令和8年6月25日開催の「教育こども委員会」にて、教育委員会およびこども家庭局より示された重要施策の概要について解説します。 本記事では、当局からの報告事項を網羅的にまとめております。また、当会派から出席した吉田議員、上畠議員、浅井議員による詳細な質疑内容に関しましては、議員別の独立記事としてご紹介しております。議員それぞれの視点による鋭い質疑については、各個別記事よりご参照ください。

【当局からの報告事項】
1. 教育委員会:令和8年度事業概要と教育環境の整備
教育委員会からは、総額約1,379億円の予算に基づき、「子供が主役」となる学びの実現と、安全で快適な学校環境の構築に向けた多角的な施策が報告されました。
■教育委員会の構成と予算規模
- 組織体制: 教育長および5人の教育委員で構成。事務局および学校園の職員数は計9,267名(うち学校園職員は8,810名)となります。
- 予算概況: 歳入合計317億5,400万円に対し、歳出合計1,379億5,200万円を計上。教育環境の抜本的改善に重点を置いています。
■「子供が主役」の学びの推進
- 個別最適な学びと協働的な学び: 新たに導入した操作性の高い学習用タブレットを活用。全小中学校に「学習指導員」を配置し、放課後学習や少人数指導、同室複数指導を強化します。
- 英語教育の充実: 小・中・高・特別支援学校においてALT(外国語指導助手)との協同授業を推進。姉妹都市等とのオンライン交流や、英検IBAを活用した4技能の調査・分析を行い、実践的なコミュニケーション能力を養います。
- 産官学民連携: 地域企業や団体と連携し、子供たちの興味・関心に応じた探究学習や体験活動を全市的に展開します。
■一人ひとりに応じたきめ細かな支援
- 不登校児童生徒への支援: フリースクール等の民間施設を利用する保護者に対し、利用料の半額(月額上限2万円、オンラインは1.5万円)を補助する制度を新設。また、全小中学校に「校内サポートルーム」を整備し、支援員を配置します。
- いじめ未然防止: 市独自の学習指導案に基づく授業を実施。「神戸いじめ防止フォーラム」の開催に加え、いじめアンケートの電子化を行い、組織的な早期対応を徹底します。
- 自校通級指導教室の整備: 通級指導が必要な児童の増加に対応し、新たに23校で設置(計100校)。令和18年度までに全小中学校への設置を目指します。
■安全・安心な教育環境づくり
- 学校給食の負担軽減: 小学校給食の完全無償化を実施。中学校給食についても、食材費高騰分を公費負担し、1食434円から170円(保護者負担額)へと大幅な軽減を継続します。
- 施設整備の推進: 老朽化した校舎の長寿命化改修(小学校9校、中学校11校)や、トイレの洋式化(令和8年度末に93.7%完了予定)を推進。
- 学校体育館空調の増強: 避難所としての機能強化と教育環境改善のため、3校で増強整備を試行実施し、大・中・小の各規模に応じた効果を検証。併せて全校への展開に向けた現地調査を進めます。
- 通学手段の確保: 公共交通機関を利用する児童生徒への費用助成に加え、路線バスの休止に伴う代替通学手段(大沢小中・平野小等)を確保します。
■教職員の働き方改革と職場環境改善
- 負担軽減策: プール清掃、床の油引き、エアコン清掃等の特殊清掃業務を外部発注。また、職員用トイレや更衣室の改修を行い、働きがいの向上を図ります。
- メンタルヘルス対策: 産業保健体制を強化し、相談体制を拡充します。
2. こども家庭局:切れ目のない支援と子育て環境の充実
こども家庭局からは、一般会計約1,527億円の予算に基づき、妊娠期から青年期までの「切れ目のない支援」と、保育人材の確保策について報告がありました。
■ライフステージに応じた健康・見守り支援
- 5歳児健康診査: 成長・発達の課題を早期発見し就学支援に繋げるため、令和8年度下半期より5歳児を対象とした健診を試行実施します。
- 妊産婦支援の拡充: 妊産婦健康診査の助成回数を14回から16回へ拡充。上限額を12万円から13.6万円(多胎児は16.1万円)へ増額します。
- 産後ケア事業: 生後4ヶ月以降の受け入れ施設や、夜間の受け入れ体制を強化する施設への加算を新設します。
- こべっこウェルカム定期便: 誕生祝いの品に加え、月1回、育児用品の配送時に見守りと相談支援を実施(最大10回)。昨年度は延べ724件の相談に対応しました。
■保育人材の確保と教育・保育体制
- 保育士確保策「6つのいいね」: 対象を児童養護施設等に勤務する保育士にも拡大。新卒保育士への一時金(年30万円)や、定着一時金(年20万円)、宿舎借り上げ支援(月最大10万円)により、担い手の確保を図ります。
- こども誰でも通園制度: 就労要件を問わず利用できる本制度の実施施設を、44施設から84施設へ大幅に拡大。利用時間も月10時間から最大20時間まで拡充します。
- 病児保育事業: 兵庫区での新設により、令和8年度から全区での実施体制が整います。
■放課後子供対策と経済的支援
- 学童保育の充実: 待機児童解消のため学校施設内に専用スペースを整備。放課後の居場所「本のひろば」を9箇所から20箇所へ拡大します。
- 通学定期券補助: 市内高校等への通学は全額、市外は半額を補助。今年度より、公共交通機関での通学が困難な地域において、保護者が自家用車で送迎を行う場合の補助制度を新設します。
3. 児童虐待相談の状況(令和7年度実績報告)
こども家庭センター(児童相談所)および各区役所における、児童虐待相談の現状と対策強化について報告がありました。
■相談・通告件数の推移
- こども家庭センター: 相談通告総数は3,124件。過去最多だった前年度(3,164件)から微減したものの、依然として深刻な状況が続いています。
- 虐待の内訳: 「心理的虐待」が60%を占め、次いで身体的虐待(21%)、保護の怠慢・拒否(18%)となっています。
- 虐待者: 実父母による虐待が全体の95%を占めています。
■対応体制の抜本的強化
- 専門職の増員: 児童福祉司・児童心理司を計10名増員し、総勢142名体制へ拡充。
- 早期発見・機動的対応:
- 虐待通告受理後、48時間以内に安全確認ができない場合は原則として児童相談所へ送致する運用を徹底。
- 警察とのリアルタイムな情報共有システム(1時間ごとに更新)を構築。
- 区役所への心理職の巡回実施や、外部有識者による「スーパーバイザー」の助言機会を拡充し、対応力の向上を図ります。
- 自立援助ホームの支援: 一時保護後等の受け皿として、新たに民間の自立援助ホーム2箇所の整備費用を補助します。
自由民主党神戸市会議員団・無所属の会は、今回報告された各事業が着実かつ効果的に執行されるよう厳しくチェックを行うとともに、子供たちの安全が守られ、保護者が安心して子育てができる環境、そして教職員が情熱を持って子供たちに向き合える学校現場の実現に向け、当局への提言を続けてまいります。


