を目的とした支援を恒常的に実施することは財政面から容易ではないが、引き続き国に対して適切な報酬設定等を要望するとともに、本市として実施可能な支援を検討していく。
【要望】松本委員 国への要望や神戸市の持ち出しを含め、努力いただいていることは理解している。国の保険点数が低いことで従業員の給料を上げることができないのは国の責任であるが、陳情や要望の中に点数の問題をしっかりと入れていただきたい。地域格差についても、お金がない状態であれば購入しやすく回収しやすいところにシフトすることも視野に入れて取り組んでほしいと要望した。
2. 再犯防止について
【意見】松本委員 刑法犯により検挙された者の約半数が再犯者であることから、再犯防止の取組を進めることは大変意義があると考えている。
【質疑】松本委員 神戸市において令和5年度から再犯防止コーディネーターを配置し、福祉的支援が必要な出所者に対して支援を開始していると聞いているが、これまで何件ほどの対応をしているのか質疑した。
【答弁】佐藤福祉局相談支援課長 再犯防止コーディネーターによる支援は2023年6月から開始している。当初は刑務所等に入所することなく釈放される「入り口支援」が必要な方を対象とし、2024年度からは矯正施設を退所した「出口支援」が必要な方まで対象を拡大した。個別支援の件数については、2026年8月末時点で入り口支援が64件、出口支援が15件の計79件の支援を実施している。
【意見】松本委員 令和5年に保健福祉局内に担当分野を置いていただきありがたい。これらは法務省から自治体に向けて再犯防止に取り組むようルールがあり、しっかり取り組んでいただきたい。しかし、その中で諸課題が出てきているため、解決に向けてさらに取り組んでいただきたい。
【再質疑】松本委員 犯罪や非行をした人が就労する際は、社会復帰を支える協力雇用主の理解が非常に重要である。出所者の経歴をはじめ、なぜ犯罪に至ったのか正しく情報を伝えていなかったことから、職場でうまくいかないケースもある。市としてハローワークや県の就労支援機構等と連携して支援の取組を進めていると聞いているが、現状の課題や今後の取組の方向性について見解を求めた。
【答弁】黒田福祉局副局長 兵庫県内における協力雇用主の登録件数は令和7年10月1日現在で961件、うち実際に雇用している協力雇用主は24件、雇用されている者は34名となっている。登録数は年々増加しているが、半数以上が建設業であり職種の偏りがあること、実際の雇用人数が伸びていないことが課題である。また、犯罪や非行をした人の中には、障害や病気、発達の特性により一般就労が難しかったり、生活習慣が整っていなかったり、自主性や協調性に課題があり職場でうまくいかない人が一定数おられる。経歴等を就労先にどこまで伝えるかについては本人の意向も踏まえる必要があり、就労先に定着できるように関係機関と連携した丁寧な対応が必要である。本市としては、雇用の受皿拡大の取組と、対象者の状況に合わせたきめ細やかな支援を行っていく。受皿拡大については、市内の企業宛てのメールマガジンを通じた制度の周知を引き続き行うとともに、市の指定管理者や委託事業者にも周知し、雇用拡大と職種の偏り解消を目指す。個別支援対象者は福祉的な支援が必要な人であるため、一般就労から福祉的就労まで状況に応じた就労支援を行う。すぐに就職活動が困難な方には就労準備支援事業等を活用し、就労意欲の向上を図った上でハローワーク等と連携し安定した就労につなげていく。
【要望】松本委員 協力雇用主の登録件数に対して実際に雇用している件数が少ないことなど、ミスマッチングや情報提供のあり方に課題があると感じた。刑務所入所時に心理テスト等を行い、出所後の処遇に合った就業先をアドバイスしていくことが神戸市の役割の1つになってくるのではないかと考える。処遇改善や県との連携による課題解決に一層取り組んでいただき、足りない部分については法務省へも申し上げていくので、なお一層の努力をお願いしたいと要望した。
3. 民生委員の活動の効率化について
【意見】松本委員 全国的な傾向と同様に、本市においても民生委員の成り手不足が深刻化している。無理に人材を確保した結果、信頼関係の構築や情報の取扱いに失敗する事案が発生しているとも聞いている。見守り対象者が増加している中で、人手不足を人員補充のみで埋めることは現実的ではない。個人情報に配慮した情報連携の課題はあると思うが、AI等を活用して現場のデータを構造化・標準化することで新たな効率化を推進することが必要である。
【質疑】松本委員 支援の緊急度に応じた優先順位づけや訪問要否の判断を行い、不要な訪問を減らしつつ必要な見守りの質を高める仕組みを構築すべきと考えるが、見解を求めた。
【答弁】八乙女福祉局長 民生委員・児童委員の成り手不足が課題となっており、現在のやり方で地域の見守り体制を維持していくことは容易ではなくなってきていると感じている。見守り活動の質を高め、関係者の負担を減らすためには、AI等のデジタル技術の活用についても研究していく必要があると考えている。行政が保有する福祉サービスの利用状況などをAI等で分析し、支援の必要性やリスクを把握して訪問や見守りの優先順位をつけることは、負担軽減や支援の充実につながる可能性がある。一方で、個人情報保護の観点が重要であり、高齢者見守りに関する情報はセンシティブな情報を含むため、利用には十分な配慮と検討が必要である。また、支援の必要性の判断には数値化しにくい要素も含まれるため、AIによる判断を参考にして最終的には人によるチェックや判断が必要になると考えている。今後も少子高齢化が進み担い手の確保が困難になる中、他の自治体の先進事例や国の動向を注視しながら、個人情報保護と支援の実効性の両立を図る観点でAI等の活用可能性について研究していく。
【意見】松本委員 AIの活用については理解したが、タブレットの配布による研修中とのことで、スマホやLINEを使える人にとっては事務効率化につながるが、使いこなせない人にとっては逆に負担になり、後継者育成の障壁になるのではないかという懸念がある。
【再質疑】松本委員 タブレットの利用が逆に負担となり、新しい民生委員の獲得に影響を与えないか見解を求めた。
【答弁】八乙女福祉局長 昨年度から灘区をスタートに全市の民生・児童委員にタブレットを配布して事務の軽減を図るための研修等を行っているが、タブレットに慣れない、触ることに抵抗がある方がおられることは承知している。十分な丁寧な研修や各地区での勉強会、区役所での対応を行い、タブレットが使えないから民生委員を辞めるということがないように、手書きでの並行作業も含めて丁寧に順次進めていく。
【要望】松本委員 支援員のサポート経費が安過ぎると感じるため、若い人たちの待遇改善を行って負担軽減の一助としていただきたい。また、介護保険の施設整備について、地域間バランスだけで推し推めるのではなく、入所しやすい魅力的な施設という視点も含めて計画を練り直してほしいと要望した。
【質疑】松本委員 話を1つ戻すが、介護保険の施設整備について、地域の不均衡の是正というところで少し意見を述べたが、その意見に対してどのように考えているか。全部平均的に、地代も含めて高いところには補助を上乗せして均一を目標にするのか。入居者を確実にちゃんと入所させるためには、いろんな手があってもいいのではないかという意見を申し上げたが、いかがか。
【答弁】小寺福祉局副局長 地域的に施設の整備等に偏りがある中で、重点的な形で支援していけたらというお話かと思うが、現状は介護施設の整備に関して、地域によって何か補助を上乗せするといった形は取っていない。しかし、これからの施設整備においては需要が限定的な人数になってくる中で、優先的に空白が生じている、現在施設整備が進んでいないところを優先的に整備していくということは考えていかなければならないと思っている。金銭面でどうこうというところではないが、しっかりと地域バランスを見ながら考えていきたい。
【要望】松本委員 それはやめたほうがいいと思って発言した。入所している人は自由に出たり入ったりはなかなかできず、そこがついの住みかになる。自分の近くに親戚がたくさんいて、いつもの人たちがいるということもあるだろうが、一旦入ってしまえば、山が好きな人は山のほうでもいいし、海が好きな人は海のそばでもいいし、町の真ん中がいい人はそれでもいいわけである。地域にこだわらなくても、入所しやすい、また魅力的な施設という意味合いでは、地域間バランスだけで推し進めるのはどうかと思う。この点を少し是正していただき、改めてその計画を練り直していただけたらと思い、要望とする。



