令和8年9月30日 決算特別委員会 第3分科会(教育委員会)【山口 由美委員による質疑】

市立高校の意義と魅力化に向けた教育環境の整備、特別支援教育の将来像と福祉避難所の拡充、不登校児童・生徒の保護者支援、子供のスポーツ活動への支援、子供の意見表明権の保障、およびフッ化物洗口によるデンタルネグレクトの早期発見について、当会派の山口由美委員が質疑をおこないました。

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1.市立高校の意義

山口委員 市立高校の魅力化に向けた議論が進んでいるが、その意義をどう考えているか。また、生徒や保護者から選ばれ続ける学校となるためには、施設や設備といった教育環境へ思い切った投資を行う必要があると考えるが、見解を聞かせてほしい。

教育委員会 市立高校は県立高校の補完から始まったが、特色化や立地の良さ、小回りの利く強みを生かして市民ニーズに応えてきた。激変する社会においてその果たす意義はますます大きい。AI時代に対応した特色ある教育課程を編成するとともに、体育館の空調増強やトイレ美装化、交流空間の創出など、見違えるような環境整備を進めたい。経費はかかるが、市長部局と連携して予算確保に努める考えだ。

山口委員 その方向性をぜひ応援したい。公立高校を取り巻く環境が厳しくなる中、予算を伴う強力な推進が必要だ。再質問として産業界との連携について伺う。地元企業との探究学習やインターンシップを強化すれば、将来の地元定着やUターン就職につながると期待している。その成果を検証するためにも、卒業生が大学を卒業した後の就職先や勤務地域を継続的に把握する仕組みを検討してはどうか。

教育委員会 企業連携によるキャリア教育は職業観を育む上で非常に有効であり、これまでも各校で実践してきた。検討中の魅力化プランでも、地元定着やUターンにつながるよう神戸商工会議所と連携プログラムを協議中だ。なお、大学卒業後の進路把握は網羅的には難しい面があるが、成果の検証方法については商工会議所等とも相談していきたい。地域への愛着を育み、地元産業への人材供給につなげていく方針だ。

山口委員 商工会議所との連携をぜひ前に進めてほしい。将来的に神戸へ戻って就職してもらうのは容易ではないが、そうした視点を持ち、神戸のことを考えながら教育を受けられるよう、引き続き取り組んでほしい。

2.特別支援教育

山口委員 医療的ケア児への看護師派遣など現場での取り組みは評価しているが、最近は近視眼的で将来像が見えにくい。教育委員会として目指す姿をどう描き、スケジュールをどう市民に示すのか見解を伺いたい。

教育委員会 障害の有無に関わらず誰もが生きられる共生社会の実現が基本方針だ。通常の学級から支援学校まで切れ目なく支える学びの場を用意する。全教職員が特別支援の視点を持って『個別最適な学び』を実践することが目指す将来像である。スケジュール明示は難しいが、この方向性で進める。

山口委員 全教職員がその視点を持つことには大いに賛同する。他都市のように、神戸ならではの強みや目指すビジョンを市民へしっかり打ち出し、伝えてほしい。


山口委員 公立・私立問わず支援が必要な幼児が増えている。市立幼稚園が地域の特別支援教育の拠点・リード役として機能できているかを把握し、必要に応じて機能強化を図るべきではないか。

教育委員会 市立幼稚園に設置した拠点校通級指導教室14教室において、聞こえやコミュニケーション等に課題のある幼児を対象に、通級による指導を行っている。また、今年度設置する2教室では私立園児も受け入れ、インクルーシブ教育推進相談員の配置や私立園も参加できる研修を行うなど、幼小連携や人材育成を進めている。今後も拠点機能を強化し、市全体の支援をリードしていく。

山口委員 私立園への周知不足や現場の人手不足といった課題もあるようだ。現状を丁寧に把握し、一層の機能強化を図ってほしい。


山口委員 災害時、支援学校に通う児童・生徒や家族が安心して身を寄せられる場所が必要だ。国の通知も踏まえ、現在1校(青陽須磨支援学校)にとどまっている福祉避難所の指定を、全ての支援学校へ広げるべきではないか。

教育委員会 福祉避難所として機能させるには専門的な支援体制や外部機関との役割分担の整理が必要である。まずはモデル校に指定された青陽須磨支援学校で具体的な運用を検討しつつ、他校の指定に向けても福祉局としっかり連携していく。

山口委員 事前の体制整備が不可欠であるため、全校指定に向けて早急に進めてほしい。


山口委員 教員の負担軽減と子供の実態に即した指導のため、自校通級教室設置校100校で導入されたICTソフトを、早期に全校へ導入すべきではないか。

教育委員会 実態把握が容易になり、教材活用で教員の負担が大幅に軽減されるなどの効果を確認している。直近の7月からは全中学校で試験導入を始めており、今後は自校通級指導教室未設置校も含めた早期導入に努めていく。

山口委員 支援の本質は人間関係やコミュニケーションにあるため、ICTに依存しすぎない配慮は必要だが、データ蓄積のためにも早期の全校展開を期待する。

3.不登校児童生徒の保護者支援

山口委員 不登校支援では子ども本人だけでなく保護者のケアも極めて重要だ。教育委員会がホームページに『親の会』の情報を掲載したのは大きな前進だが、保護者が孤立せず安心できるよう、さらに有用な情報を積極的に発信してほしい。

教育委員会 保護者支援は非常に重要であり、孤立させない支援を進めている。今年6月に親の会一覧を掲載したが、サイトの奥深くにあり探しづらい、情報量が多くて分かりにくい、民間施設主催のものに限られているといった課題がある。保護者目線でページを改善するとともに、兵庫県や民間ポータルサイトとも連携して、より幅広く情報が届くよう発信を強化していく。

山口委員 保護者が落ち着いて子どもを支えられるよう、引き続きその視点でお願いしたい。続いて教材の一括購入についてだが、不登校の子どもが使わない学校用教材まで一律に購入・徴収されることに違和感を持つ保護者もいる。家庭で使えない教材は本人が不要なら買わない選択肢があってもよいのではないか。購入の要否を保護者に事前確認できる仕組みをつくれないだろうか。

教育委員会 教材費の管理システム自体は個人ごとの精算が可能で、すでに個別の事情に応じて柔軟に対応している学校もある。ただ、一律支払いが当然と思っている保護者も多いと考えられるため、事情があれば購入前に学校へ相談できる旨をお知らせプリント等で周知するなど、柔軟に対応できるよう検討していく。

4.子どものスポーツ活動への支援

山口委員 民間クラブで活動する小学生が全国大会に出場する際、神戸市には遠征費の支援制度がなく、制度がある明石市などと比べて保護者が不公平感を抱いている。現行の部活動やコベカツ向けの補助にとどまらず、小学生や高校生も含めた支援のあり方を文化スポーツ局と連携して検討すべきだ。ぜひ来年度予算に向けて協力して進めてほしい。

教育委員会 学校の部活動や学校単位のコンクールであれば全国大会への補助制度があり、コベカツ移行後も維持していく方針だ。しかし、小学生の民間・地域クラブでの出場に対する支援制度が神戸市にないのは事実であり、近隣他市と差があって保護者が不公平に感じるのももっともだと思う。学校外の活動や私立学校の児童への対応も関わるため、基本的には市長部局で検討すべき課題だと認識しているが、教育委員会としてもこれまでの経験を生かし、支援のあり方を一緒に考えていきたい。

山口委員 また、学校やコベカツでのけがに備え、柔道整復師の施術が日本スポーツ振興センターの給付対象になることや、地域の接骨院を活用できる点について、学校現場や運営事業者にしっかり周知してほしい。

5.子どもの意見表明権

山口委員 学校や教育委員会と保護者が対立する中で、子どもの本音が置き去りになっているケースがあると感じている。子どもの権利条約やこども基本法で子どもの意見表明権が保障されたが、教育委員会としてこの権利をどう捉え、実務の現場で何を感じているか。

教育委員会 子どもの意見表明は重要だが、法律ができたからといって、子どもが急に本音を言えたり大人がそれを正確に把握できたりするほど単純な話ではない。現代の子どもはSNSなどで多くの情報を得て価値観が多様化しているのに、家庭や学校の枠組みが追いついていない。だからこそ、改訂された『生徒指導提要』を現場に浸透させ、一人ひとりに応じた支援へ転換する必要がある。意見をまとめるスキルの育成、聞く環境づくり、そして何より教員や生徒同士の信頼関係の構築に、教育活動全体で取り組んでいく考えだ。

山口委員 『生徒指導提要』の視点もしっかり持ちながら、現場でできる取り組みをぜひ進めてもらいたい。また、学校や教育委員会と保護者が対立してしまうケースも多いため、その解決に向けてスクールソーシャルワーカーの活用をより一層進めてほしい。

6.フッ化物洗口の意義の周知について

山口委員 小学校でのフッ化物洗口は、教員の負担軽減を意識しながら進められているが、単なる虫歯予防だけでなく『デンタルネグレクト(虐待)の早期発見』につながるという意義を、現場の教員はまだ十分に知らないのではないか。この意義を現場に周知することで理解を深め、取り組みを広げてほしいが、教育委員会の見解を聞きたい。

教育委員会 学校は各種健診や日常の観察を通じて虐待の兆候を早期に把握しやすい環境にあり、教職員もそれを自覚した上で組織的に連携・対応している。フッ化物洗口についても有効性や安全性を伝えてきたが、今後はデンタルネグレクトの周知も含め、健康局や歯科医師会と連携しながら教職員や保護者の理解をさらに深め、実施機会の提供に取り組んでいく考えである。

山口委員 実施している事業の意義を現場がしっかり理解することが何より重要だ。虐待の早期発見には力を入れているので、学校現場で今後どのような対応がなされるのかを私たちもしっかり確認していく。引き続き協力をお願いしたい。

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