令和8年3月30日 外郭団体に関する特別委員会で河南議員、平井議員、上畠議員が質疑

外郭団体特別委員会において、神戸市室内管弦楽団の運営見直しと補助金打ち切り方針を巡る審議が行われました。他都市の楽団と比較して著しく低い演奏収入や、公金依存からの脱却に向けた財団の経営改善案の不十分さ、そして市民の納得を得るための「稼ぐ力」の強化やデジタル戦略の活用など、楽団が自立して存続するための抜本的な改革のあり方について、当局および財団を厳しく質しました。この内容について、当会派からは河南議員、平井議員、上畠議員が質疑をおこないました。

河南 忠和 理事

神戸市室内管弦楽団の運営見直しにおいて、他都市の楽団と比較して著しく低い演奏収入の改善や、自立した経営に向けた「稼ぐ力」の強化について、当会派の河南忠和委員が質疑をおこないました。

1. 楽団の「稼ぐ力」の欠如と経営実態の認識について

【質疑】河南理事
今回の運営見直しに関し、神戸市から昨年11月に改善要請があり、12月に財団から「リバイバルプラン」とも言える提案が出されたが、市は「実現可能性に課題がある」と判定した。この最大の要因は、収支が合っていないこと、つまり「稼ぐ力」が圧倒的に弱いことにある。
数字を見ると、演奏収入が他の公共楽団と比べて著しく低い。チケットが売れていない、あるいは単価が低いという現状を、財団幹部やマネジメント側はどう分析し、認識していたのか。

【答弁】服部理事長
「稼ぐ力」が弱いことは痛感している。反省点として、音楽性を追求するあまり、多ジャンルの人気プログラムを取り込んで集客を増やす努力を怠ってきた面がある。また、市民に上質な音楽を低廉な価格で提供するという「公益性」を重視しすぎ、チケット価格を抑えてきた。
さらに、当楽団は雇用ではなく「契約形態」を採っている。演奏回数を増やすとそれに伴い経費(報酬)が膨らんでしまうという構造的なジレンマがあり、回数を増やして収益を上げるという突破口を開けなかった。

【意見】河南理事
公益性とは、市民に受け入れられてこそ成立するものだ。「受け入れられているからこそ稼げる」という視点が、財団には欠落していたのではないか。これまでの努力の延長線上では、この苦境を打破することは不可能だ。

2. 商業的展開と新たな収益モデルへの転換

【質疑】河南理事
クラシックの世界でも、例えば「ビルボードクラシックス」では、玉置浩二さんのようなトップアーティストとオーケストラが共演し、高額なチケットが即完売する成功例がある。また、仙台フィルハーモニー管弦楽団は「バンダイ」と提携し、『機動戦士ガンダム』などのアニメとコラボレーションすることで、公的支援の割合を超える演奏収入を得ている。
本楽団においても、これまでのクラシックファンだけをターゲットにするのではなく、一般の市民が「お金を払ってでも行きたい」と思えるような、商業的な高単価座席や、新たなアーティストとのケミストリー(化学反応)を生むような企画、ジーライオンアリーナのような新施設での展開など、収益モデルを抜本的に変える考えはないのか。

【答弁】服部理事長
過去にはジャズピアニストの小曽根真さんや、廃品打楽器奏者の山口ともさんとの共演、松崎国央さんへの委嘱など、少しずつ歩みを進めてはきた。
また、昨年11月に大阪城ホールで行われた映画『トップガン マーヴェリック』のシネマコンサートに当楽団が呼ばれた際、5,000人以上の観客で満席となり、1万円を超えるチケットが売れる現場を目の当たりにした。こうした取り組みは、新しくできるアリーナ等でも展開したいと考えている。今後はドラスティックに、解体的な出直しを図らなければならないと認識している。

【要望】河南理事
「経費がかかるから演奏回数を増やせない」というのはデフレの発想だ。逆に「やればやるほど儲かる」質の高いコンテンツを作り上げるべきだ。「日本オーケストラ連盟2024」の実績データを見ても、神戸市の演奏収入の少なさは際立っている。
文化スポーツ局も、例えばビルボードの成功事例を徹底的に学ぶなど、プロのビジネス手法を取り入れるべきだ。市民が何を望んでいるのかを真剣に考え、演奏収入を劇的に改善させるための具体的な施策を再構築することを強く要望する。

平井 真千子 委員

文化ホールの専属楽団としてのアイデンティティの再確認や、若年層を含む新たなファン層の獲得、そして市全体の財政状況を踏まえた文化行政のあり方について、当会派の平井真千子委員が質疑をおこないました。

1. 文化ホールの専属楽団としてのアイデンティティと新ホールへの展望

【質疑】平井委員
楽団は「文化ホールの専属楽団(レジデント・オーケストラ)」であることが自明の事実であったはずだ。しかし、今回の改善提案では「朝日ホール」を本拠地とする案が出されており、市民としては寂しさを感じる。
将来的に建設される新文化ホールの中ホールが、キャパシティとして最適であるという認識は市と共有されていたのか。大ホール前提で議論が進み、集客が足りないからと本拠地を移すような提案になるのは、楽団のアイデンティティを軽視しているのではないか。

【答弁】服部理事長
楽団・合唱団は文化ホールと三位一体である。将来の新文化ホールにおける「中ホール」が最も適格な場所であるという思いは持っている。
しかし、それまでの間、1,800〜2,000席ある現行の大ホールではキャパシティが合わず、市からも集客不足を厳しく指摘されてきた。そのための苦肉の策として朝日ホールを候補に入れたが、本来は文化ホールこそが我々の母体であるという認識に変わりはない。以前、定期演奏会を中ホールから大ホールへ移した判断については、理事長として反省している点である。

2. 補助金依存からの脱却と「市民への説明責任」

【質疑】平井委員
市からの約8,500万円という多額の補助金を前提としたまま、事業規模を大きくして「補助率(パーセンテージ)」だけを下げるという提案は、市が求める「公費負担の軽減」という本質から大きく乖離している。
また、報道機関(朝日新聞等)に対し、楽団側が「採算が取れなければ意味がないという風潮に危機感を覚える」といった発言をしているが、これは現状認識がズレている。市が問うているのは「市場原理」ではなく、「公費を支出するに見合う市民の評価や還元があるか」という説明責任だ。この点について、財団はどう向き合うのか。

【答弁】藤原常務理事
提案書では、チケット平均単価を2,700円から4,300円に引き上げ、さらに「買い取り公演(依頼公演)」を14件から34件に増やすことで、900万円程度の黒字を出す計画とした。結果として補助金の「額」を維持する提案になったが、財団内でも補助額の縮減を図るべきという議論はあった。今後は、補助額そのものを減らしながら集客を上げるという、より厳しい改革に挑戦しなければならない。

3. 新たなファン層の獲得と若年層へのアプローチ

【質疑】平井委員
これまでの「玄人好み」のプログラムでは、人口減少とファンの高齢化が進む中で先細りする。NHK交響楽団が「ポケモンコンサート」を行うように、まずは間口を広げ、若い世代がホールに足を運ぶきっかけを作ることが不可欠だ。
芸術性の追求は、広範なファンを獲得して経営を安定させた上で行うべきではないか。新ホール開設までの2年間を準備期間と捉え、市民が本当に見たい、聴きたいと思える多様な文化(演劇、舞踊、バレエ等)を振興する財団としてのミッションを再定義すべきではないか。

【答弁】服部理事長
仰る通りだ。クラシックの難しさを取り払い、入りやすい工夫をしながらファンを増やす取り組みを強化したい。新ホールについても、クラシックに限らず幅広いジャンルを展開し、神戸らしいオープニングを飾れるよう準備を進めたい。今日の委員会を、財団のミッションを見直す出発点にしたいと考えている。

上畠 寛弘 委員

「最小の投資で最大の効果」を求める地方自治法の本旨に基づき、デジタル戦略の活用やプロのマーケティング視点の導入など、公金支出に見合う抜本的な改革について、当会派の上畠寛弘議員(委員長)が質疑をおこないました。

1. 公金支出の妥当性とマーケティング視点の欠如について

【質疑】上畠委員長
予算は無限ではない。我々議会は、地方自治法の本旨に則り「最小の投資で最大の効果」が得られているかを厳しく判断する立場にある。
「財団ありき」「楽団ありき」ではなく、市民の血税を投じるにふさわしい事業かどうかが問われている。財団の改善提案は、分母(事業規模)を増やして補助率を下げるという「数字のマジック」に終始しており、真に改革する意思があるのか疑わしい。
設立から45年経ちながら、市民の認知度が低く、今回の補助金問題でも市民からの反対意見が極めて少ないという事実は、これまでのマーケティングが完全に失敗していたことを示しているのではないか。

【答弁】服部理事長
上畠委員長のご指摘は、身に刺さる思いだ。45年の歴史がありながら、市民から関心を持たれていない現状は、我々の至らなさに尽きる。
これまで、プログラム構成を専門家に任せるなどの努力はしてきたが、市民を巻き込むという視点が欠落していた。今回の厳しい事態を招いたことを猛省し、プロのマーケティングの知見を取り入れた再起を図りたい。

2. デジタル活用と新規顧客開拓の戦略について

【質疑】上畠委員長
現代において、SNSやWebの活用は不可欠だ。しかし、楽団のYouTubeチャンネル登録者数は1,000人に満たず、収益化すらできていない。ただ動画をアップするだけの「ルーチンワーク」になっていないか。
例えば、遠方のファンやホールに来られない層のためにライブ配信チケットを販売する、あるいは若年層に圧倒的人気のあるゲーム音楽(ドラクエ、ポケモン等)を本格的なオーケストラで演奏し、新規顧客を開拓するなど、時代に合わせた努力が決定的に足りない。
指揮者や演奏家が「質の高いもの」を出すのは当然だが、それをどう市民に届け、収益に結びつけるかという「経営のプロ」の視点が不在だ。5月、6月の公演で集客を増やすというが、一過性の報道効果で終わらせないための具体的な戦略はあるのか。

【答弁】服部理事長
YouTubeの収益化やライブ配信、若年層向けのプログラム改善など、ご指摘いただいた手法は極めて重要だ。
5月、6月の公演については、メディアの注目が集まる中で「満席」の状態を作り出し、まずは第一歩を証明したい。その上で、プロのマーケターの知見を入れ、団員が街へ出ていく活動を含め、どうすれば継続的なファンを増やせるのか、理事会・評議員会で徹底的に協議し、最終的な結論を出したい。

【要望】上畠委員長
「守りたい」という声があっても、実際に足を運んでいないのであれば、それは真の支持とは言えない。補助金をもらって当たり前という意識を捨て、8,500万円の公金を投じる価値があることを、数字と実績で証明すべきだ。
また、これを承認してきた評議員会の責任も重い。理事会は、評議会に対しても厳しい説明責任を果たし、財団全体のガバナンスを立て直すことを強く求める。


自由民主党神戸市会議員団・無所属の会は、行政の透明性を確保し、効果的な公金投入を通じて、全ての市民がその恩恵を実感できる質の高い行政サービスの実現を目指し、改革を加速させてまいります。

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