2月26日に開催された予算特別委員会第2分科会(福祉局)において、自由民主党神戸市会議員団を代表し、山口委員が質疑しました。
冒頭、来月から開催されるミラノ・コルティナパラリンピックに出場する神戸ゆかりの選手たちへエールを送るとともに、令和8年度福祉局予算案に盛り込まれた「医療的ケア児者や介護者への支援」の創設や、「障害者の就労支援」の拡充など、当会派が要望してきた施策が前進した点を評価しました。
その上で、福祉行政が直面する重要課題について、以下の4つのテーマで質疑を行いました。

■ テーマ1:西区児童虐待死事件の背景を踏まえた福祉行政のあり方について
【質疑:山口委員】
令和5年6月に西区で発生した痛ましい児童虐待死事件について、検証委員会の報告書も踏まえ、生活保護など福祉行政の最前線で関わってきた本市の責任と今後の取り組みのあり方について、局長の見解を伺います。
【当局答弁:八乙女福祉局長】
事件の発生を重く受け止めております。検証委員会の報告書にある通り、リスクアセスメントの不足や関係機関との情報共有の課題が指摘されました。今後は、職員のスキルアップや組織的な支援力の向上、こども家庭局など関係機関との連携をさらに強化し、地域福祉の重層的なネットワークを通じて、再発防止に全力で取り組んでまいります。
【再質疑:山口委員】
生活保護世帯においては、ケースワーカーが定期的に家庭訪問を行い状況を把握しています。特にこどもがいる世帯について、ヤングケアラーや虐待の早期発見など、よりきめ細やかな状況把握と関係機関への確実な情報提供が不可欠だと考えますが、どのような対応をされていますか。
【当局答弁:奥谷副局長】
こどもがいる保護世帯への支援は極めて重要です。今年度から、ケースワーカーが把握する0歳から18歳までの全児童を対象に、家庭内での養育状況の確認を開始しました。ヤングケアラーが疑われる場合や支援が必要と判断した場合は、速やかにこども家庭センターや地域の要保護児童対策地域協議会(要対協)等と情報共有し、適切な支援につなぐ体制を強化しています。
■ テーマ2:保護世帯の自立に向けた支援や関わり方について
【質疑:山口委員】
生活保護世帯への支援について、ハローワーク等と連携した「経済的な自立」への支援はもちろんですが、高齢や障害などで就労が困難な方に対する、孤立防止や地域とのつながりを通じた「社会的な自立」に向けた支援も重要です。今後の支援の方向性について伺います。
【当局答弁:奥谷副局長】
ご指摘の通り、自立には「経済的自立」「日常生活の自立」「社会生活の自立」の3つの側面があります。就労が困難な方に対しては、生活困窮者自立支援制度の窓口など多様な支援機関と連携し、地域活動への参加や居場所づくりなど、社会的なつながりを維持・回復するための支援に注力してまいります。
【再質疑:山口委員】
一つの世帯が「8050問題」や「ひきこもり」、「ヤングケアラー」など複数の課題を抱えているケースも多く、ケースワーカー単独での対応には限界があります。専門機関やNPO等との連携、局横断的な対応についてどう進めていきますか。
【当局答弁:奥谷副局長】
複合的な課題を抱える世帯には、ケースワーカー個人のスキルアップに加え、組織としての対応力と庁内外の連携が不可欠です。福祉局内にとどまらず、関係機関やNPO等の民間支援団体とも緊密に連携し、世帯全体を包括的にサポートする体制の構築を進めていきます。

■ テーマ3:宿泊・温浴施設「なでしこの湯」(保養センターたいさんじ等)の今後について
【質疑:山口委員】
神戸市民福祉振興協会が所有し、民間事業者が運営している「保養センターたいさんじ」及び「ラジウム温泉たいさんじ(なでしこの湯)」について、来月末で契約が満了すると聞いています。施設の老朽化も進む中、サウンディング型市場調査を実施したとのことですが、今後の見通しや検討状況はどうなっていますか。
【当局答弁:小園副局長】
両施設は昭和50年代から60年代にかけて建設され、著しく老朽化が進んでおり、大規模修繕が必要な状態です。さらにコロナ禍による利用者減少もあり、民間事業者へのサウンディング調査の結果、現状のまま事業を継続することは極めて困難との結論に至りました。施設としての役割は終えつつあると認識しております。
【再質疑:山口委員】
地域の方々や長年の利用者からは、施設の存続を望む声や「これからどうなるのか」という不安の声が寄せられています。今後の対応や跡地の活用について、地域住民へ丁寧な説明をすべきと考えますが、いかがですか。
【当局答弁:小園副局長】
地域や利用者の皆様にご心配をおかけしていることは承知しております。まずは協会のホームページ等を通じて現状や今後の見通しについて情報を発信します。跡地活用を含めた今後の対応については庁内で検討を進め、地域の皆様に対しても適切なタイミングで丁寧な説明を行ってまいります。
■ テーマ4:災害時要援護者支援について
【質疑:山口委員】
災害時に自力での避難が困難な高齢者や障害者など「要援護者」の支援について伺います。個別避難計画の作成が進められていますが、計画を作っただけで終わらせず、実効性のある体制を構築する必要があります。現在の取り組みと今後の方向性についてお聞かせください。
【当局答弁:八乙女福祉局長】
災害対策基本法に基づき、避難行動要支援者名簿および個別避難計画の作成を進めています。計画の作成にあたっては、日頃から対象者と関わりのあるケアマネジャーや相談支援専門員などの福祉専門職の協力を得て、実態に即した計画づくりを推進しています。
【再質疑:山口委員】
個別避難計画を作成しても、実際に災害が起きたときに「誰が助けに行くのか(避難支援者)」が確保されていなければ意味がありません。地域団体とのマッチングや、地域ごとの支援力の差といった課題に対し、令和8年度予算案(2,090万円)で計上されている有識者検討会を通じて、どのような仕組みづくりを目指すのでしょうか。
【当局答弁:八乙女福祉局長】
計画の実効性を高めるためには、避難を支援してくださる地域の方々とのマッチングが最大の課題です。福祉専門職への計画作成報酬の支給等による支援を継続しつつ、令和8年度は新たに有識者や実務者による検討会を立ち上げます。この検討会で、地域の防災組織との連携のあり方や、実効性の高い避難支援体制の具体的な方策について、早急に仕組みづくりを進めてまいります。
【結び】
市民の皆様の命と暮らしを守るため、また複雑化する福祉課題に対応するためには、行政の縦割りを排した連携と、地域や民間との協働が不可欠です。自由民主党神戸市会議員団は、今後も誰もが安心して暮らせる神戸の実現に向け、しっかりと議論と提言を重ねてまいります。


