熊本地震における応急給水活動の支援状況、災害時の応援・受援の指揮調整体制、工業用水道事業経営戦略と料金改定の検討状況、上ヶ原浄水場の工業用水施設における民間ノウハウの活用、および小・中学生向け体験型ツアーの拡充について見解を求めました。この内容について、当会派のうえなか美貴子委員が質疑をおこないました。

1.熊本地震での対応について
うえなか委員 熊本地震の被災者へ心からお見舞いを申し上げる。酷暑の中で水の重要性が再認識される中、神戸市水道局は発災翌日に迅速に応急給水活動を開始し、八代市や氷川町を中心に約1か月にわたり支援を行った。現地へいち早く派遣された課長から、現場での支援活動についての生の声を聞きたい。
水道局 支援概要を説明する。熊本地震では最大10万8,000戸が断水した。日本水道協会の要請を受け、職員6名と給水車1台を派遣し、八代生活環境事務組合の管轄エリアで応急給水や給水車の配置・差配を実施した。断水解消が進んだため、8月26日に第4次隊の活動をもって終了した。詳細な活動状況は中井課長から説明する。
水道局 第1次隊長としての経験から3点報告する。第1に、八代生活環境事務組合が復旧に注力できるよう、阪神・淡路大震災の経験への信頼を背景に、神戸市側が応援給水の差配を引き受けた。度重なる要請や補給場所の変更など状況の変化への対応に苦心した。第2に、導水管破損によりエリア内に補給場所がなく、熊本市や八代市の水源まで補給に向かう必要があり、道路渋滞もあって苦慮した。第3に、最高気温39度という酷暑下で12時間の給水活動となったため、日よけターフの設置、那覇市とのシフト調整、交代休憩などの熱中症対策を徹底し、体調不良者を一人も出さずに任務を全うした。この経験を今後の災害支援や受援に継承していきたい。
うえなか委員 過酷な現場での迅速な対応に感謝する。今後も支援体制を強化するとともに、被災者に寄り添う心の通った声がけも期待したい。次に、受援の視点から質問する。被災自治体自身が甚大な被害を受けて指示や調整が困難な場合、全体を誰が調整するのか、日本水道協会の指揮調整体制について説明を求めたい。また、神戸市が被災して指揮調整ができなくなった場合の体制はどうなっているか。
水道局 大規模災害時は、日本水道協会の本部・地方支部・県支部が中心となって応援活動を調整・実施する枠組みがある。熊本地震でもこの仕組みにより、熊本市・福岡市を経由して全国から応援隊が編成された。神戸市が被災した場合もこれが基本となるが、加えて「19大都市間相互応援協定」を締結している。神戸市が差配不能となった際は、応援幹事都市として大阪市が、大阪市も被災した場合は新潟市が代行して応援都市の差配を担う体制となっている。さらに千葉県企業局との協定、日頃の合同訓練、応援事業体向けマニュアルの周知などを通じ、円滑に支援を受けられる体制を構築している。
うえなか委員 仕組みが整っていることを確認でき安心した。神戸市が支援する側・される側のどちらになっても迅速かつ円滑に対応できるよう、今後も応援・受援体制の強化につなげてほしい。
2.工業用水道事業経営戦略について
うえなか委員 経営戦略の改定により、施設の更新や維持管理費の増加から最短で令和10年度には資金残高がマイナスに転じる見通しであり、今後は厳しい財政状況が見込まれる。料金改定を視野に受水企業との意見交換が開始され、企業側から改定時期・改定率の早期提示や減量制度の見直しなどの要望が出ている中、現時点での議論の状況と今後の検討方針を尋ねる。
水道局 大口受水企業11社12工場と商工会議所で構成する検討会を設置し、議論を進めている。企業側からは契約水量の減量容認や公平性確保などの意見のほか、使用水量に応じた変動料金制度の導入要望が出ており、その導入も検討している。受水企業への影響や負担の公平性に配慮しつつ、他都市事例等も参考にしながら、今年度中に料金水準や制度について一定の方向性を定める方針である。
うえなか委員 納得できる料金制度の策定を要望する。上ヶ原浄水場の上水道ではPFIによる民間委託が進む一方、同施設内の工業用水は現在も直営で管理されている。厳しい経営状況の中、安定供給を前提に民間ノウハウを活用した効率的な運営を図る余地があると考え、近隣自治体の先行事例も踏まえ、民間活用の検討状況を尋ねる。
水道局 浄水場の運転管理を民間委託している西宮市、宝塚市、加古川市等へ聞き取り調査を行い、課題等を整理した上で委託に向けた検討を進めている。来年4月からの段階的な委託開始を目指し、初期段階では委託業者を現場に配置してマニュアル整備や業務習熟を図った後、段階的に運転管理へ移行することで円滑な導入を図る方針である。
うえなか委員 民間活用に向けた具体的な検討状況を確認した。豊富で低廉な水の持続的・効率的な安定供給という基本理念のもと、民間ノウハウを生かした効率化を進め、将来にわたり信頼される事業となるよう経営基盤の強化を求める。
3.体験型(裏側体験ツアー)広報の充実・拡充について
うえなか委員 小・中学生向けの水道局裏側体験ツアーは定員超過が出るほど好評だが、落選者も多くいる。見学自体は広く受け入れ、人数が限られる実体験のみを抽選にするなど、より多くの子どもが参加できる工夫を提案したい。参加者の反響を踏まえ、次回に向けてどのような工夫を考えているか。
水道局 参加者アンケートでは約98.4%が好評と回答しており満足度は高い。新たなプログラムとして、尼崎浄水場や民間企業と連携した水道管製造工場の見学ツアーなどを予定している。また、提案を踏まえ、ツアーの様子をウェブ配信するなど新たな情報発信の手法も検討していく。
うえなか委員 子どもたちが水道の大切さや支える仕事に関心を持ち、将来の技術職員などの人材確保につながることを期待する。今後もツアーの取り組みをさらに充実させるとともに、広報面の拡充も進めてほしい。



