神戸市室内管弦楽団の存続に向けた基準や、若手アーティストの表彰・支援、地域の伝統行事への補助、さらにはスポーツ振興やジャズを通じたまちづくりなど、多岐にわたる文化・スポーツ施策について議論が交わされました。この内容について、当会派の浅井美佳委員が質疑をおこないました。

1.室内管弦楽団の今後の方向性に関する審査基準等について
浅井委員 神戸市民文化振興財団から神戸市室内管弦楽団の存続に関する提案書が届いたが、市はどのような情報・基準・観点で審査・判断するのか。審査に必要な資料は揃っているのか、また今後のスケジュールはどうなっているのか伺う。
文化スポーツ局 提案書では、2028年度までに演奏収入40%以上、民間支援10%以上、市補助金依存率40%以下(現行の半額程度)を目指し存続する計画が示された。存続決定は尊重するが、支援の判断にあたっては「自助・共助・公助のバランス」「説明責任」「長期的な計画性」「市民還元や認知度向上」「収支構造改革の確実性」などを重視する。財団からの要望を受け、市としては10月中旬をめどに方針を示し、令和9年度の予算編成に向けて市会に審議をお願いする予定だ。
浅井委員 資金獲得に向けて理事が奔走するのが本来の筋であり、市に早期判断を求める姿勢には疑問が残る。また、財団は収入目標をパーセントで示しているが、総額が定まらなければ金額は不安定になる。単なる割合ではなく、演奏収入や企業協賛を裏付ける具体的な金額や根拠、これまでの実績をしっかり見極めて判断してほしい。
文化スポーツ局 他都市の平均値を参考に割合を示した経緯があり、そこにこだわりすぎた点は反省している。単なる比率にとどまらず、補助金がどう使われ、市が求める楽団像の維持にいくら必要なのかという視点に修正する。市が求める姿について財団ときっちり意見交換していく。
浅井委員 存続するのであれば、演奏者が演奏に専念できるよう、他都市の例のように理事らが資金獲得に奔走する組織へと刷新すべきだ。このタイミングで監督や理事長・理事など人事の刷新を強く求めていく。演奏者の努力を踏みにじることなく、神戸市にこの楽団が存在する意義を突き詰めてもらいたい。
2.文化表彰制度の柔軟化や基準緩和について
浅井委員 文化芸術分野の表彰制度の見直しを求める。スポーツ分野に比べて既存の文化賞などは表彰のハードルが高く、18歳未満を対象とする「こうべユース賞」の後の20代・30代に光が当たる機会が乏しい。文化芸術の担い手の励みや活動継続の後押しとなるよう、現行制度で十分に評価されていない世代や分野に向けた表彰基準の見直しや、新たな表彰制度の在り方を検討すべきだ。
文化スポーツ局 神戸市には文化賞等のほか、世界的功績を称える文化芸術特別賞や、各大会・展示会への市長賞の贈呈といった仕組みがある。指摘のとおり、公的基準や推薦体制が整っているスポーツ分野に比べ、文化分野は民間主導のコンクールが多く賞の重みの判断が難しいため、表彰のハードルが高い。特に若手表現者の評価には課題を感じており、どのような評価のやり方があるか検討・研究を進めたい。
浅井委員 検討の姿勢を歓迎する。文部科学大臣表彰などを参考に基準を明確に定めて運用していく方法が考えられる。高校生以降の若手・中堅世代にスポットライトが当たらないと活動を断念し、伝統が途絶えかねない危惧があるため、世代も含めた検討を進め、できれば来年には前向きな答えを聞きたい。
3.作品販売機会の創出とアーティスト収益について
浅井委員 若手アーティスト支援として地下鉄海岸線等で行われている取組を評価している。以前、六甲ミーツ・アートなど市が関わるイベントでも作品を販売できる機会をつくってほしいと要望したが、その後の進展や、実際にアーティストの収益につながった事例があれば教えてほしい。
文化スポーツ局 「SUBWAY MUSEUM」事業で地下鉄海岸線での展示・販売を行っている。六甲ミーツ・アート単体での作品販売はしていないが、同イベント等の参加作家を本事業に登用し、ワークショップ等を通じてファン層の拡大を図っている。作品の購入には作家の意図や人となりへの理解が重要であるため、広報や周遊企画を充実させるとともに、今年度中に市内アートイベントの参加作家が一堂に会する展示・販売会の開催を検討し、販売機会と収益の創出を進める。
浅井委員 展示・販売会の検討を評価する。地下鉄では作品が風景の一部になりがちなため、立ち止まって鑑賞し購買意欲を高める場づくりは有意義である。活動継続には実際に売れることが不可欠なため、販売件数などをKPIやレビュー項目に設定して目的を見失わないようにしてほしい。また、地元企業・ホテルへの販売促進や、駅前移設作品への購入用QRコード設置など、アートの購入接点を増やす施策を引き続き提案したい。
4.伝統文化に対する財政支援充実と発信について
浅井委員 だんじりや神輿などの伝統文化は地域をつなぐ大切な役割を担うが、維持・修繕には多額の費用を要する。国等の補助制度の周知や市の補助制度の拡充を図るとともに、転入者や若い世代に向けてその魅力を積極的に発信していくべきだ。財政支援の充実と市民への情報発信の両面について、市の見解を問う。
文化スポーツ局 国の地域文化財総合活用推進事業による修理支援や、神戸歴史遺産認定に伴うふるさと納税を活用した助成制度がある。国や県へ支援の継続・拡充を要望するとともに、制度を知らない保存会や自治会への情報提供を進める。また、情報発信は重要だが、広く参加を求める行事もあれば神事として参加者を限定する行事もあるため、保存会の意向を踏まえ効果的な発信を進めていく。
浅井委員 保存会との意見交換は年に何回か実施しているのか。
文化スポーツ局 文化財課や区が連携し、保存会との意見交換や相談対応を適宜行っている。
浅井委員 だんじり関係者を一度一堂に集めて声を聞く機会をつくってほしい。また、企業版やプロジェクト型のふるさと納税の活用も検討すべきだ。現在は区ごとに補助制度の有無や金額に格差があるため、関係者の意向を把握した上で、さらなる財源確保や補助金の拡充、周知への支援を引き続き要望する。
5.引退後の選手への具体的な支援プログラムについて
浅井委員 神戸市には多くのトップスポーツチームがあるが、アスリートの現役期間は限られている。引退後も神戸に残り、培ったリーダーシップや能力を地域で発揮してもらうことは市の大きな財産になる。地元企業とのマッチングやビジネススキルの習得、起業支援など、具体的なセカンドキャリア支援を進めるべきではないか。
文化スポーツ局 セカンドキャリア支援は地域経済の活性化や人手不足解消にも資する重要な課題である。実態把握のために商工会議所と連携して調査したところ、企業の約7割が採用検討に前向きで人間力への期待が高いことが分かった。一方で、競技に関わる仕事を望む選手が多いことや、プロ・アマなど契約形態の違いにより必要な支援が異なるという課題も見えてきた。今後も商工会議所と連携し、具体的かつ効果的な施策を検討していく。
浅井委員 経済団体、大学、スポーツチーム、行政が連携する産官学のネットワークを構築し、市内全体で持続可能な支援体制を整備すべきではないか。
文化スポーツ局 取組は着手したばかりで選手本人への直接のニーズ把握には至っておらず、支援体制のあり方についての議論はまだ深まっていないのが現状である。まずは商工会議所や、兵庫県スポーツ協会などの既存ネットワークやノウハウを活用した取組を進め、その中で情報交換を行いながら体制構築を検討していきたい。
浅井委員 ぜひ進めてほしい。一度起業して戻ってくる人材もネットワークに含めることも視野に入れ、引き続き検討をお願いする。
6.あじさいネット改善に向けた取組について
浅井委員 あじさいネットは予約の取りづらさや特定グループによる占有、ペナルティのない直前キャンセルなどが問題視されている。予約機会の公平性を保つためにも、キャンセルポリシーの厳格化や抽選倍率の標準化など運営ルールを見直すべきではないか。
文化スポーツ局 体育館は利用率が80%を超えており予約が取りにくい状況だが、公平性の観点から改善が必要だと認識している。抜本的なシステム改修は現行契約が切れる2028年度を予定しており一定の時間を要するため、まずはホームページや窓口などで不正な重複予約に対する厳しい措置を周知・啓発するなど、現行でできる対策を強化していく。
浅井委員 システム改修には期待しているが、それまでの間も1団体が大人数で抽選を申し込む背景や理由を洗い出してほしい。また、体育館の増設についてもあわせて検討してほしい。
7.大規模アーバンスポーツ誘致における本市魅力発信について
浅井委員 スケートボードやBMXなどのアーバンスポーツは世界的に注目されており、神戸市にも有望な選手が多い。X Gamesのような国際大会は若者文化との親和性も高く、都市の魅力発信につながるため、神戸へ誘致してはどうか。
文化スポーツ局 アーバンスポーツの国際大会は発信力が高く、若者を引きつけることで一定の経済効果が期待できる。一方で、開催自治体には相当な行政負担が伴うことも把握している。そのため、開催意義や経費、人的負担、経済効果など多角的な観点からの検討が必要である。いずれにせよ、スポーツを通じた魅力発信や若者に選ばれるまちづくりは引き続き進めていく。
浅井委員 経済観光局などと連携して検討を進めてほしい。
浅井委員 また要望として、灘図書館の老朽化が進んでいるため、利便性を維持しつつ利用ニーズの変化に対応した「過ごす図書館」へのリニューアルについて、検討や研究を始めてほしい。
8.「ジャズ」振興について
浅井委員 神戸はジャズ発祥の地だが、演奏者やファンの高齢化が進み若者には敷居が高い。日常で触れる機会を増やすため、主要駅や市バス、地下鉄、神戸空港などでBGMや駅の発着メロディーにジャズを活用し、まちの演出につなげてはどうか。
文化スポーツ局 公共空間でのジャズBGMは有効な手段だが、駅などでの継続的な実施には案内放送や障害者への配慮といった事業者との調整が必要である。今後は単に流すだけでなく、デジタルサイネージ等で楽曲やイベント情報を視覚的にも発信し、生の演奏へ足を運ぶきっかけになるよう取り組みたい。
浅井委員 市が所管する市バスや地下鉄であれば、発着メロディーを切り替えるなどの対応は可能ではないか。
文化スポーツ局 交通局とは既に連携事業の実績があるため、費用面などの課題も含めて具体的に何ができるか引き続き協議していきたい。
浅井委員 「神戸ジャズストリート」などのイベントにおいて、観客が参加できる飛び入りセッションやフラッシュモブのような仕掛けを取り入れてはどうか。
文化スポーツ局 裾野を広げる手段として有効だが、当イベントはチケット収入が主財源であり、安全動線の確保や警備費用の増加といった課題もある。実現に向けて実行委員会と相談・検討していきたい。
浅井委員 イベント期間中に市内の飲食店やカフェ等と連携し、誰でも気軽に演奏できる「街角ジャズ拠点」を広げてはどうか。
文化スポーツ局 ナイトタイムエコノミーとの親和性は高いが、店舗への負担も考慮する必要がある。まずは市内のジャズバーなどの情報を一元化して発信し、経済観光局とも連携しながらにぎわい創出の手法を検討していく。
浅井委員 単なるイベントで終わらせず文化の発展として広めてほしい。また要望として、小・中学校におけるジャズを通じた文化教育についても、管弦楽団等と連携して検討してほしい。


