令和8年9月25日 決算特別委員会第1分科会(企画調整局)【村上立真委員による質疑】

総合基本計画の実現に向けた市民への周知、神戸市外国語大学の在り方検討、神戸医療産業都市の推進、行政手続のフロントヤード・バックヤード改革、データによる業務マネジメント、首都圏でのネットワーク構築、戦略的広報の推進について。この内容について、当会派の村上立真委員が質疑をおこないました。

1. 総合基本計画実現に向けた市民への周知について

【意見】村上委員 本年4月より施行されました第6次神戸市基本計画-2035年の神戸-では、10年後の神戸のありたい姿実現に向けた方向性が市民にも分かりやすく示されております。総合基本計画の策定過程において、これまでの計画とは大きく異なり、ワークショップなどを通じて数多くの市民、関係者等の意見に耳を傾けており、まさに共に描いた計画と言えるのではないかと思います。また、内容だけでなくてその策定過程についても評価をしております。 この機会に改めて第6次の神戸市基本計画と第5次計画を比較してみました。第5次計画では、まず課題があって、それに対応する行政分野、例えば経済であるとか、安全であるとかをある種縦割りで示していく構造であったのに対しまして、第6次計画では、まず理想の姿を描いて、そこにたどり着くための政策を逆算していく構造になっており、構成的にもできるだけ行政の論理で縦割りにならないような、横串を刺そうという意図が見えました。 また、策定過程についても、第5次の場合は従来型の策定過程で、市や有識者で議論をして素案をつくって、それを市民の皆様にお示しして、パブコメをもらって修正していくという、あくまで行政の計画という感じだったのですが、今回は市民意見からスタートしています。まさに行政に市民が参画するというのではなくて、市民が主体であるということを策定過程からも示したものになったと思います。

【質疑】村上委員 そういった意味でも、今後より多くの市民に総合基本計画の理解を促し、市民とともに計画の実現をしていくためには、一過性の広報にせず具体的な行動につなげていく周知・浸透が不可欠であると考えますが、見解を求めました。

【答弁】山本企画調整局副局長 一方的な計画の周知を行うだけではなくて、職員が学校や地域団体、あるいは企業等に出向きまして、神戸市の歴史やまちの成り立ちなんかも踏まえながら、総合基本計画の内容を紹介した上で、2035年の神戸の実現に向けて、神戸のために何ができますでしょうかということを考えるワークショップを実施して、4月から現在までの約半年間で既に74回開催をして約5,000人の方に御参加をいただきました。 また、次世代を担う若い世代に計画を知っていただきたいということを目指して、教育委員会と連携をして、約4万人の児童・生徒が学習用端末を用いて基本計画の動画をまず視聴をしていただいて、自分たちに何ができるかということを考える取組を行ったほか、基本構想の内容等を小学校3・4年生が用いる副読本「わたしたちの神戸」に掲載をして教材としても使用してもらっております。 こうした取組を進める中で、複数の学校では、ワークショップと探究学習を組み合わせていただき、神戸の未来のためにできることを考え、実践し、成果をまとめて発表するという取組が行われています。また、ワークショップの参加者から具体的に行動に移してみたいという御意見もいただいたため、地域貢献相談窓口の御案内をするようにしたところ、現時点で約60名の方が新たに地域貢献相談窓口とつながったという実績も出ております。今後も市政参画のきっかけづくりと主体的な行動につながる取組をさらに進めてまいります。

【意見】村上委員 今のところ意図した動きが出てきている部分は評価できると考えております。その一方で、基本構想のありたい姿を見てみると、「ゆとりある上質な時間が流れる」とか「温かなもてなしの心があふれる」、「笑顔があふれ、まちの温かみが安らぎをもたらす」、「次世代への安心を生み出す」など、非常にすばらしい言葉が並んでいます。 方向性を見ますと、「新たな時代の国際都市へ」、「日常と非日常が交わり続ける都市へ」、「いつでも幸せを感じ、分かち合える都市へ」という方向性が掲げられているわけで、市民の皆様のお声を基にしているので当然といえば当然ですが、ほとんどの方が「そうだよね」と思うようなことであり、ある意味では総花的なのかなと第5次と比較して考えています。批判しているわけではなくて、だからこそ具体的なアクションを規定するビジョンがより重要になっていると考えています。 そういった意味で非常に問題意識を感じていたのが、神戸2025ビジョンにおいては、KPIで非常に多くの指標が設定されていましたが、それぞれのKPIがどのような意図で設定されたのかがいまいち分からなかったり、あるいは市民の努力で達成できるのか、外部要因のほうが大きいのではないかというものも一部に見られ、進捗状況や達成状況を決算の資料などでただ単に羅列して確認しているだけではないかという印象もありました。

【質疑】村上委員 新たに策定された神戸2030ビジョンにおいては、以前と比較してKPIは相当絞り込んでいるように見えますけれども、策定過程での検討や議論を経て、どのような考え方、意図を持って2030ビジョンのKPIを設定されたのか質問しました。

【答弁】山本企画調整局副局長 以前の神戸2025ビジョンにおいては100を超えるKPIを設定しており、有識者会議でも上位計画とのつながりが見えにくい、KPIの粒度にばらつきがあるなどの御指摘をいただいたのも事実です。これを踏まえ、神戸2030ビジョンの策定に当たりましては、上位計画である基本構想と基本計画との整合性を確保しつつ、市民の皆さんや職員にとっても分かりやすい計画にすることを重視し、3つの方向性に沿って基本政策と主な施策とKPIを体系的に整理した構成といたしました。 特にKPIにつきましては、上位の基本計画に掲げているKGI(重要目標指標)の達成に向けた進捗を適切に把握するため、行政に関連する様々な指標の中から、まずはKGIの達成につながるかどうか、毎年数値が把握できるかどうか、加えて市の施策によって改善が期待できる指標なのかどうかという観点を踏まえて、各局あるいは有識者の先生方と議論を重ねて選定をしました。加えて、国が活用を推奨しておりますウェルビーイング指標も活用することで、本市独自のKPIを設定していない分野も含めて幅広い政策分野の状況を把握できる構成としております。今後はこれらKPIの進捗状況を適切に把握しながら、PDCAサイクルの実践により着実に施策を展開してまいります。

【要望】村上委員 2025ビジョンのKPIのなかには途中で追いかけることを諦めたような数値もありました。せっかくKPIをある程度絞り込んだわけですから、しっかりと達成状況をモニタリングして施策に反映していく仕組みをよりブラッシュアップしていただき、KPIを達成し、KGIを達成するという形で、基本構想・基本計画にある神戸市の姿を達成できるように御努力いただくよう要望しました。

2. 神戸市外国語大学の在り方検討について

【意見】村上委員 今後の急速な18歳人口の減少が見込まれる中、本年2月の中央教育審議会の答申、いわゆる知の総和答申以降、高等教育機関を巡る議論は加速化するとともに、骨太の方針2026におきましても理系重視の方向性が改めて示されており、高等教育機関を取り巻く環境は大きく変化をいたしております。こうした状況を踏まえて、令和7年度には附属機関「神戸市外国語大学の今後のあり方検討委員会」を設置するなど本格的な在り方検討が進められております。

【質疑】村上委員 神戸市外国語大学の在り方検討に至った神戸市としての課題認識を改めてお伺いしたいのと、あわせて、現在の附属機関あり方検討会の議論の進捗について質問しました。

【答弁】西尾企画調整局長 18歳人口の減少という問題に加えまして、市内及び近隣におけるグローバル教育の充実、語学スキルの取得手段の多様化、さらにはAIによる多言語翻訳技術の高度化など、加速度的に変容をしている状況にあります。加えまして、外国語学部のみの単科大学であるという特徴から、18歳人口の減少や、国における理系重視の教育施策の展開などの影響を大きく受けることを懸念しております。このような状況の中で、公立大学に求められる役割を将来にわたって発揮し得るのか課題認識があり、公立大学としての意義や役割、今後の在り方を改めて検証する必要があると判断して検討会を設置しました。 委員会での議論としましては、外大のヒアリングに加え、地元経済団体や市内高校のインタビュー調査を実施し、第3回の委員会では、教育研究成果の地域還元の制約、大学の独自性の低下、将来的な持続可能性への懸念、ガバナンス面での課題が指摘されました。その上で、現行の教育研究体制を前提とした場合、将来にわたる公立大学としての意義との適合性は認め難く、抜本的な見直しが必要であるとの意見も示されました。各方策のメリット・デメリット、市政への影響を踏まえながら議論が進められており、次回11月開催予定の第4回の委員会において答申案の確認を行い、年内を目途に答申をいただく予定です。

【意見】村上委員 本年の6月に総務財政委員会で神戸市外国語大学の実地視察をさせていただきました。取り巻く環境の変化があるにもかかわらず、その危機感が神戸市や我々と乖離している印象をはっきり言って受けました。特に大学として求められる地域貢献の役割について質問した際にも、通訳ボランティアの取組をやっていますよとか、神戸マラソンのボランティアとか、他の私立も含めた大学でもやっておられるような取組ばかりでした。もちろん外大の学生さんや一部の教員が非常に熱心に積極的な活動をされていることは承知している一方で、それはあくまでその方たちが熱心なだけで、大学としての地域貢献の取組姿勢には疑問を感じざるを得ません。市立大学として、設置者である神戸市との連携に取り組みやすい環境にもかかわらず現状の地域貢献の取組が極めて限定的であります。

【質疑】村上委員 今後の在り方検討のいかんにかかわらず、現在の地域貢献の取組、連携の取組について大学側に求めていくべきと考えますが、見解を求めました。

【答弁】西尾企画調整局長 公立大学においては、地域の多様なステークホルダーとの連携を強化し、教育研究成果を地域に還元していくことが強く求められていると認識しております。検討委員会においても、市が公立大学を設置する意義である地域との連携や教育研究成果の地域還元の可能性を中心的な視点の1つとして位置づけ議論いただいております。その中で、大学の教育方針(ポリシー)に地域貢献の役割を反映していく姿勢が示されていないことや、教員評価制度が未整備であるなどガバナンス上の問題、教員が地域貢献に主体的に取り組む仕組みの不備などが課題として示されました。これらのことから、地域貢献に対する取組については意識の高い学生の自主的な活動に期待する部分が大きく、大学の主体性に疑問を持たざるを得ないとの厳しい御指摘もいただきました。神戸市としても、在り方検討の状況のいかんにかかわらず地域貢献の取組強化を求めていくことが必要であり、次回の第4回委員会において改善・強化すべき取組について検討する予定です。

【意見】村上委員 第3回のあり方検討会の議事録要旨を拝見しますと、最終的な到達点として、他大学との連携、学部再編、総合大学化、定員縮小、大学院特化、他大学への統合・廃止の7つが挙げられており、他大学との連携や学部再編などは選択肢として有力ではないと整理され、まず統合の可能性を検討し、それが実現しない場合には廃止を検討せざるを得ないと非常に厳しい意見でした。検討会の先生方のすばらしい議論は最大限尊重するとともに、あくまでそれは検討会の意見であると思っています。 検討会の中でも言及されていましたが、「神戸市のニーズを踏まえるべきではないか」とか、あるいは逆の考え方で「神戸市として失ってはならない機能って何なんですか」ということに言及されている委員の方がおられました。それをまず整理すべきではないかと思います。極論を言えば、単科の外国語大学であろうがなかろうが、特別の魅力があって定員が充足していて、神戸市民の皆さんが「外大は必要なんだ、税金投入してでも必要なんだ」と思っていただければそれでいいわけですから、そのためにも地域貢献はちゃんと進めていっていただかないといけません。 例えば神戸市は自治体外交に非常に積極的な国際都市ですから、連携すれば学生は本来他大学では経験できないような都市外交の現場を経験できたり、神戸市の立場からしてもそういう人材を柔軟に活用できるわけです。その学生さんや教員のおかげで神戸市の国際都市としての地位が確保されているのだと、そのためのコストは負担しても惜しくないと市民の皆さんが思っていただけるならそれでいいわけです。

【要望】村上委員 だからこそ市の当局の皆様におかれましても、委員から言及のあった「失ってはならない機能とは何なのか」ということや、市のニーズとして今できていないことも含めて「こんなことやってくれたらいいのに」ということが何があるのかをいま一度整理をお願いしたいと要望しました。市内への人材供給以外にもないのかということも含めて考えていただきたいと指摘しました。

3. 神戸医療産業都市の推進について

【意見】村上委員 地方から日本を成長軌道に押し上げて、強い地域経済を構築するために、本年7月に地域未来戦略が閣議決定をされました。その中で、17の成長戦略分野につきましては、企業の大規模投資を起点にインフラ整備、産業人材の育成をはじめとする事業環境の整備を国が積極的に支援をすることで、産業クラスターの形成を戦略的に図る計画が定められました。国が策定する医療産業クラスター計画において、神戸医療産業都市は、バイオ・先端医療の核となる拠点の1つに選定されております。

【質疑】村上委員 計画に対してどのように受け止めているのか、また、バイオ・ライフサイエンスのクラスター形成をさらに推し進めていくために市の役割をどのように考えているのか質問しました。

【答弁】森企画調整局局長 構想開始から28年が経ち、技術革新や社会構造の変化が加速する中で、今、転換の時期を迎えていると認識しております。国の戦略産業クラスター計画において、産業競争力強化に向けた重要な役割を担う拠点であると明確に位置づけられたことは、産業化を加速させる上で非常に重要な後押しになります。具体的にはバイオものづくり、バイオ医薬品、再生医療等製品、革新的デバイスの分野を中心に強みを発展させ、近畿地域に官民投資を呼び込んで地域の競争力強化を実現する責務を負っていると受け止めています。 私どもの役割としては、大規模な投資を呼び込むとともに、単に企業や研究機関を集積するだけでなく、それらの活発な交流と連携を促進し、新たな製品やサービスの創出につなげ、エリアを越えて人や企業・情報が往還する環境を形成することであると考えております。現在、市や理化学研究所、民間ラボビル事業者等による連携協定や、神戸大学を中心とした産学連携の取組への支援など、関係機関との連携強化に取り組み始めており、これを加速させて世界と戦えるクラスター形成と地域経済の競争力強化を目指してまいります。

【意見】村上委員 現在、ポートアイランドの2期内におきまして、大和ハウス工業、三菱商事都市開発によるラボビルの建設が進行するなど、民間ディベロッパーの投資意欲が大変旺盛でありまして、スタートアップ企業等からのラボの需要が高いことが伺えます。

【質疑】村上委員 これらのラボビルをはじめとした民間企業を核といたしまして、民間事業者が保有するノウハウやリソースの活用を通じて、企業やアカデミアの交流・連携をより推進促進し、エコシステムを形成していくことが、神戸医療産業都市のさらなる発展と地域経済に大きな波及効果をもたらすと考えますが、見解を求めました。

【答弁】森企画調整局局長 民間企業を核としたエコシステムの形成は、さらなる発展に極めて重要であると認識しております。新たに大和ハウス工業と三菱商事グループの施設が完成間近、あるいは着実に工事が進んでいます。三井不動産による東京日本橋や千葉柏の葉、大和ハウス工業の川崎殿町、三菱商事グループの湘南などの事例に共通するのは、単に研究スペースを供給するだけでなく、イベントや交流の場の創出などソフト面の活動を充実させることで活発なコミュニティを形成している点です。これにより施設の価値が向上し、新たな投資を生むエコシステムが機能しています。 神戸においても、まずは民間ラボビルのオーナーによる創意工夫を凝らしたコミュニティ形成が進むことを期待しており、それらの活動が建物だけに終始するのではなく、周辺の企業や大学、研究機関へ波及するよう、神戸市としても交流・連携の機会創出に取り組み、地域経済への波及効果の拡大につなげてまいります。

【意見】村上委員 本年の予算特別委員会局別審査におきまして、我が会派のうえはた議員から、民間投資が活発となるフェーズに入っており、民間によるエリアマネジメントを本格的に検討・導入すべきであるという質疑をしたところ、ラボビルの効率的な管理運営や実効性のある起業支援の在り方も含めて、適切なエリアマネジメントの具体的な手法について調査を実施し、官民の適切な役割分担の下、業務の再構築を図っていくという旨の答弁がありました。

【再質疑】村上委員 この間の調査を踏まえて、多様化する企業ニーズに対応するために今後のエリアマネジメントの方向性をどのようにお考えになるのか。また、特に実効性のある企業支援につきましては民間活力を積極的に活用すべきと考えますが、見解を求めました。

【答弁】森企画調整局局長 2025年度に調査を実施した結果、首都圏や関西圏でレンタルラボ事業が拡大し民間事業者による整備が活発化していること、企業ニーズが多様化する中で現在の外郭団体を中心とした体制だけでは対応に限界がある一方で、民間事業者のノウハウやネットワークを活用することでより効果的な企業支援が期待できることを確認しました。また、民間事業者からは既存のレンタルラボも投資対象となる可能性が高いとの関心も確認しました。 これを踏まえ、具体的な手法について検討を進めています。起業支援に関しては、進出企業との日常的なコミュニケーションを通じて的確にニーズを把握し、より能動的な支援につなげるとともに、コミュニティ形成を一層強化していくことが重要であるという方向性が示されました。今後は、市が政策立案や関係機関との調整を行った上で、外郭団体の役割や体制を見直すなど官民の適切な役割分担を図り、民間事業者の知見・資源を積極的に活用していくことで持続的かつ実効性のある発展を実現してまいります。

【要望】村上委員 医療産業都市がある程度うまく回り始め、民間主導で一定自走し始める段階に来たと思っており、これは長年神戸市が形成に取り組んできた間違いない成果です。だからこそ、ここから神戸市は何をするのか、市の役割は何なのかが重要です。インフラや人材育成については国が支援してくれますが、それ以外は何ができるのか、何が必要なのかという点について、今後考えを深めていっていただきたいと要望しました。

4. フロントヤード・バックヤード改革の検証・成果について

【意見】村上委員 人口減少によりまして限られた人的資源を有効に活用していくため、各自治体におきましても行政手続の効率化は喫緊の課題であります。総務省の自治体フロントヤード改革モデルプロジェクトを見ますと、申請等関係事務処理法人の検討など各都市で様々な検討がされていますが、神戸市では、単なる事務の集約化や担い手の負担軽減から職員の業務プロセスの効率化までを一気通貫で最適化・効率化を行おうとするもので、非常に先進的な取組であると評価をしております。

【質疑】村上委員 総務省の自治体フロントヤード改革モデルプロジェクトに採択され、令和7年度は取組の有効性の検証を行ったと伺っておりますが、検証の成果について質問しました。

【答弁】𠮷岡企画調整局デジタル戦略部長 電子申請の拡大により、デジタルとアナログの処理が混在し職員のバックヤードの事務負担増加が顕在化していました。これを受け、フロントヤードの利便性向上とバックヤード業務の効率化を一体とし、一気通貫で効率化を目指す取組を始めました。昨年度は国費を活用し、申請受付工程において、e-KOBEへの自動入力機能追加、窓口でのタブレット電子申請、AI-OCRを活用した紙申請のデータ化実証を行いました。また、審査・交付工程では、基幹系データを活用した自動審査、RPAによる業務システムへの自動入力、電子交付の検証を実施しました。 結果として、デジタルインで統一した申請データを活用しバックヤードの業務システムへの自動入力を実現することが有効であると確認し、今年度から先行導入を始めています。一方で、添付書類を含めた審査の自動化が昨年の時点ではできないことや、標準化前のシステムからのデータ抽出コストなどの制約があったため、審査の自動化や電子交付は効果が限定的と判断し、継続検討としています。非常に革新的と他都市からも注目いただいており、具体的な成果を上げられるモデルを確立してまいります。

【意見】村上委員 補助事業ではなく委託事業だったため、神戸市としてコストとメリットを比較検証されている点をお伺いしました。総務省のモデルプロジェクトは、窓口の民間委託の行き詰まりと、デジタル化の流れの滞り(紙が電子に置き換わっただけで仕事が減らないこと)から出た流れだと解釈しています。電子化のその先を進めようとしているのが神戸市のプロジェクトです。民間サービスでは当たり前にされていることが行政サービスでは遅れていると言わざるを得ません。フロントヤード・バックヤード改革を着実かつ迅速に進めていただきたいと考えます。

【再質疑】村上委員 改革の効果を目に見える形とするため、業務量からいうとボリュームゾーンに着目した取組が必要と考えますが、令和8年度以降、具体的にどのような手続を対象に取組を進めて改革の果実を得ようとしているのか質問しました。

【答弁】𠮷岡企画調整局デジタル戦略部長 申請件数が年間3,000件以上の手続の中から選定を行っています。現状調査として、申請件数や対象者だけでなく、入力や審査の所要時間、確認項目、データ入力状況など多岐にわたる内容を詳細に調査しました。今年度はAI-OCRやRPAによる自動入力の導入を進めることから、特に受付や入力時間がボリュームゾーンとなっている手続を先行導入の対象として選定しています。また、類似業務への横展開が可能かといった観点からも手続の選定を行っています。 最大のボリュームゾーンである審査工程については、現在、基幹系システムのデータやAIを活用し、添付資料を含めた自動審査の仕組み確立に向けて引き続き検証を行っています。ボリュームゾーンを適切に捉えながら、加速的に取組を進めてまいります。

【要望】村上委員 紙から電子に置き換えることが改革ではなく、実際それで業務量が減って、人手や時間やお金をどう市民の皆さんに還元していくかが重要なポイントであると指摘し、引き続きの取組を要望しました。

5. データによる業務マネジメントについて

【意見】村上委員 神戸市のデータ利用の取組は全国的には先進的として評価されているものの、データから政策課題を見つけ出し、課題解決に資する政策を立案するというEBPMは一朝一夕で進むものではありません。一方で、データを可視化して業務改善や効率化を図っていく業務マネジメントという観点からは、職員の負担軽減にもつながるため、職員側からも比較的アプローチしやすい領域であると考えます。

【質疑】村上委員 これまでデータを活用した業務マネジメントという面からはどのようにアプローチを行い、どのような成果を上げられたのか質問しました。

【答弁】大漉企画調整局部長 税の滞納整理業務において、職員1人が約500人の滞納者を担当しており、個々の納付状況等を確認しながら全体の状況を把握することが難しい課題がありましたが、2023年からダッシュボードを導入し可視化しました。月3回自動更新されるため、担当者が全体の現状を把握して効果的な戦略にデータを活用できるようになり、上司も業務状況を把握して早い段階で助言や支援を行えるようになりました。これにより差押え件数の増加や事案に応じた適切な整理が進み、収納率も向上しています。 この知見を生かし、2025年からは国民健康保険料の滞納整理業務でもダッシュボードを活用しています。また、生活保護業務については、2025年に「生活保護業務見える化プロジェクト」を立ち上げ、各区の職員が課題を持ち寄り、ケースの概要把握や訪問マップなどのダッシュボードを作成し、2026年6月から全区への共有を開始しました。今後、自治体情報システムの標準化により基幹系システムから取得できるビッグデータを業務マネジメントに積極的に活用していくため各局と調整を進めており、データを使える人材を増やして全庁的に広げることでEBPMの推進につなげていきたいと考えています。
【意見】村上委員
御答弁ありがとうございました。大変よく分かりました。今回決算でこの質問をさせていただいたのは、広い意味でのEBPMですね、データの活用であるとか、それ以外では学術論文の調査なんかもありましたけれども、そういったものを含めると、ブロック全体ではそこそこの予算を割いているわけですが、なかなかやっぱり中のことなので、市民の方からは見えにくい部分があります。だから決算であえて質疑をさせていただきました。これからも関心を持ち続けたいと思います。

6. 首都圏でのネットワーク構築について

【意見】村上委員 人材・富・情報など様々なリソースが東京へ一極集中しており、国においては多極分散型社会の実現に向けた議論が行われております。制度の枠組みの議論には一定の期間を要しますが、その間にも首都圏のリソースを神戸に還元するため、神戸にゆかりのある方や、神戸の役に立ちたいという思いのある方々とのネットワークを構築していくことは、地道な活動ではありますが1つの有効な手立てです。

【質疑】村上委員 東京事務所において進めているコミュニティ形成の取組の成果など、取組の状況について質問しました。

【答弁】藤田企画調整局東京事務所長 2025年度より、神戸にゆかりのある方や関心のある方、応援して貢献したいという思いの方々のコミュニティの形成に取り組んでいます。施策やイベント情報を提供するだけでなく、定期的にメンバー同士の交流の場を開催し、継続的な関係づくりに取り組んでいます。交流の場には神戸市内企業の方々にも参加いただき、課題解決のためのアイデアを出し合う活動もしています。2025年度のイベントには延べ約300名の方が参加し、昨年9月に東京で開催した総合計画のワークショップにもメンバーが参加するなど市政への関与につながっています。また、メンバーから紹介いただいた企業から新たな接点が生まれた事例もあり、今後は市内高校や大学の首都圏同窓会等との連携も強化し、首都圏から神戸を支えていただける応援団の輪を広げてリソース還元につなげてまいります。

【意見】村上委員 令和7年度には約350の企業・団体が入居するCIC Tokyoへ東京事務所が移転し、企業とのネットワークづくりを進めやすい環境が整っています。

【再質疑】村上委員 首都圏企業との関係が寄附やふるさと納税などの一過性の関係にとどまることなく、市役所あるいは地元企業との協業を進めるなど、持続的に首都圏企業を取り込む活動を積極的に進め、首都圏のリソースを神戸へ還元していくべきと考えますが、見解を求めました。

【答弁】藤田企画調整局東京事務所長 昨年4月にCIC Tokyoに事務所を移転し、あわせてIT・AI分野や海外ビジネス交流に強みを持つ民間人材2名をアドバイザーとして委嘱してネットワーク拡大に取り組んでいます。日々企業との接点を持ち、ニーズや事業方針を把握した上で、協業や実証実験、起業、ふるさと納税などが見込まれる案件を神戸の関係部局や市内企業におつなぎしています。2025年度の個別面談件数は269件と大幅に増加しました。また、AIを用いたターゲット企業の選定のための実証実験をはじめ9件の協業・実証実験が実現し、企業4社から約2,460万円の企業版ふるさと納税の寄附が実現するなど成果も生まれています。持続的な関係性を作るため、面談した企業の情報をデータベース化して関係部局にも共有し、他の部局からもアクセスできる環境を設けています。

【要望】村上委員 私としては自身が東京に住んでいたころの都道府県各会館にあった頃の東京事務所のほうが思い出は深いですが、県・市協調や対国との関係のみならず、そこからさらに環境を広げてしっかりと市に還元していこうという動きだと思うので、これからも期待していると伝えました。

7. 戦略的広報の推進について

【意見】村上委員 神戸市の施策を市民に周知していくことは、施策効果を高めるために極めて重要な観点です。令和7年度の改正により、政策部門との連携により施策発信効果を高めるため広報戦略部が企画調整局に移管されました。組織編成から見ても神戸市の狙いは明らかだと思っています。戦略的広報として内容、目的やターゲットに応じて媒体を選定し広報に取り組んでいるとお聞きしております。

【質疑】村上委員 その効果をどのように評価されているのか。また、認知・理解、何より行動変容を促していくことが広報の目的であり、市民から寄せられる声などのデータを含めて効果を検証しながら、トライ・アンド・エラーを繰り返して広報効果を高めていくことが肝要と考えますが、どのように取り組まれているか質問しました。

【答弁】西尾企画調整局長 広く関心を持っていただきたい場合は広報紙やデジタルサイネージを活用し、一定の年齢層に届けたい場合はSNS広告を利用するなど、適切に媒体を選定しています。単に広報するだけでなく、発信後も市民の声やSNSの反応等を確認・検証し今後の広報に生かすことが重要です。「森の未来都市神戸」では広報紙で特集を組み、アンケートの結果、施策を認知していると回答した約7割のうち81.3%が広報紙をきっかけとされたため一定の効果が示されましたが、約3割の方が認知されていないため、デジタルサイネージや市バスラッピング、トップバナー等の発信を行い、9月より公式noteで連載を開始します。銭湯の利用促進では、若年層に向け8月よりYouTubeとInstagramでショート動画を配信し、Instagramで最大11万回を超える視聴が行われるなど効果の違いを把握しました。こうした検証を繰り返しながら効果的な発信に取り組んでまいります。

【意見】村上委員 各局でフォーラムやシンポジウムが積極的に行われており、これらは今や政策形成の一過程というふうにも言えます。

【再質疑】村上委員 こういったフォーラムやシンポジウムの広報にもぜひ司令塔として積極的に関わっていただきたいと思いますが、見解を求めました。

【答弁】長尾企画調整局広報戦略部長兼広報官 フォーラムやシンポジウムは市民の政策形成参画の観点からも重要であり、おでかけKOBEやSNS、広報紙での発信に加え、個々人の興味・関心に合わせた配信が可能なSNS広告を用いるなど発信を強化しています。神戸市基本計画の策定などについては、広報部門と政策部門が連携し「もっと話そう神戸のこと」という共通デザインの下で集約して発信し、多くの方々の参画につなげました。また、当日の内容をnoteを活用して参加者以外にもお伝えいただく取組もしています。参画の機会を市民の理解が広がるような広報につなげていくよう取り組んでまいります。

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