六甲アイランドの市有地活用や自動運転技術の社会実装、地域コミュニティ交通の支援制度、さらには阪神電鉄連続立体交差事業の成果と今後の展開など、本市のまちづくりと交通インフラの充実について幅広く議論しました。この内容について、当会派の大野陽平委員が質疑をおこないました。

1.新たな住宅供給と既存住宅ストックの循環
大野委員 現在進めている住宅供給施策については、単に新築を増やすだけでなく、郊外の高齢者の住み替えで空いた住まいを子育て世帯が引き継ぐような、住宅ストック全体の循環まで成果として捉えて取り組んでもらいたい。また、今後の市有地売却やまちづくりコンペにあたっては、財産を適正価格で売ることも必要だが、住宅価格が高騰する中で若年・ファミリー世帯が手頃な価格で取得できるよう配慮した売却方法を検討してほしい。
2.六甲アイランドの活性化
大野委員 六甲アイランドのアイランドセンター駅南西側にある市有地は、輸入車販売や市民農園などに暫定利用されているが、令和12年度(2030年度)にすべての定期借地契約が終了する。中心部に位置する貴重な土地であり、島内の賑わい創出に不可欠だ。昨年3月の一般質問で市長から一体的な土地活用を進めるとの答弁があったが、現在の検討状況はどうなっているか。
都市局 中心部に位置する極めて貴重な市有地であり、一体的な活用が重要だと認識している。現在、マリンパーク駅南側のAOIA跡地で集客施設の公募が進んでおり、その波及効果も生かしたいと考えている。当該市有地については民間事業者へのヒアリングを実施中であり、「社会情勢の変化や資材高騰で時期は見通しにくいが、住宅等の複合利用の可能性はある」「AOIA跡地の活用が具体化すれば検討しやすくなる」などの意見が出ている。民間との対話を基に、適切なタイミングを逃さず事業の具体化を検討していく。
大野委員 2030年の神戸空港国際化や2030年後半の湾岸道路西伸部への期待もあり、六甲アイランドのポテンシャルは市内で最も高いレベルにある。次に一体活用までの暫定利用について再質問する。市民農園は令和8年度末以降も利用継続と聞いているが、他の暫定利用地も来年度に契約期限を迎える区画がある。令和12年度以降の一体利用を見据えつつ、それまでの期間をどう活用していく考えか。
都市局 市民農園は継続を望む声が多く利用期間を延長することとした。他の暫定利用地については、2030年度までのおおむね3年間という限られた期間になるため、民間投資に見合う事業の誘致はハードルが高いと認識している。ただし、隣接するイベント広場との連携なども含め、サウンディングを通じて島全体の賑わい向上につながる暫定的な活用を検討していく。
大野委員 六甲アイランドのプロジェクションマッピングについて再質問する。事業効果を高めるには地域住民が身近に参加できる仕組みが重要だ。例えば地元の子供たちが作成したアニメーションを投影し、親子で参加できる機会を設ければ愛着醸成や来街促進につながると考えるが、見解を伺いたい。
都市局 これまでコンテストや制作講座の開催、地元イベントとの同日開催などを進めてきた。住民参加の視点は重要と認識しており、動画制作講座で地域の子どもたちの絵を用いた動画を投影するなど、子どもを巻き込んだ取組を検討したい。また、ナイトマルシェや美術館など島内施設・事業者との連携も強化し、親しみを持てる活用を進めていく。
大野委員 子どもが関わる企画は保護者の来街も促し賑わいに大きく貢献するため、ぜひ推進してほしい。要望として、芝生広場の芝生張り替えについて協議中と聞くが、費用がかかるとしても「芝生広場」の名に恥じないよう適切な対応をお願いしたい。
3.自動運転の実証実験
大野委員 灘五郷エリアで実施された自動運転の実証実験について、市としての評価と今後の展開に対する見解を尋ねる。
都市局 日産自動車と実施したレベル2の実証実験では、幹線道路や狭小道路での安全性や技術力を確認でき、走行データの取得や市民ニーズの把握が進んだ。一方、収益モデルや運行体制の確保が課題である。令和8年度も駅や酒蔵を結ぶルートで実証を重ねて令和9年度の実装を目指すとともに、将来的には住宅地の生活の足への横展開もスピード感を持って進めていく。
大野委員 私も試乗して安全性を実感したが、生活道路への展開に伴い地域住民の不安や社会受容性の向上が重要になる。実証段階から住民の理解を深めるためにどう取り組むのか。
都市局 自治会への事前説明や97人の試乗モニターを通じ、試乗によって不安が払拭され高評価が得られる傾向を確認した。実車への乗車が信頼向上につながるため、今年度も試乗機会を拡充するほか、他エリアでの電気自動車の試乗会なども実施して社会受容性を高めていく。
大野委員 試乗体験のさらなる拡充を要望する。また、他都市での無人タクシー計画などの動向を踏まえ、観光用途にとどまらず、コミュニティ交通の維持に向けて具体的な地域での展開を検討すべきではないか。
都市局 地域交通への展開は重要であり、灘五郷での技術は将来的にタクシー等へも適用可能である。まずは灘五郷エリアで運行管理体制や収益モデルを確立して令和9年度の実装を目指し、技術の進歩を注視しながら、具体的な適用地域の選定や事業性の検討を進めていく。
大野委員 灘五郷での令和9年度の実装を見据えつつ、地域交通への展開に向けた具体的な地域の選定と検討を着実に進めるよう求める。
4.地域コミュニティ交通
大野委員 東灘区のヘルマンバスなど市内各地で地域コミュニティ交通が運行されているが、交通不便地域においてはタクシーも有効な移動手段の一つになり得る。今後、導入を希望する地域が増えることを見据え、バスやデマンド交通だけでなくタクシーを活用した支援策も含め、需要や道路条件、運行コストなど地域の実情に応じた最も効率的・効果的な手段を選択できる支援制度を検討すべきだ。
都市局 現在もデマンド運行などでタクシーを活用しているが、運転士不足や人件費高騰による事業者確保の難しさが課題となっている。そのため、複数のタクシー事業者が連携し配車アプリでマッチングを行う「相乗りタクシー」を選択肢の一つとして検討している。アプリ開発などの課題はあるが、事業者不足の改善や運行経費・利用者負担の軽減が期待できる。今後もタクシー活用を含め、地域の実情を踏まえた最も効率的・効果的な手段を検討し、交通課題に対応していく。
5.阪神電鉄連続立体交差事業
大野委員 令和7年度に完了した阪神電鉄本線連続立体交差事業について、本市としてその成果をどう評価しているか。また今後は、高架下をはじめ創出された空間や環境変化をどのように活用し、地域や阪神電鉄とともに沿線のさらなる安全性向上や活性化、魅力向上につなげていく方針か。
都市局 成果としては、踏切除却や側道整備に伴う安全性・利便性の向上、市街地分断の解消と避難経路の確保、無電柱化による防災・景観向上、駅舎のバリアフリー化、高架下や駅前広場などの新空間創出などを評価している。地域との意見交換や通学路等の安全対策も含め、まちづくりに大きく寄与したと考えている。今後は、イベントの開催や沿線まちづくり協議会と連携した花壇・デジタルサイネージの整備などを通じてにぎわいや憩いの場を創出し、引き続き安全性向上や地域の活性化、魅力向上に取り組んでいく。



