水道インフラの根幹を支える監視制御システムのサイバーセキュリティ対策、工業用水道事業における持続可能な経営戦略と責任水量制のあり方、さらにはドローン等の先端技術導入による維持管理の高度化について、当会派の松本しゅうじ委員が質疑をおこないました。

1.水道施設のサイバーセキュリティ対策とリスク管理について
【質疑】 松本委員
水道は市民の命に直結する基幹インフラであり、サイバー攻撃等によって浄水場等の機能が停止し、長期間給水不能になれば市民生活は立ち行かなくなる。当局では浄水場の監視制御システムをインターネット環境から隔離していると聞くが、保守業者が持ち込む外部端末や職員が使用するUSBメモリ等を介した「物理的・人為的な経路」からのウイルス侵入リスクに対し、どのような具体的対策を講じているのか。
【答弁】 藤原 水道局長
監視制御システムは、外部ネットワークから完全に切り離された独立構成として安全を確保している。外部デバイスの接続に際しては、事前に専用端末によるウイルスチェックを徹底し、疑わしいデバイスは一切接続させない運用を厳格に行っている。また、本年2月には危機管理室主導でサイバー攻撃対処訓練を実施し、万が一のシステム停止時における部局間連携や広報体制を確認した。ハード面でも、今後は監視制御室の入退室管理にICカード認証を導入し、アクセス履歴を自動記録することで、内部不正も含めた物理的セキュリティを強化する。
【意見】 松本委員
当局の答弁では「一義的には安全」とのことだが、外部業者の端末や職員の不用意な行動など、最終的には「人」が最大のリスク要因となる。業務のアウトソーシングが拡大する中で、委託先も含めたチェック体制が形式的なものにならず、現場で本当に機能しているのか、不断の監視と厳格な運用継続が必要不可欠である。
2.管路情報管理システム(GIS)の更新と情報漏洩の防止
【質疑】 松本委員
管路の更新計画や災害対応に不可欠な「管路情報管理システム」の更新において、現場のモバイル端末から図面閲覧が可能になる機能が導入される。これは利便性が高まる一方で、水道管の配置や排水経路といったテロの標的になり得る機密情報が流出するリスクも高まる。紛失や不正アクセスに対し、どのような防御策を考えているのか。
【答弁】 伊賀 事務所長
なりすまし防止のため、ID・パスワードに加え多要素認証を導入する。端末紛失対策としては、一定時間操作がない場合に自動ログアウトする「タイムアウト機能」を実装する。また、外部からの攻撃を検知・遮断する仕組みや、データの分散バックアップにより、令和10年度の新システム稼働に向けて強固な情報保護体制を構築していく。
【意見】 松本委員
モバイル化やタイムアウト機能の導入は評価するが、一番怖いのはやはり「人」である。金銭的な誘惑などで内部情報が外部に漏れるような事件が他所でも起きている。職員の意識向上はもちろん、システム側でも情報の持ち出しを物理的に制限するなどの最新の知見を取り入れ、細心の注意を払うべきだ。
3.工業用水道事業の経営戦略と「責任水量制」への配慮
【質疑】 松本委員
工業用水道事業の経営戦略策定にあたり、ユーザー企業との検討会を重ねているが、企業側からはどのような要望が出されているのか。また、老朽化した導水管等の耐震化状況と投資の見通しを伺いたい。
【答弁】 坂田 水道局副局長
上位12社等の企業からは、コスト抑制のための「施設のダウンサイジング」や「水源の多角化」、「バックアップ機能の確保」といった安定供給とコストの両立を求める声が上がっている。
【再質疑】 松本委員
導水管の耐震化率が42%に留まっている点は懸念材料だ。今後の見通しは。
【答弁】 藤原 水道局長
導水管は幹線道路下に埋設されており更新には多額の費用と期間を要するため、今後5年間で詳細な投資計画を精査する。万が一の被災時には奥平野浄水場からのバックアップも可能であり、供給停止を最小限に抑える体制を整えている。
【要望】 松本委員
工業用水は神戸の経済を支える生命線だ。他都市との競争もあり、料金体系や「責任水量制(使わなくても料金が発生する仕組み)」の負担感は大きい。国際情勢等で操業調整を余儀なくされる企業に対し、国の一部補填等の支援を求めるなど、政令市の代表として国(経済産業省等)へ強く働きかけることを要望する。
4.ドローンを活用した設備点検の推進
【質疑】 松本委員
ドローンを活用した点検の導入実績と、将来的な活用の広がりについて伺いたい。操縦者の育成状況はどうか。
【答弁】 橋本部長
今年度は職員5名を操縦者登録し、高圧電気設備や配水タンク上部など、人の立ち入りが困難な高所の点検を開始した。来年度には操縦者を10名に増やし、災害時の被災状況把握や工事現場の進捗管理など、活用の幅を広げていきたい。
【意見】 松本委員
ドローン技術は日々進化している。点検だけでなく、例えば貯水池や海での水難事故の際に浮き輪を投下して人命救助を支援するといった、水道局の枠を超えた広範な活用も視野に入れて技術習得に励んでほしい。操縦者の質を高め、有事の際にも即座に対応できる体制を期待する。
自由民主党神戸市会議員団・無所属の会は、サイバー攻撃や自然災害といったあらゆるリスクから市民の「命の水」を守り抜くため、技術革新とセキュリティ強化の両輪で水道経営を支えてまいります。


